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「火つけてこい」

更新日:

明石市の市長の発言が、またしても話題を呼んでいる。

ニュースなどで報道されている、明石市長の発言はこうだ。
2017年6月、担当の市幹部に対し、市長室で

「立ち退きさせてこい、お前らで。
 きょう火つけてこい。
 燃やしてしまえ。
 ふざけんな。
 今から建物壊してこい。
 損害賠償を個人で負え」
「(担当職員について)辞表とってこい。
 当たり前じゃ。
 7年分の給与払え。
 辞めたらええねん、そんな奴。
 辞めるだけですまんで、金出せ金も」

と暴言を吐いていたらしい。

問題の発端となったのは、JR明石駅前の国道2号線拡幅に伴う用地買収。
現場付近では事故が多発しており、さらに計画が遅れていたこともあり、
一刻も早く現在の状態を解消したいという思いがあった、と釈明したそうだ。
産經新聞の報道によると
「パワハラだった。
 市長としてあるまじき態度で申し訳ない」
と述べたとある。
担当職員には謝罪し、今後、自身への処分を検討するとのことなのだが、
当然というか、この市長の発言に関しては、市の内外で大きな反響を呼んでいる。

もちろん、ここに書き出した部分以外の発言というのもあり、
そこの部分には、問題部分の安全対策を急ぐ姿勢や、
どうしようもなければ、自らが交渉に赴き「土下座でもする」と
発言をしていたりしているので、事態全体を見渡してみれば、
市長の発言自体にも大きな問題はあるが、
(発言の内容を信じるなら)それ以前に、担当職員の怠慢による
計画の大幅な遅れがあり、それに対する手だても打たれていない状況が
浮き彫りになったということになろう。
(ちなみに、この「怠慢だった」という点に関しては、
 明石市の幹部によれば、「暴言当時、交渉は後一歩の所まで来ており、
 怠慢でなかったことだけは理解して欲しい」と発言しているので、
 実際に事態がどういう風な状態だったか?という点については、
 正直、かなり不明瞭ではある)

明石市の市長の発言といえば、昨年、兵庫県が公開した
東播磨地域」の存在感の薄さを、アイドルグループの 地味なメンバーに置き換えて自虐した観光PRに対し、
「明石はそんなマイナーではない」と猛抗議した事件が思い出される。
あのときは、市長の抗議を受けてPR動画の配信が一時ストップされ、
さらに周りからの声もあって、その後、配信が再開されるなどしたため、
結果として、PR動画自体がその後、大きく注目を集めるに至った。
あの一件では、「空気が読めない」「直情過ぎる」みたいに見られていた
明石市長だが、図らずも今回の一件でも、
これと似たような評価がなされているようである。
(ちなみに今回の一件が最近明らかになったため、
 時系列的に「東播磨PR動画」発言→「火つけてこい」発言と
 思い込んでいる人もいるかも知れないが、
 ニュースでも明らかにされている通り、
 この「火つけてこい」発言は2017年6月の出来事なので、
 「東播磨PR動画」発言よりも1年ほど前に発言していたことになる)

さて、そうなるといくつか気になるポイントがある。

まず1つ目は、この「火つけてこい」発言の元となった
国道2号線の拡幅工事のその後の進捗状況である。
事故が多発し、死亡者まで出ている問題箇所が以降どうなったのか?というのは
もっとも重要なポイントなのだが、この市長の発言後、
問題となっていた立ち退きが実現し、工事は2020年に完了するという。
それが市長の発言によるものなのかどうかはわからないが、
市民の安全に関わる懸案事項については、その後、
順調に進行しているようである。

