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みつ豆

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夏になると、何事も涼感が大切になってくる。

着るものにしても、インテリアにしても、涼しげなものが嬉しい。

もちろんお菓子についても、同じことがいえる。

涼感を感じさせるお菓子は、いくつもある。

和菓子の場合、寒天などを利用したものが多い。

透明な寒天の中に、金魚や、木の葉などを散らしたお菓子は、

見ていて素晴らしい涼感を感じさせる。

ただし、これらはちゃんとした和菓子屋に行かないと、買い求めることはできない。

そこら辺のスーパーで、適当に買って、気楽に楽しむというわけにはいかない。

自分はそういう場合、缶詰の「みつ豆」を買ってくる。

これを冷蔵庫でキンキンに冷やし、ガラスの器にあけると、実に涼しげである。

透明なシロップの中に、各種フルーツ、色とりどりの寒天、

そしてエンドウ豆が入っている。

今回はこの「みつ豆」について書いていく。

みつ豆が作られたのは、明治36年のことだ。

浅草の和菓子屋「舟和」が売り出した。

当時のみつ豆は、エンドウ豆、刻んだ寒天、あんず、切り餅をいれ、

蜜をかけたものであった。

ほぼ、現在のものに近い。

「舟和」は明治35年開業の和菓子屋で、芋ようかんで有名な店だ。

開業から1年後に、「みつ豆」の販売をはじめた。

現在でも、看板商品の芋ようかんと「元祖みつ豆」で、人気がある。

「みつ豆ホール」と呼ばれる、喫茶店を開き、そこで「みつ豆」を販売した。

「みつ豆」は大人向けの甘味として、大人気を博していた。

材料がなじみ深いものばかりだったためか、「みつ豆」は一気に広まった。

そして「みつ豆」誕生から30年後、銀座のお汁粉屋「若松」が、

「みつ豆」に小豆餡をのせた「あんみつ」を発売する。

ここも、現在でも営業しており、「元祖」ということで、「あんみつ」を販売している。

「みつ豆」のバリエーションは豊富だ。

先に書いた小豆餡をのせた「あんみつ」、

アイスクリーム、あるいはホイップクリームをのせた「クリームみつ豆」、

小豆餡とクリームを一緒にのせた「クリームあんみつ」、

細かく切った果物を混ぜた「フルーツみつ豆」、

寒天のかわりにコーヒーゼリーを賽の目に切って加えた「コーヒーみつ豆」、

などがある。

基本的には、「みつ豆」という基本形に、様々なものをプラスしていくことで、

バリエーションを増やしている。

例外もあり、「みつ豆」から寒天とエンドウ豆以外をなくした、

「豆寒」というものも、存在している。

基本的に「みつ豆」というのは、家で作るものではない。

いざ、家で作ろうとすると、かなり手間がかかる。

その構成材料を見てみると、

・赤エンドウ豆

・寒天(あるいは色付き寒天)

・求肥

・白玉団子

・各種フルーツ

・みつ

ということになる。

「あんみつ」や「クリームみつ豆」ということになると、

さらに必要な材料が増える。

まず、「みつ豆」の名前の由来になっている赤エンドウ豆だが、

これを茹でておかなければならない。

普通のエンドウ豆なら、スーパーにも売っているだろうが、

赤エンドウ豆というのは、まず売ってない。

そもそも赤エンドウ豆が使われるのは、「みつ豆」か「豆大福」くらいで、

全く一般的な食材ではない。

続く、寒天、求肥、白玉団子も、自作しようとすると、かなり手間がかかる。

それぞれが、ひとつの菓子として成立しているので、

それを全部用意するということは、何種類ものお菓子を、

同時に作るようなものだ。

スーパーで買ってきて、済ませられそうなのは、

カットフルーツくらいだろうか?

自作は極めて困難、というのが正直な所だ。

そのように自作の難しい「みつ豆」だが、

スーパーなどには完成品がたくさん並んでいる。

缶詰になっているもの、ビニールのパックに入っているもの。

食べたい、ということになった場合、これらを購入するのが一般的である。

わりと様々なお菓子を自作していた、自分の母親も、

さすがにこれだけは自分で作ろうとはしなかった。

せいぜい市販の「みつ豆」の缶詰に、カットフルーツを混ぜ込み、

かさ増しをするくらいであった。

そういうわけで、子供のころは兄弟と一緒に、

かさ増しされた「みつ豆」を食べていたわけだが、

実は、これに入っている、赤エンドウ豆が苦手であった。

自分の器に入っていると、こっそりとつまみ出して、兄弟の器に放り込んでいた。

ばれるとイヤな顔をされるので、なるべく下の方に押し込んだ。

「みつ豆」の要ともいうべき赤エンドウ豆だが、

それに対し、なんともひどい扱いをしていたものだ。

ただ、やはり他で聞いた話でも、子供に受けは良くなかったようだ。

「みつ豆」に、豆が入ってなければいいのに、

などという話を、聞いたこともある。

「みつ豆」から豆をとってしまったら、一体何と呼べばいいのか。

今では兄弟揃って「みつ豆」を食べることもなくなり、

最後に残った赤エンドウ豆も、黙って口の中に放り込むだけだ。

いざ食べれるようになってみると、ほっくりとした豆の味も、悪くないものだ。

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