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植物

菜の花

投稿日:

ここの所、ずっと続いていた寒さも落ち着いてきた。

寒さも峠を越えたようで、
後は春に向かって、
だんだんと暖かくなっていくだけである。

そんな市内を自転車で走っていると、
そろそろ菜の花の鮮やかな色が
目につくようになってきた。
そこらの空き地や、畑のスミなどでは
咲き始めたばかりの菜の花が、
春の訪れを、それとなく感じさせてくれる。

スーパーに入ると、青果売り場に菜の花が並び始めている。
まだ花開く前の菜の花のつぼみが、
いくつもパックされて売り場に並んでいる。
これもまた、この時期だけに食べられる
「季節性」のある商品である。

たつの市のような田舎に住んでいると、
菜の花というのは、全く珍しくない花である。
毎年、春になると、畑や河原、そこらの空き地などで、
その姿を見ることが出来る。
この菜の花、「菜の花」という名前で知られているが、
正式には「アブラナ」という。
漢字で書くと「油菜」である。
この植物の種子から、油を採取するため、
この名前が付けられた。
正式には、アブラナ科アブラナ属に属する2年草で、
「菜の花」「ナタネ」とも呼ばれる。
このアブラナ科には、我々の生活に欠かせない
様々な野菜が含まれており、
アブラナをはじめ、キャベツ、ブロッコリー、白菜、大根、
カラシナ、チンゲンサイ、水菜、カブ、わさびなどは
すべてアブラナ科の植物である。

原産地は、西アジアから北ヨーロッパにかけての地域で、
元々は大麦畑に生えている雑草であった。
これが農耕文化の広がりとともに移動していき、
漢代の中国で栽培作物となり、
後に多くの野菜を生み出す元となった。
日本には弥生時代に持ち込まれたが、
当時の用途は食用であり、
「菜」の花という名前はここからきている。
どうやら古代から、葉のみならず、
花も食用にされていたらしい。
「古事記」や「万葉集」、「延喜式」などに
その名前が見られることからも、
当時の日本にとっては、
かなりメジャーな食材であったようだ。

このアブラナから「油」を採るようになったのは、
安土・桃山時代ごろである。
これ以前は、アブラナは純然たる食用植物で、
油はゴマやエゴマから採っていた。
司馬遼太郎の小説「国盗り物語」では、
斎藤道三が京都で油問屋を営んでいる姿が描かれているが、
その当時はまだ、エゴマから油を搾っていたらしく、
若いころの斎藤道三が、
エゴマを輸送しているシーンがあった。
このアブラナから採られた油は、
主に灯油用として使われたほか、食用にもされた。
ちょうど、アブラナから油を採るようになるのと
ほぼ同じころ、南蛮諸国や中国から
油を使った料理が伝えられた。
もちろん、これ以前にも
油を使った料理は伝わっていたのだが、
(奈良時代に伝わった唐菓子各種、
 鎌倉時代に伝わった精進料理など)
油で「揚げる」という調理法がメジャーになったのは、
この時代のことで、
「天ぷら」なども、この時代から作られ始めている。
ただ、一般庶民の家庭では
大量の油を使った揚げ物は作られず、
もっぱら料理屋や屋台などで作られるだけであった。
これは、油がそれなりに高価だったことと、
火事を恐れた一般庶民が「揚げる」という調理法を、
敬遠したためでもある。
一般家庭にて、油を使った料理が
日常的に行なわれるようになるのは、
明治時代も中期を過ぎたころからである。
一方、油を搾った後のアブラナの種子は、
「油かす」と呼ばれる肥料として、畑作に使われた。
この「油かす」は現在でも販売されており、
ホームセンターの園芸コーナーには、
袋詰めにされた「油かす」が並んでいる。

このアブラナから採られた油は、
一般的に「菜種油(なたねあぶら)」と呼ばれ、
サラダ油や天ぷら油などの、
食用油として販売されている。
最近よく耳にするようになった
「キャノーラ油」というのも、
アブラナから採れた油である。
この「キャノーラ油」は、品種改良によって
人体に有害なエルカ酸を含まない
「キャノーラ種」から採油されている。
かつては、行灯の油など、
灯油用としても使われていたが、
こちらの方は、現在ほぼ全てが電気等に取って代わられた。
ただ最近では、家庭で使い古した天ぷら油などを集め、
バスなどの、ディーゼルエンジン用の燃料にすることも
行なわれている。
これは「バイオディーゼル」と呼ばれ、
一種のリサイクル燃料である。
もちろんこれは、菜種油のみに限ったことではないのだが、
ヨーロッパなどではバイオ燃料用の菜種も栽培されている。

さて、アブラナ(油菜)と呼ばれている菜の花だが、
先に書いた通り、油を含んでいるのは種子だけで、
それ以外の部分を食べても、油臭いなどということはなく、
わずかなほろ苦さのある、おいしい野菜である。
おひたし、みそ汁の具、炒め物、天ぷらなど
様々な料理に使うことが出来る。

菜の花は、この春先だけの味である。
そのほろ苦い味は、春の訪れを感じさせてくれるが、
菜の花が店頭に並んでいるのも、
春先の一時だけである。

菜の花で春を味わいたい人は、
うっかりと買いそびれないようにしないといけない。

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