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シメサバ作り

更新日:

先日、スーパーの鮮魚コーナーを見て回っていると、
ちょうど1人前ほどの塩サバの冷凍切り身が、販売されていた。

どうやらバーゲン品だったようで、一切れ100円ほどである。
むき出しのまま、冷凍状態で積み上げられた切り身は、
サバの半身をちょうど真ん中辺りで2等分したものの様で、
エラ近くの身と、尻尾近くの身の2種類があった。

積み上げられた冷凍切り身を眺めているうちに、
ふと、シメサバを作ってみたくなった。

シメサバ」は、サバを酢締めにしたものだ。
大方の場合、酢で締める前に塩をして、塩で締めることになる。
わかりやすくいえば、一度、サバの身を「塩サバ」にしておいてから、
改めて酢に漬け込むわけである。
一度やってみたいなとは思っていたのだが、
これまでにやってみる機会はなかった。

理由は、新鮮なサバ(出来れば生きているもの)の入手が難しいことである。
「サバの生き腐れ」との言葉もあるように、
サバは非常に鮮度落ちの早い魚である。
スーパーなどで販売されているサバは、全て死んだ状態で販売されているのが
普通であり、生きたサバというのは自分で釣ってくるか、
あるいは魚市場などへ出かけていかなければ、入手が難しい。
そのため、スーパーなどで販売されているサバについては、
そのほとんどが加熱して食べることを前提にして、販売されているようだ。
そして、もう1つの問題が寄生虫だ。
サバには、アニサキスという寄生虫がついていることが多く、
サバを生食した場合、これをそのまま体に入れてしまう危険性が高くなる。

つまり、サバの生食には「鮮度」と「寄生虫」という、
2つの大きな問題が存在しているわけである。

それぞれの問題に対する対処法はこうだ。

まず「鮮度」の問題。
これはとりあえず、新鮮なうちに食べるしかない。
その際、十分に加熱すれば、より安全性は増すことになるが、
「生」の状態でこれを食べようという場合には、何より早く食べることである。

次いで「寄生虫」の問題。
こちらは早く食べ様が、遅く食べようが関係ない。
生きているものを、素早く捌いてその場で食べたような場合なら、
危険性は若干、下がることになるが、それでも危険性が0になるわけではない。
調べてみた所によると、サバにアニサキスが寄生している確率は75%で、
そのうちの40%ほどが、内蔵から身肉へと移動しているそうだ。
早い話、何も考えずにサバを生で食べた場合、
30%ほどの確率で、アニサキスを持ったサバを食べることになるわけだ。
「シメサバ」の場合だと、身肉を酢に漬け込むことになるのだが、
アニサキスはこの酢への漬け込みでも、生き続けるらしい。
このアニサキスを殺すためには、身肉にしっかりとを火を通すか、
あるいは一度、身肉をしっかりと冷凍する必要がある。

鮮度の方に関しては、もうどうしようもない。
なるべく新鮮と思われるサバを購入し、なるべく早く食べるしかない。
寄生虫の方に関しては、シメサバという方法で食べる以上、
火を通すという手段は使うことが出来ない。
と、なると、身肉を冷凍するしかないのだが、
自分が使っている冷蔵庫の貧弱な冷凍装置では、
これをしっかりと死滅させられるかどうかが問題になってくる。
そうなると残る手段は1つである。
そう、最初から冷凍してあるサバを買ってくるしかない。
そして今回、その冷凍してあるサバが目の前で販売されているのである。

自分は積み上げられている冷凍サバの中から、
肉付きの良さそうな1つを選んだ。
ちょうど上半身側の半身で、腹皮の辺りが、いかにも脂がのっていそうだ。
そのまま購入して帰宅したのだが、それだけの時間では
完全に融けなかったようで、切り身に触ってみると
いくらか柔らかくはなっているものの、中心部分はまだ固い。
自分はその切り身をジップロックに入れて中の空気を抜き、
ボウルに水を張って、その中に漬け込んだ。
そのまま放置すること一時間。
切り身に触ってみると、きっちりと中心部まで解凍されたようだ。

