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ルイボスティー

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コーヒーでも飲もうかと、茶箪笥の中を見ていると、
ふと、ミョーな箱が目に入った。
側面に、カップに入った紅茶のイラストが描かれている。

自分自身、紅茶よりはコーヒーの方が好きなので、
もっぱら口にするのはインスタントコーヒーなのだが、
時折、人から紅茶を貰ったりする。
大方の場合は、ティーバッグ式のものなのだが、
稀に茶葉そのものの、結構いい「葉」を貰うこともある。
どうやら、ソレをくれた本人も、他人から貰ったらしいのだが、
本人が紅茶を飲まないため、さらに自分に回したらしい。
そういう「もの」がある場合、日に数回のコーヒータイムのうち、
何度かは紅茶を飲むことになる。
そういった「もの」の中には、
ジャスミンティーやアップルティーなども変わり種もあって、
それらを機会を見つけては飲み、少しずつ消費するのだが、
この手の「もの」の中には、
強烈な香りを持っているものもあり、
そういう「もの」をひと箱、消費していくのは、
なかなかに辛いことがある。

話を、茶箪笥の中のミョーな箱に戻そう。
その見覚えの無い箱を、どこで手に入れたのか
記憶をたどっていくと、6月に執り行われた法事に行き当たった。
その法事の際に、我が家に集まった親類の中に妹もいたのだが、
彼女が「飲んでみてくれ」ということで置いていったのが、
このミョーな箱であった。
その時には深く考えず、
とりあえず茶箪笥の中にしまっておいたのだが、
それを今回、再発掘したというわけである。
あらためて箱を眺めてみると、色々と説明が印刷されているのだが、
それらが全て英語で、日本語の表記が無い。
ただ、底面に原材料や賞味期限を日本語で表示してあり、
それを読んだ所では、
どうやらこれは「ルイボスティー」というものらしい。
名称が「有機ルイボス茶」となっており、
原材料も「有機ルイボス茶」となっている。
内容量は100gで、その横に括弧表示で
(40袋)と書かれている。
驚いたのは原産国で、南アフリカ共和国と書かれている。
パッケージイラストが「紅茶」にしか見えず、
この「ルイボスティー」も、「紅茶」の一種かと思っていたので、
インドかスリランカ辺りで作られているのだろうと思っていたのだが、
どうやら、思っていたような「紅茶」ではないらしい。
箱のサイドには、南アフリカの写真なのか、
緑の雑草に覆われた、広い荒野が印刷されている。

箱を開けてみると、中に銀色の袋が2つ入っている。
その袋を1つ開けてみると、小さな白い紙袋がいくつも入っている。
ティーバッグのようなのだが、「紅茶」のそれのように、
ヒモも何もついておらず、本当にタダの紙袋である。
鼻を近づけてみると、何か独特の香りが漂ってくる。
箱の中には、日本語で印刷された説明書が入っており、
基本的には紙袋(ティーバッグ)をカップの中に入れて、
お湯を注いで飲むものであるらしい。
紙袋をカップの中に入れたまま飲んでも構わない、
と書かれている辺り、「紅茶」と比べて随分アバウトだ。
早速、1つ取り出してカップの中に放り込み、
そこにお湯を注いでみた。
たちまち紙袋の中から成分がしみ出してきて、
カップの中が紅く染まる。
思っていた以上に、「紅茶」にそっくりである。
ある程度、成分が抽出された所でティーバッグを箸で取り出す。
やはり、ヒモがついていないのは、
ティーバッグとしては使いにくい。
ティーバッグを取り出してみると、
カップの中は想像以上に「紅茶」である。
無論、そのまま飲んでもいいのだが、今回は「紅茶」にならって
砂糖を入れて飲んでみた。
明らかに「紅茶」とは香りが違っているのだが、
味の方については砂糖を入れたために、
ほとんど「紅茶」と変わらない。
いただきものの「おかしな」お茶や、
自作の「ドクダミ茶」などを飲んでいるので、
少々、変わったものを飲んでも、それほど違和感は感じない。
飲み物としては、普通にアリである。

ルイボスティーというのは、ルイボスという植物の葉を乾燥させ、
これをお湯で煎じたものである。
名前にティーとついているものの、
「茶」とは全く関係のない植物から作られている。
いわゆる「茶外茶」である。
ルイボスという植物も、全く聞き慣れない名前だが、
それもそのはずで、南アフリカ共和国の一部でしか自生していない
非常に珍しい品種である。
乾燥した30度以上の、温暖さの激しい場所でしか育たないため、
南アフリカ以外での栽培は成功していない。
針葉樹のような細い形状の葉を持っているのだが、
自生しているルイボスの写真を見ても、
そこら辺に生えている雑草のようにしか見えない。
先に、箱の横に「緑の雑草に覆われた荒野」の写真が
印刷されていたと書いたが、なんのことはない、
自分が写真を見て「雑草」だと思っていたものこそが、
ルイボスそのものであったわけである。
パッケージには「ORGANIC(オーガニック)」と書かれており、
どうやら有機農法で栽培されたルイボスの葉を使っているらしい。
ひょっとして、かなりいいものなのでは?と思ったが、
よくよく考えてみれば、自分で作って飲んでいるドクダミ茶も、
まごうことなき「ORGANIC」である。
(うちの場合は、有機農法というより、
 そこら辺から勝手に生えてきたものであるが……)

現地、南アフリカでは、
昔からルイボスの健康効果について知っていたらしく、
薬草として用いられていたらしい。
これに目をつけたのが、
ロシア人入植者である、ベンジャミン・キンズバーグである。
彼は、1904年にルイボスティーをヨーロッパに紹介した。
これ以降、ヨーロッパなどでもルイボスの栽培が試みられたものの、
それらはことごとく失敗、結局、栽培は南アフリカのみで
行なわれることとなった。
1954年には、南アフリカ共和国の国営事業として、
ルイボスティーの輸出が始まり、
現在では、同国の重要な輸出品となっている。
このルイボスティーが日本に紹介されたのは、
1980年代のことである。

さて、日本でもルイボスティーは、
健康食品としてその名を知られており、
その喧伝されている健康効果は多岐に渡っている。
それらを書き出してみると、

・アンチエイジング
・妊活(要は妊娠しやすくなる、ということらしい)
・むくみ、冷え性
・アトピー
・ダイエット
・安眠
・二日酔い
・貧血
・生理痛
・便秘、下痢
・水虫
・加齢臭、体臭
・更年期
・熱中症
・糖尿病、通風
・花粉症

ということになる。
まさに万能の健康食品といっていい。
だが、私的な意見をいわせてもらえれば、
自分に必要な効果というのは少なく、敢えて言うのであれば
アンチエイジング、安眠、熱中症、花粉症くらいだろうか。
妊活や生理痛に関しては、全く自分に無関係だ。
効果を眺めてみた限りでは、どちらかといえば、
男性より女性向きの効果が揃っているようである。

さて、手元にあるルイボスティーだが、
よく説明書を読んでみると、冷やして飲むことも出来るようだ。
だとすれば、これからしばらく続く猛暑の中で、
一時の涼を得るための、冷茶として飲むことも出来る。
健康効果の1つに「熱中症」が入っているので、
熱中症対策に飲むのも、アリだろう。

例年は、この時期になると麦茶を作って飲んでいたのだが、
今年は「ドクダミ茶」に「ルイボスティー」と、
ひと味違ったドリンクライフを送ることになりそうだ。

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