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熊鈴の是非

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今年は例年になく、各地でクマ被害が相次いでいる。

四方を海に囲まれた日本という国の中にあって、
「クマ」というのは、最強の生物である。
まさに日本の陸上生物生態系における、トップといっていい。
もちろん、クマには人間という最大の敵がいるのだが、
基本的に、クマは人間に保護されている。
人を襲ったりでもしない限りは、
人里近くに現れたりしたクマについても、
捕獲された後、山奥に放逐されたりすることもある。
県によっては、クマは狩猟対象になっていない所もあり、
そういう場所では、クマを脅かす生き物はいないといえる。

だが、一旦、クマが人を襲ったということになると、
すぐさま猟友会によるクマ狩りが始まり、これを駆除する。
人が「チョロい」ということを学習したクマほど、
恐ろしい獣はいない。
ちょっとやそっと身体を鍛えていた所で、
人間はクマには勝てない。
アメリカのように銃の所持が自由であれば、話は別だが、
ナイフ程度の武器を持っていた所で、
クマの前では、全くの無力であろう。
つまり日本では、ひとたびクマに出会ってしまったら、
その際の運命は、クマの機嫌次第ということである。

そうなってくると、当然、
クマに出会ったらどうする?ということよりは、
クマに出会わないためにはどうすればいい?ということになる。

クマに出会わないためには、どうすればいいか?
実に単純な話で、クマの住んでいる所に行かなければいい。
日本では、クマは山の中で生息しているため、
山に近づかなければ、クマに遭遇する確率はかなり低くなる。
もちろん、それだけでクマに遭遇しないとは言い切れない。
先にも書いたように、近年では人里近くに
クマが下りて来ることもあり、
場合によっては普通の住宅地で、クマに遭遇することもあるらしい。
しかし、これはかなり稀なことで、
やはりクマに出会う確率は、山の中がもっとも高いようである。
山の中というのは、クマの生息地なわけだから、
どうしたって「そこ」でクマに遭遇してしまうのは、
仕方がないことだろう。

だが自分のように、山に登るのが趣味、ということになれば、
このクマとの遭遇を恐れていては、全く何も出来ない。
クマの出ない山に登ればいい、という意見もあるだろうが、
自分の住んでいるたつの市の山でさえ、
クマが出たという事例があるのだ。
すでにクマが絶滅してしまったとされる九州や、
ほとんど数えるほどしかクマの生息していない四国ならともかく、
本州・北海道の山に登る以上、
確率の高低はあれども、クマとの遭遇は、
常について回る問題だと考えていいだろう。

では、クマの出る山で、クマに遭遇しないためには
どうすればいいか?ということになる。
そういう話になった場合、まず、第1に名前が挙がるのが、
「熊鈴」である。
「熊鈴」などという、物々しい名前が付けられているものの、
実物は、小型の「鈴」である。
これを身につけて歩くと、歩くときの揺れによって、
鈴が音をたてる。
この鈴の音をクマが聞きつけて警戒感を抱き、
人間から離れていくというのが、「熊鈴」の効能である。
鈴の音というのは、山の中では発生しない金属音なため、
特にクマに警戒感を抱かせるという。
単純にいえば、持って歩いているだけで、
クマの方がどこかへ行ってくれる「鈴」なのである。

あれ?クマにこちらの存在を知らせ、
且つ警戒感を抱かせればいいのであれば、
別に「鈴」の音じゃなくてもいいんじゃないの?と思うだろう。
まさにその通りで、別に「熊鈴」をつけなくても、
例えば声を挙げながら歩いたり、手を叩きながら歩いたりしても、
クマにこちらの存在を知らせ、警戒感を抱かせることが出来る。
ただ、山を歩いている間中、声を挙げたり、手を叩いたりするのは、
実際は結構、面倒である。
さらに他の登山者などと行き違うときには、
かなり恥ずかしい思いをすることにもなるだろう。
これらを考えてみると、小さな「鈴」を身につけ、
歩くときの揺れによって「音」を出し続けるというのは、
お手軽だし、疲れることもない。
なかなかいいアイディアである。
小型のラジオを身につけて、
一定のボリュームで音を出すという方法もあるが、
場所によっては電波の入りにくい場所もあるだろうし、
電池が切れてしまえば、全く役に立たなくなる。
(もっともラジオの場合、人の声が流れるので寂しさが紛れるとか、
 天候の情報などを得ることが出来るというメリットもある)
その点、「熊鈴」であれば、一度購入してしまえば、
場所を選ばずに、半永久的に使い続けることが出来る。