切り身をジップロックから取り出して、まな板の上に置く。
まず、全体を横に走っている背骨を掴み、これを取り外す。
ちょっと身がついてしまったが、意外と簡単に外れた。
続いて毛抜きを持って、腹骨を一本一本引き抜いていく。
動画サイトなどで「シメサバ」の作り方を調べてみると、
大方の場合、ここは包丁を使い、腹骨をまとめて切り離してしまっているのだが、
それほど大きくもない切り身の、重要な腹皮の部分である。
出来うることなら、少しでも多くの身を残しておきたいと、
包丁を使わずに、一本ずつ毛抜きを使って腹骨を抜き取ることにした。
少々、力がいるものの、これも簡単に抜き取ることが出来る。
続いて、背骨を外した跡を指で触ってみると、
身肉に対して垂直に、小さな小骨が並んでいるので、
こちらも一本ずつ引き抜いていく。

切り身についていた骨を一通り外した後、
ペーパータオルを使って、切り身の水分を出来るだけキレイに拭き取った。
そうしておいて切り身を再びジップロックの中に入れて、
そこに酢を大さじ2〜3杯分ほど入れて空気を抜く。
後は冷蔵庫の中で、サバの身に酢が染み込むのを待つだけである。

さて、ここまで自分のやった行程をそのまま書いてきたわけだが、
ネットを使って調べてみると、同じように冷凍の塩サバを使って
「シメサバ」を作るにしても、様々なやり方があるようである。
一例を挙げてみると、

・冷凍の塩サバを解凍せず、そのまま酢に浸けてしまうやり方
・骨などを全く取り除かないやり方
・切り身を漬け込む酢に、砂糖や昆布などを加えるやり方

などである。
もちろん、酢に漬け込む時間というのも人によって千差万別で、
わずか1〜2時間しか漬け込まないという人もいれば、
なんと丸まる2日間ほど漬け込むという人もいた。
自分はとりあえず、6時間ほど漬け込んでみることにした。

6時間後。
まな板の上に出来上がった「シメサバ」を置いた。
見た感じは、漬け込む前と大きく変わったような所はない。
わずかに全体の色が白っぽくなったくらいだろうか?
端っこの方を包丁で切り離して、口の中に入れてみる。
しっかりと「シメサバ」になっている。
そのまま、包丁で一口大に切り分けて、皿に盛りつけた。

ここで1つ、ある行程をとばしてしまった。
色々調べてみた所では、そのほとんどで酢に漬け終わったサバを
切り分ける前に、表面の「皮」を剥いでいた。
どうやら手で簡単に剥げるらしく、どのやり方を見ても
ピロピロと簡単に皮を剥いでいたのだが、
この「皮」剥ぎの行程を全く忘れてしまい、皮付きのまま切り分けてしまった。
ただ、その後、実際に「シメサバ」を食べてみた感じでは、
皮が残っているための不具合というのは、特に感じなかった。
面倒であれば、省いてしまっても構わない作業の様だ。

改めて、出来上がった「シメサバ」を食べてみると、
市販のものよりかは、ずいぶんと酸味が弱い。
その分、サバ自体の味わいが強いので、味自体が劣るようなことはなく、
返って、酸っぱいのが苦手な人などには、こちらの方が受けるかも知れない。
市販の「シメサバ」は保存性を高めるために、
必要以上に酢へ漬け込んでいるのだと思われる。

さて、今回の「シメサバ」作り。
もっと手間がかかったり、失敗したりするのではないか?と、
ちょっと危惧していたのだが、そんな心配がまるで嘘の様に
簡単に作ることが出来た。
もともと、冷凍の塩サバなどは、獲れたものをその場でおろし、
塩をして急速冷凍するらしいので、存外に鮮度はいいらしい。
食べてから何日かたったが、自分は健康そのものである。
ただ、自分が「シメサバ」の作り方を調べて回ったウェブサイトでは、
どこでも判で押したように、
「実際に作って食べるのは、自己責任で」と書かれていた。
やはり、安全そうな冷凍のサバを使うといっても、
やはりそこは「生き腐れ」で知られるサバ。
それを生で食べる以上、最低限のリスクは背負わないといけないらしい。

だから今回は、自分もこの定型文で締めることにする。
「作って食べるのは、自己責任で」

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