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台湾ラーメン

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最近、西播地方にも「台湾料理」を謳う中華料理店が
何軒か出店してきている。

どの店も、つぶれたコンビニエンスストアなどを
そのまま改装するような形で経営しており、
比較的安価な上に、そこそこボリュームもあるので、
たまに利用している。
これらの店のメニューを見ていると、
他の中華料理店にはないメニューが含まれていることに気付く。
その代表的なものが「台湾ラーメン」である。

そりゃあ、「台湾ラーメン」なんだから、
「台湾料理」の店にしかないんじゃないの?と思ってしまうが、
日本の中華料理屋は、中華料理の地方性などは全くいい加減で、
四川料理も、広東料理も、全部ひとまとめにして
「中華料理」ですませている。
それどころか、「エビチリ」「担々麺」「回鍋肉」など、
本場のものとは全く違ったアレンジをされているものもあるし、
「天津飯」や「中華丼」のように、
本場には全く存在しない料理を作り出し、
「中華料理」の名前を冠して、販売している店も多い。
そういう日本の中華料理店の節操のなさを見ていると、
わざわざ「台湾料理」を謳っている店でしか、
「台湾ラーメン」を出していないというのは、
なんとも違和感を感じさせる。

さて、ここで何割かの人は、「台湾ラーメン」ってなんだ?
と、思っているだろう。
現在の「台湾ラーメン」の普及率を考えてみれば、
そういう人がいるのは、そう不思議なことではない。
ここで「台湾ラーメン」について、簡単に説明しておこう。

「台湾ラーメン」とは、豚挽肉・ニラ・長ネギ・もやしなどを、
トウガラシで辛く味付けして炒め、
醤油ベースのスープを加えて、茹でた麺にかけたものである。
パッと見た感じには、醤油ラーメンの上に
挽肉とニラを炒めたものをのせて、
トウガラシを振りかけたように見える。
作り方からも分かるように、結構、辛みの強いラーメンである。
これが西播地方で販売されるようになったのは、
ほんのここ2~3年ほどのことで、
それ以前は、全く存在していなかった。
この点だけに注目するのであれば、
「台湾ラーメン」というのは、つい最近、
台湾から伝わってきたもののように感じる。
だが、違うのである。
この「台湾ラーメン」の最大の特徴は、
本場である筈の台湾には、存在していないことなのである。
……。
え?じゃあ、なんで「台湾ラーメン」なの?
一体、いつ?どこで作り出されたものなの?と、
極めて当たり前の疑問が浮かんでくる。
果たして、「台湾ラーメン」とは、一体何なのであろうか?

実は、この疑問を解く鍵を、すでに自分は持っていた。
と、いうのも、「台湾料理」を謳う中華料理店が
西播地方に進出してくる前、
つまり「台湾ラーメン」が、西播地方に存在していなかったころに、
すでに自分は某所で「台湾ラーメン」を食べていたのである。
どこで食べていたのか?
たしか、自分の記憶が正しければ、
愛知県尾張旭市の中華料理店であった。
しばらく、瀬戸市の親戚宅に滞在していた自分は、
その親戚のオススメの名物ラーメンということで、
「台湾ラーメン」を食べに行ったのである。
そのときに食べた「台湾ラーメン」は、
まさに現在、西播地方の「台湾料理」の店で出てくる
「台湾ラーメン」そのものであった。
ポイントは「名物ラーメン」という所である。
親戚は「それ」を、名古屋名物として自分に紹介したのである。
曰く、名古屋近辺で食べられていて、
現在、人気急上昇中である、ということであった。
そのときはまだ、名古屋近辺のみであるが、
そのうちに全国区へと広がっていくだろう、
ということも言っていた。
その言葉は、それから1~2年後に西播地方に
「台湾料理」を謳う中華料理店が出店してくることによって
現実となった。

どういうわけか、「台湾ラーメン」と名乗るラーメンは、
名古屋の名物で、生まれも育ちも名古屋だと言う。
いや、それならどうして「台湾ラーメン」なのか?
名古屋で生まれて、名古屋で育ったのなら、
普通に「名古屋ラーメン」で良いのではないか?
一体、いかなる経緯があって、名古屋生まれのラーメンが
「台湾ラーメン」を名乗ることになったのか?
もちろん、そういう疑問を親戚にぶつけてみたが、
親戚もあまり詳しいことを知っているでもなく、
ただ、「台湾ラーメン」が、
名古屋生まれの人気メニューであることを、
繰り返すだけであった。

そんなワケで、「台湾ラーメン」が
名古屋と大きな関わりがあることは知りつつ、
一体、どういう関係なのかはよく分からないままだったのだが、
今回、改めて「台湾ラーメン」について調べてみると、
その秘密が明らかになった。
そもそも「台湾ラーメン」は、1970年代に
名古屋市千種区にある台湾料理店・味仙の店主が、
台南名物の「担仔麺(タンツーメン)」をもとにして
作り出したものだったのである。
名古屋人の味覚に合わせて、味付けを濃くしてあるという。
「担々麺」「麻婆豆腐」「エビチリ」など、
大方の中華料理が、日本人に合わせて
マイルドに作り直されているのに対し、
「台湾ラーメン」は、その全く逆をいっているわけだ。
恐るべし名古屋、である。
味仙の店主が台湾人であったため、
「台湾ラーメン」と名付けられた。
つまり「台湾ラーメン」は、純然たる名古屋生まれの料理であって、
本場・台湾には元になった「担仔麺」は存在しているものの、
全く同一のものは存在していないということになる。
もともと味仙のメニューの1つとして
販売されていた「台湾ラーメン」だが、
1980年代に起こった「激辛ブーム」によって注目を浴び、
名古屋近辺へと広がっていった。
誕生から40年ほどたった現在では、
名古屋市内の中華料理店のうち、実に70%が
メニューに「台湾ラーメン」を加えているという。
まさに堂々たる、名古屋のご当地ラーメンと言えよう。
基本的には醤油ベースのラーメンで作られることが多いが、
それぞれの店で独特のアレンジを加え、
味噌、塩、豚骨スープの「台湾ラーメン」も存在している。

長らく、名古屋を中心とした東海地方でのみ食べられていた
「台湾ラーメン」だが、
ここ数年は、西播地方に進出してきているように、
少しずつその版図を広げ始めている。

後、10年ほどたてば、日本中の中華料理店のほとんどで、
「台湾ラーメン」の名前を見るようになるのかも知れない。

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