もう1つのポイント、それは一体何故、今というタイミングで
この明石市長の発言が公開されたのか?という点だ。
すでに書いている通り、この市長の発言がなされたのが
2017年6月の出来事である。
ニュースによれば、一連の発言は録音されており、
そのため、かなり細かい所まで発言が明らかになったわけだが、
それがどうして録音された当時ではなく、それから1年半以上たった今、
公開されたのか?という点である。
これについては、まことしやかに囁かれている「噂」がある。
実は明石市では、今年の4月に市長選を控えており、
現市長も3選を目指し、立候補を表明しているというのだ。
選挙まで後3ヶ月というタイミングで、この「火つけてこい」発言が
明らかにされたという事実は、当然、この選挙に絡んだ何者かの思惑が
働いていると見られているわけだ。
持って回った言い方を止めれば、早い話、
次回の市長選で立候補する予定の、他の市長候補の息がかかった連中が、
今回の暴露騒動を引き起こしたのではないか、という話である。
たしかに、選挙3ヶ月前というタイミングで
「火つけてこい」などという発言が明らかになれば、
立候補を予定している現市長のイメージダウンは避けられず、
選挙戦は苦しいものとなるだろう。
そうなった場合、有利になるのは他の市長候補者ということになる。

だが、正直に言ってしまえば、自分はその見方にも疑問を持っている。
その理由は1つ、今回の公開では「火つけてこい」発言だけではなく、
それ以下の部分についても公開されてしまっているからだ。
市長を貶める目的で録音を公開するのであれば、
市長が「土下座でもする」などと発言している部分については
キッチリとカットして公開することも出来たはずである。
録音を公開する前に、しっかりとその内容をチェックし、
少しでも市長のイメージアップになりそうな部分については
とことん排除しておかなければ、公開は何の役にも立たないどころか、
ヘタをすると市長に利する結果となってしまうことさえあるだろう。
もし、これをさせた人間が、そこを見落としていたというのなら、
これはとんでもない手抜かりで、とても政治を任せられるような器ではない。

無論、この公開がそういった政治的目的を持ったものでなく、
単純に市長に罵られたことへの「意趣返し」と見ることも出来る。
ただ、それにしてもこれを発表することのリスクは高い。
なんといっても、この録音の内容を見れば、
市長に罵られている人間が、こっそりとそれを録音していたのは明らかであり、
それが発表されたということは、当然、発表者についても誰であるか、
ほぼ丸わかりという事態に陥ってしまうからだ。
しかも、市長の発言の過激な部分だけでなく、他の部分も公開するのであれば、
録音者(罵られた人物)が、怠慢にも仕事を放棄していたように
受け取られかねない内容なのである。
そうなると、この公開が単純な「意趣返し」と見るのは早計であり、
そこにはやはり、何らかの政治的意図が隠されているのではないか?
ということになるのだが、そこについては全く不明のままだ。

物凄く穿った見方をすれば、これを発表したのは市長側と見ることも出来る。
もちろん「火つけてこい」発言は大きなマイナスイメージになるが、
それ以外の部分、特に「土下座でもする」の部分も公開されるのであれば、
ひょっとするとマイナス転じてプラスになるということもあるかも知れない。
特に今回の様に、先に「火つけてこい」が大々的に取り上げられ、
イメージが落ちていた所に、後から「土下座でもする」発言が明らかになれば、
その落差からより大きなイメージアップを図ることも出来る。
正直、これまで明石市長がマスコミに大きく取り上げられたのは、
前回の「明石はそんなマイナーではない」という発言くらいで、
あの一件では、大きくイメージを落としてしまっている。
ひょっとしたら市長がその悪いイメージを払拭するため、
自ら時間差で一連の発言を公開させたのではと、見ることも出来るわけだ。
ただもちろん、「火つけてこい」という発言については
はっきり言って拭い難いほどのマイナスイメージがついてまわるため、
普通に考えれば、とてもそんな発言を表に出すことはあり得ないのだが。

さて、その辺りはいくらあーだこーだと考えてみても答えのでない、
いわば水掛け論的な話になってしまうのだが、
どういう思惑があって、この発言が公開されたにせよ、
明石市の政界には、何やら陰謀めいたものが渦巻いているようだ。

全く他所からの意見にはなるが、もう少し、
見通しの良い状態になって欲しいものである。

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