雑学、雑感、切れ味鋭く、思いのままに。

Falx blog 2

植物 雑感、考察 食べ物

シイタケ〜その3

投稿日:

前回、前々回とシイタケについて書いてきた。
前々回はシイタケの歴史について、
前回はシイタケの加工品「干しシイタケ」を中心にして、
昨今のシイタケ事情について書いた。

だが、よくよく見返してみれば、
シイタケの味、調理法、栄養などについては
すっぽりと抜け落ちてしまっていた。
食べ物について書いている以上、ここを抜かしてしまっては
片手落ちも良い所だ。
そういうわけで、今回は補足的ではあるが、
シイタケの味、調理法、栄養などの諸々を中心にして、
話を進めていこう。

一般的に言われることだが、
キノコという食品は、おしなべて低カロリーである。
そのため、ダイエットを目的としている人間には、
キノコ類は最適な食品である、などともいわれる。
実際、今回、取り上げているシイタケも
100gあたりのカロリーは、34キロカロリーと低い。
同じ重量でいえば、コメは168キロカロリー、
牛肉(肩ロース)だと400キロカロリーになる。
こうやって数値を並べてみると、
なるほど、キノコがダイエットに最適であると
いわれる理由がよくわかる。

だが、低いカロリーにも関わらず、
シイタケが含有している栄養成分は多い。
歯や骨を丈夫にするといわれる、ビタミンDを筆頭として、
ビタミンB1、B2、C、
アラニンやロイシンなどのアミノ酸、
食物繊維、さらには各種のミネラルも豊富に含まれている。
ビタミンDに関していえば、生シイタケよりも
干しシイタケの方に大量に含まれている。
これは、天日に干すことによって、
シイタケに含まれているビタミンDが、
10倍以上に増えるからである。
この「天日で」というところが肝心な所で、
機械乾燥などで作られた干しシイタケでは、
ビタミンDは全然増えない。
あくまでも「天日」で干すことによって、
ビタミンDが増えるので、
これを目的にして干しシイタケを購入する際は、
「天日干し」ときちんと書いてあるものを
選ばなければならない。
だが、実はすでに機械で乾燥されてしまっている
「干しシイタケ」であっても、
改めて天日で干し直すことによって、ビタミンDは増える。
そういう意味では、意外と融通がきくのある。

さらに「干しシイタケ」には、
様々な薬効があるとされている。
中国医学の世界では、シイタケを生薬としても扱っており、
その効能として、益気、健脾、健胃、化痰の効用があり、
貧血や高血圧にも効果があるとされている。
またシイタケには、エリタデニン、レンチナンという成分が
含まれていることもわかっており、
エリタデニンには動脈硬化の原因となる
血中のコレステロールを低下させる作用、
レンチナンには抗がん作用があることが確認されている。
どちらも現代人にとって、身近な病気であり、
シイタケはこれらに対する予防効果を持ち合わせている。
かつてシイタケは、健康食ブームによって
その消費を伸ばしてきたことを書いたが、
シイタケの含有している「健康効果」は、
まさに現代にこそ、ふさわしいのかもしれない。

食味という観点で見れば、
「干しシイタケ」は旨味成分のひとつである
「グアニル酸」を豊富に含んでいる。
そのため、「生シイタケ」と違い、
「干しシイタケ」からは出汁をとることが出来る。
実はこの「グアニル酸」、
「生シイタケ」の状態では大して含まれていない。
だが、これを乾燥すると、
温度が上昇する過程で酵素が働き、
中に含まれている「グアニル酸」が増大する。
また乾燥によって、シイタケの細胞が破壊され、
旨味成分が抽出されやすくなる。
つまり、深い濃い味わいを求める際には
「干しシイタケ」を、
新鮮な風味を求める際には「生シイタケ」を使うのがよい。

現在、知られているシイタケを使った料理を調べてみると、
そのほとんどが「生シイタケ」を使ったものになっている。
「干しシイタケ」の場合、
どうしても「戻し」の作業が必要になってくるため、
「生シイタケ」に比べると調理に時間がかかってしまう。
この点が、「干しシイタケ」の需要を
大きく下げる原因になっている。
「生シイタケ」はそのまま焼いたり、
天ぷらのタネにしたり、鍋料理の具材にしたりと、
わりと幅広い使い方がある。
「干しシイタケ」はその戻し汁を「出汁」として使ったり、
佃煮、煮物、巻寿司やちらし寿司の具材などに使われる。
干すことによって旨味が濃くなっているためか、
濃いめの味付けをしても、
シイタケの旨味が感じられるのが特徴であり、
ここに挙げた調理例にしても、
その特徴を最大限に生かしたものになっている。

ただ、どちらにしても共通しているのが、
「火を通して」食べる、という点である。
これは、シイタケを生食した場合、
皮膚炎のような症状が発症することがあるからだ。
もちろん「生シイタケ」も「干しシイタケ」も
火を通さず食べた場合、同じことが起こる。
原因は、シイタケに含まれている
ホルムアルデヒドのためだといわれている。
このホルムアルデヒドは、
シックハウス症候群の原因ともいわれる化学物質で、
発がん性がある。
ホルムアルデヒドは加熱することによってなくなるため、
シイタケは「生」であろうと「干し」であろうと、
そのまま食べてはいけない。
きちんと加熱してから、食べるようにしよう。

シイタケは、どうしてもある種のクセがあるため、
好き嫌いの別れる食品である。
好きな人はとことん好きだし、
嫌いな人はとことん嫌いである。
うちの家族では、弟が大変なシイタケ嫌いで、
シイタケの入っている料理には、全く手を付けなかった。
これは歳をとっても全く改善されることなく、
未だに彼はシイタケを食べることが出来ない。

もったいないなぁ、とは思うものの、
さすがにこればかりは、強制することも出来ない。

Related Articles:

にほんブログ村 その他生活ブログ 雑学・豆知識へ
にほんブログ村

スポンサーリンク
スポンサーリンク

-植物, 雑感、考察, 食べ物

Copyright© Falx blog 2 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.