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植物 雑感、考察

茎の形

更新日:

先日、晩御飯に混ぜ込むため、暗い中、「紫蘇」の葉を収穫していて
ふと、手がその茎に触れた。
どうもミョーに角張っている。

翌日、気になって、明るい所で「紫蘇」の茎を確認してみると、
これが確かに角張っていた。
それまで、「紫蘇」の茎に関しては、パリッとしている反面、
意外にもろくて折れやすいという認識しかなかったのだが、
改めてその形を見てみると、どうやら四角い形(断面)をしているのである。

これはちょっとした驚きであった。
自分は植物について造詣が深いわけでもないのだが、
概ね、植物の「茎」というものは、丸い形をしているものだと思っていた。
それがまさかの四角である。
まあ、植物といっても自然界で生きているものなのだから
その生育している環境によって、多少の変形を伴うのはあり得ることだ。
山に生えている木を切り倒してみると、
その切り口が真円ではないなんてことは、よくある話である。
これは、陽当たりなどによって植物の成長具合が違ってくるからで、
一般的には陽当たりの良い側は大きく成長し、悪い側はあまり成長しない。
この他にも、他の植物の影響や、表皮に出来た傷や、
自らの枝などの影響を受けて、植物の茎はその形を変化させる。
それら諸々の影響を受けて、茎はその形を成しているのである。

ただ、このように茎がその形を変化させるといっても、
その根本にある形は「円」である。
円形のいずれかが肥大したり、くぼんだりしながら、その形を成している。
少なくともこれは、全ての植物に共通なのだろうと、思っていた。
今回の「紫蘇」の四角い茎は、そんな自分の思い込みを覆した。

「茎」の形が「丸」だけではないことを知った自分は、
さらにどんな形の「茎」が存在しているのかを、調べてみた。
調べてみた結果、いくつかの「丸」由来以外の「茎」の形を
発見することが出来た。
ちょっと、それらを書き出してみよう。

「三角形」の茎を持っているのは「カヤツリグサ」だ。
これは公園などに生えている雑草の一種で、
漢字で書くと「蚊帳吊草」となる。
三角柱型の茎の両端を2人で持ち、それぞれが別の面を切り開いていくと、
茎は切れずに広がって四角形を作る。
その形が、蚊帳を吊ったような形なので、この名前が付けられた。
「蚊帳」自体があまり使われなくなってきている現在では、
なかなかイメージしにくいかも知れない。
どうも、茎の断面が「三角形」をしていると、
どうしても同じような構造にならざるを得ないのか、
カヤツリグサ科の植物は、どれも同じような形をしているものが多いそうだ。

「四角形」の茎を持っているのは、シソ科の植物だ。
シソ科の植物は、ほぼ全てが「四角形」の茎を持っており、
それらを挙げてみると、シソ、ホトケノザ、ハッカ、オドリコソウ、
メハジキなどがある。
またマメ科のソラマメなども、その茎の形は「四角形」になっている。

「四角形」以上の「多角形」をした茎を持つ植物もある。
タデ科のスイバ、キク科のヒメジョオンなどは、
「多角形」構造の茎を持っている。
スイバは「酸い葉」の意味を持つ植物で、
シュウ酸を含んでいるため噛むと酸っぱい味がする。
わりとどこにでも生えている雑草だが、
その昔は子供達がオヤツ代わりに食べていたらしい。
ヨーロッパなどでは「ソレル」の名前で知られており、
こちらはちゃんとした野菜として食べられている。

単純な「多角形」とは違うものの、スギナなどは「星形」といっていい
「多角形」構造を成した茎を持っている。
一般的には「ツクシ」を生やすことで有名な植物である。
ツクシが生え終わった後、新緑の「杉の葉」に似た植物が生えてくるが、
これがスギナである。
実はスギナはシダ植物で、ツクシというのはその胞子茎である。
別名「生きている化石」とも呼ばれるほど原始的な植物であり、
茎と葉もしっかりと分化していない。
地面深くに根を伸ばすため、雑草として考えた場合、
根絶の難しい厄介な雑草でもある。

さて、今回「丸以外の形を持った茎」ということで調べてみたのだが、
どうやら見つけ出したのは、ここに挙げたいくつかのものだけである。
これを逆にいえば、それ以外の植物の茎というのは、
その大半(というかほとんど全て)が、丸い形をしているということである。
では、丸い茎と、それ以外の茎には、どういう違いがあるのだろうか?

茎が、その断面の中に角(かど)を持っている場合、
その剛性は高くなる。
早い話、固くなるわけだ。
ただ、その反面、どうしても柔軟さが無くなる。
全体を通して通っている角が、剛性をもたらす反面、
いざ強い力がかかり、茎が曲げられてしまったような場合、
その力を柔軟に逃がすことが出来ず、わりと簡単に折れてしまうことになる。
先に、自分が紫蘇の茎について、パリッとしている反面、
折れやすいと表現したのと、その性質がピタリと一致している。

膨大な植物の中で、ほんのわずかだけの「丸くない茎」。
これは、新たな植物の進化の形なのか、あるいは絶滅寸前の古い形なのか?
その辺りについては専門家に任せるとして、
身の回りの植物を注意深く調べてみると、
「丸くない茎」の植物も何種類か見つかるはずだ。

それらの茎をじっくり観察してみるのも面白いのだが、
雑に扱うと、意外にあっさりと、ポッキリ折れてしまうので、
なるべく扱いは丁寧に行なうのがオススメだ。

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