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「おせち」ならざるものを「おせち」にする〜その1

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一人暮らしをしている。

そのためか、季節のイベントごとを
スルーしてしまうクセがついている。
つい先だっては、「お正月」という、日本国民にとって
最重要な行事があったのだが、
ここの所、この「お正月」に関しても、スルー気味な感じであった。
「お正月」にすることといえば、恒例になっている「元旦登山」と、
それが終わって家に帰り、「お雑煮」を食べるくらいであった。
もちろん、「おせち料理」などという手間のかかるものは、
一人暮らしの人間にとっては、無縁である。
この「お雑煮」を食べ終わった後、初詣に出かけていって、
これで自分のお正月は終了である。
普段、あまりテレビも見ないので、
お正月だからといってチャンネルをひねるようなことも無く、
全く普段と変わらない毎日である。

今年のお正月は、この変化の無い状況に
少々変化を付けてみようと考えた。
「おせち」を作ってみようということになったのである。
もちろん、「おせち」など作ったことが無いので、
黒豆や田作り、カズノコや栗きんとんの入った、
いかにもな「おせち」は作れない。
一応、これらの料理に関しては、
スーパーなどで完成品も販売されているのだが、
正直な話、これらのメニューに関しては、
それほど好物というわけでもないし、特に食べたいとも思わない。
「おせち」を入れる陶製のお重はあるので、
これに自分の好きな物だけを詰め込んで、
「おせち」ということにしようと考えた。
まあ、文句を付ける者のいない、独り者ならではの自由さだ。

さて、大晦日がやってきた。
自分は大掃除を終わらせると、スーパーへと出かけていった。
買うべきものは、お雑煮に使うための餅と、
夜に食べるための年越し蕎麦(インスタントのカップ麺だが……)、
後は、問題の「おせち」の材料である。
我が家のお重は3段なのだが、今更、
多種類の調理を行なうのも面倒である。
それぞれの段に、1種類ずつの料理を放り込むことに決めて、
店の中を物色して回った。

まず、目についたのが、根菜類を炊き込んだ煮物である。
いわゆる「煮染め」という奴だ。
これは普通の「おせち」にも入っているメニューなので、
とりあえず、100円ほどの小袋を2つ、カゴに入れる。
これでなんとか1段はメニューが決まった。
すでに調理済みの食品をビニールパックしているものなので、
家に帰ってやることといえば、袋をハサミで切って、
中身をお重に放り込むだけである。

次に目についたのが、冷凍の肉団子だ。
中華風の甘酢ダレがからめてあり、
湯煎で温めれば食べることが出来る。
350円ほどなのだが、結構、量が多く、
お重に入れても、半分近く余ってしまう。
が、これより小さいサイズのものが無かったので、
仕様がなしに、これをカゴに入れる。
余ったものは、今夜の晩ご飯だ。

そして最後に選んだのが、同じく冷凍の唐揚げである。
これはすでに一度、油で揚げてあるものを、もう一度冷凍したもので、
食べる際には、もう一度油で揚げ直すか、
電子レンジで加熱しなければならない。
油で揚げ直すということになると、かなり手間がかかるが、
電子レンジでの加熱なら、短時間での調理が可能だ。
値段は同じく350円ほどで、やはりお重1段の中には
入り切りそうにない。
いくつかの唐揚げが、余ってしまいそうだ。
まあ、これも晩ご飯として食べてしまえば、問題は無いだろう。
そう決め込んで、これもカゴに入れる。
これで無事、3段のお重を埋める食材を確保することが出来た。

家に帰って、早速、調理を開始する。
まずは煮物。
これは簡単だ。
袋を切って、お重の中に流し込むだけである。
2袋合わせても、1分ほどで片がついた。

次に肉団子。
パックの裏側に「湯煎で20分ほど温めてください」とある。
大きめの鍋を取り出し、水を入れて、
その中に凍ったままの肉団子のパックを入れ、
コンロに火をかける。
鍋の湯が沸騰したら、そのまま火を弱火にして、20分ほど放置する。
これもまあ、簡単といえば簡単だ。

肉団子を湯煎にかけてから、冷凍の唐揚げに取りかかる。
パックの表示によると、
「唐揚げ3個を皿にのせ、2分の加熱を加えてください」とある。
3個×2分で、どれくらいの温まり方をするのかが分からないので、
とりあえず、実験の意味を込め、小皿に唐揚げを3個のせて、
2分間加熱してみた。
出来上がりは、少々衣がクッタリしているものの、
しっかりと芯まで暖まっていた。
そのまま次々と唐揚げを温め続け、温まったものをお重に詰めていく。
こちらの方も、当初考えていた通り、5個ほどの唐揚げが
余ってしまった。

ちょうど唐揚げを詰め終わったくらいで、
湯煎にかけていた肉団子が温まった。
鍋の中からパックを取り出し、ハサミで封を切って
お重の中に肉団子を入れていく。
中華風の甘酢ダレが絡まっていて、いかにもウマそうだ。
お重一杯に詰め込んだのだが、結構な数の肉団子が残ってしまった。
やはり、ちょっと内容量が多過ぎた様だ。
お重に入り切らなかったものを、別の皿の上に盛りつけて、
とりあえず、3重のお重の中はいっぱいになった。

1段目のお重には、根菜類をダシ醤油で煮込んだ「煮染め」。
2段目のお重には、隙間無く詰め込まれた「唐揚げ」。
3段目のお重には、甘酢ダレの絡んだ「肉団子」。
……。
日本料理は彩りと盛りつけが大事だ、なんていうことを良く聞くが、
3段のお重全てが茶色に染まっている。
この3段の中で、茶色くないのは
「煮染め」の中に入っているニンジンくらいのものである。
これでは彩りもへったくれも無い。
入っているメニューにしても、随分と肉に偏った内容である。
全体の3分の2が肉料理である。
まあ、これを3日に分けて食べるわけだから、
1回、1回の食べる分量としては、
それほど多いというわけではないのだが、
それでも肉の割合が多いことに変わりはない。
まあ、自分の場合、普段の食生活では、
全くといっていいほど肉を食べないので、
たまにはこういうのも良いだろう。

こうして、生まれて初めて、自分で作った「おせち」が完成した。
「煮染め」以外は、「おせち」らしいものは何も入っていないし、
彩りも悪く、栄養も偏っている。
製作時間も30分ほどで、かかった費用も1000円程度なので、
非常にスピーディーで、リーズナブルでもある。
とはいえ、3ヶ日の朝に
「お雑煮」のオカズとして食べるものであると考えれば、
このくらいのものでも、充分だといえる。
なんといっても、こちらは一人暮らし。
「おせち」が茶色く、偏っているからといって、
誰かに文句を言われることも無いのだ。
それに、何年か前に話題になった、
重箱の中が隙間だらけの、あの「おせち」に比べれば、
お重の底が見えない分だけ、こちらのほうが随分とマシである。

まがりなりにも「おせち」が、出来上がったので、
これを写真に撮って、友人たちに送ってみた。

すると帰ってきたのは、
「それは「おせち」ではない」
という身もフタもない一言であった。

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