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空から○○が降ってきた

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先日、インターネットのニュースサイトを見ていると、
こんな見出しが目に飛び込んできた。

『空から魚が降ってきた!?
 札幌市の住宅で怪現象 40匹散乱』

6月下旬の某日、札幌市の住宅の敷地で
体長6~7㎝の小魚約40匹が散らばって落ちているのが見つかり、
住民は「空から降ってきた」と驚いている。

これはなかなかの怪現象である。
問題の当日、午後1時過ぎごろ、家人が庭で草むしりをしていた所、
「べちゃっ」という音に気付いた。
その直後、自家用車や屋根の上に小魚が落ちていたという。
「べちゃっ」という音を聞いている所から見て、
そのタイミングで魚が落ちてきたと見て、間違いないだろう。
記事には、魚が散乱している写真も掲載されているのだが、
その写真だけでは、魚種の特定は難しい。
見た感じ、細長く丸い魚体で、青魚っぽい体色をしており、
口先は尖っているように見える。
体長から察すれば、イワシやキビナゴの類だろうか?
中には体がちぎれていたり、潰れてしまっているものもある。
自分の見立てでは、淡水魚ではなく海水魚の様である。
確かに40匹ほどの数で、ザッと見た感じでは全て同じ魚種の様である。

記事の中では、当日は時折強い風が吹いていたことが書かれているが、
この風と、魚が降ってきた事件の関連性については触れていない。
家人は「鳥が運んだにしては、数が多い」と首を傾げる。
なお、記事の中では、かつて本州で空からオタマジャクシが降ってきた件や、
2012年に旭川市の住宅で、小魚が見つかった件についても
触れられているが、それらについてはあくまでも紹介程度に留まり、
原因などについては、全く触れられていない。

こういう、「空から、普通は降ってこないものが降ってくる事件」
というのは、昔から、たまに耳にする話である。
今回の場合、降ってきたのは魚であったが、
それ以外にも、カエルやカブトムシの幼虫、ワニ、猫、ミミズ
オタマジャクシなどの生物や、血やトウモロコシ、コインや紙幣、
石や生肉など、降ってくるものは様々である。
日本では、これを「石降り現象」、
海外では「ファフロッキー現象」と呼んでいる。
日本のそれは、主に石が降ってくる現象のみを指しており、
別名で「天狗礫」などとも呼ばれるのだが、
石以外のものが降ってくる現象に関しては「怪雨」などと呼ばれる。
今回の事例に関しては「石降り」と呼ぶよりも、
「ファフロッキー現象」あるいは「怪雨」と呼んだ方が適切だろう。

こういう「ファフロッキー現象」の原因については、
いくつかの説がたてられている。

その説の中で、もっともよくいわれるのが「竜巻原因説」だ。
これは呼んで字のごとく「竜巻」を原因と見なしているもので、
現場から離れた場所で発生した「竜巻」によって、
海の水などと一緒に魚が巻き上げられ、それが落下してきたという説である。
ただ、当然のことながら竜巻の場合、吸い上げるものを選ぶことは無い。
魚を巻き上げるのであれば、一種類だけを巻き上げることは無いし、
水やその他の浮遊物、ゴミなども一緒に巻き上げるはずである。
仮にその魚が群れで行動する性質を持っており、
そこに都合良く竜巻が発生した、と仮定してみても、
それらが狙ったように狭い範囲に降ってくるというのは、不自然である。
第一、平日の昼日中に竜巻が発生していれば、
少なくともそれに関しての情報だってあるはずだ。
今回のニュースにおいても、当該日時の天候や風の強さなどが
記載されている辺り、原因の可能性の1つとして捉えられているのだろう。

次によくいわれるのが「鳥原因説」だ。
これは、魚などを食べた鳥が、何らかの原因でこれを吐き戻し、
それが地上に落下してきた、と考える説である。
実際に落ちてきた魚が1匹や2匹というのであれば、
これは充分に説得力のある説である。
ただ、今回の件の様に40匹もの魚が落ちてきたということになれば、
さすがに説得力が弱くなってしまう。
それだけの量の魚ということになると、当然、1羽の鳥では無く、
ある程度の数を持った「群れ」によるもの、ということになるが、
それらが一斉に魚を吐き戻すという意味が分からない。
何よりも、それだけの数の鳥がやってきて、魚を一斉に吐き戻すのなら、
「べちゃっ」という音よりも先に、鳥の存在に気付くはずである。
実際に今回、魚が降ってきた家の人も、その降ってきた魚の量から
鳥原因説には否定的な見解を示している。

人工的な原因の1つとして「飛行機説」がある。
これは上空を飛んでいた飛行機から、降ってきたものが
バラまかれたという説だ。
これについても、可能性は全くのゼロではないだろうが、
そもそも上空から、わざわざ魚をバラまくという意味が分からない。
当然、空から降ってきたと考えた人は、すぐに空を見上げるであろうし、
上空に飛行機やヘリが飛んでいたら、下にいる人は音で気がつくだろう。
今回の件に関しては、家人が「べちゃっ」という音を聞いているため、
落下してきたタイミングと、それに気付いたタイミングには
ほとんどタイムラグはなかったと考えられる。
当然、状況から考えて、真っ先に空を見上げただろうから、
もし魚を降らせたのが飛行機だったとしたら、
そのときに目撃されているはずである。

もう1つ、人工的な原因の1つとして「イタズラ説」がある。
誰かが悪意を持って、魚を投げ込んだというわけだ。
こちらの場合は、他の説に比べて「いかにも」ありそうな感じがする。
ただ、今回の場合、魚を放り込んだのとほぼ同じタイミングで、
家人がそれに気がついているので、下手をすれば犯人が逃げられず、
家人に目撃、あるいは捕まってしまう可能性が高い。
さらにいえば、「イタズラ」として敷地内に魚を放り込むのであれば、
わざわざ家人が草むしりをしているタイミングなど狙わず、
家人が留守のときや、夜にでもこっそりと行なえば良いだけの話である。
わざわざ見つかる可能性の高い家人在宅時、しかも日中に
今回の件が起こっているということは、やはり不自然としか言い様が無い。

今回の件では全く当て嵌まらないが、「錯覚説」というのもある。
降ってきたのがカエルなどの場合、たまたまその場所に
大量発生しただけなのを「降ってきた」と誤解したというパターンである。
様々な条件が重なり、カエルなどが一カ所に大量発生し、
それを目にした人間が、その異様さから怪奇現象を疑い、
それらを「降ってきた」ことにするのかも知れない。
そういう場合、降ってきた、つまりかなりの高度から
落下して来たにも関わらず、カエルが全く死んでいないというようなことから、
この「錯覚説」は、成り立っているようである。
ただ、今回の場合の様に、陸の上に魚が落ちているなど、
どうしてもあり得ない状況の場合、この「錯覚説」は成り立たない。

一般的な「ファフロッキー現象」で、主な原因と考えられているものを
ザッと取り上げてみたが、どれも今回の件を当てはめてみると、
大なり小なり辻褄の合わない所が出てくる。
ひょっとすると、何か見落としがあるのか、
あるいは我々には思いもつかないような原因があるのだろうか?

いずれにしても、どうせ降ってくるのであれば、
硬貨や紙幣などが降ってきてくれた方が、ありがたいのは事実である。

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