だが、この「熊鈴」、登山者の集まるサイトなどでは、
度々その効果に、疑問が投げかけられる。
「本当にクマを避ける効果があるのか?」と。
さらに、「熊鈴」にはそれ以外の文句も付けられる。
「チリン、チリンとうるさい」と。

「本当にクマを避ける効果があるのか?」ということに関しては、
「熊鈴」の根幹に関わって来る問題である。
これが否定されるのであれば、
「熊鈴」そのものの存在意義が無くなってしまう。
登山者たちの中には、「熊鈴」に効果がないことは、
科学的に証明されている、と主張している人間も多い。
しかし、一体どんな実験をすれば、
「熊鈴」に効果がないことがわかるというのだろうか?
もし、クマの耳が飾り物で、
一切の「音」が聞こえないというのであれば、
たしかに「熊鈴」は効果がないと言い切れるが、
クマが「熊鈴」の音を聞くことが出来る限り、
効果がない、ということは証明のしようがない。
山に住んでいるクマが、普段聞き慣れない「熊鈴」の音を聞いて、
どういう反応を示すか?というのは、
クマそれぞれの個性にも関わって来ることだが、
「効果がない」ということは、
全てのクマがこれに無反応だということである。
普通に考えて、そんなことはあり得ないだろう。
登山者の中には、
「熊鈴」をつけていてクマに遭遇した、
だから「熊鈴」には効果がない、とする者もいるが、
これなどは大笑いしてしまう理屈である。
なんといっても、「熊鈴」の効果が出て、逃げていったクマを、
「熊鈴」を持っている人間は、認識することが出来ないのである。
仮に「熊鈴」をつけていて1匹のクマに遭遇したとしても、
知らない所で10匹のクマを、遠ざけているかも知れないのである。
そんなことをいったら、「熊鈴」に効果があるかないか、
どこまでいってもはっきりしないじゃないか、と思うだろうが、
まさに「熊鈴」とは、そういった種類のものであり、
どんなに調べてみた所で、その効果はアヤフヤなものなのである。
むしろ、はっきりと効果があるとか、
効果がないと言い切ることこそ、ナンセンスであろう。

チリン、チリンとうるさい、という意見に関しては、
少々、眉をひそめたくなる気持ちがある。
マジメな話、「熊鈴」の出す音など微々たるもので、
本来、「うるさい」などという苦情の出る類のものではない。
クマのいない場所でも「熊鈴」をつけている、という意見もあるが、
その効果を考えてみると、これが有効なのはクマだけではない。
恐らく、イノシシやシカ、野犬などに対しても、
一定の効果があるものと考えられ、
そういう意味では、それらとの遭遇を避けたい場合、
「熊鈴」を身につけておくというのは、有効だと考えられる。
近年、保育園や幼稚園などの施設が、
「うるさくなる」という、住民の反対意見によって、
建設中止に追い込まれることも多いという。
どうも時代の変遷とともに、「音」に対し、
必要以上に過敏な人間が増えてきているようである。
正直、「熊鈴」の音をうるさいと思うような神経の持ち主は、
山よりも、神経科の医者に行くべきだろう。

明確な効果を証明できず、どこまでいってもアヤフヤな「熊鈴」。
これにどれくらいの歴史があるのか?ということは、
いくら調べてみても、まったくわからなかった。
ただ、「熊鈴」を作っているメーカーを調べてみると、
50年の実績とか、創業100年、などという言葉が、
多く使われていた。
これらのことを考えると、それなりの歴史はあるらしい。

効果はアヤフヤながら、それだけの間、
廃れることなく使われているということは、
それなりに効果を感じる人がいた、ということかも知れない。

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