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誤射

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先日、兵庫県佐用町内で、
ハンターによる誤射事故が発生した。

被害にあったのは、仲間4人と狩猟に来ていた
姫路市の26歳のハンターで、
これを撃ったのは、別の狩猟グループに所属している
大阪の69歳のハンターだったそうだ。
報道された所によれば、
この69歳のハンターは、狩猟免許を持っており
(当たり前だが……)、
「イノシシと間違えて撃った」と、
取り調べに答えているそうである。

詰まる所、事件の起きた現場には、
同じようにシカやイノシシの猟をしていたグループが2つ、
存在していたことになる。
しかも、加害者のハンターも、被害者となったハンターも、
地元・佐用町の人間ではない。
(もちろん、それぞれの狩猟グループ内には、
 佐用町の住民がいたのかもしれないが……)
それぞれ、姫路市と大阪府という、
佐用町からは遠く離れた場所に住んでいるハンター同士が、
事故を起こしたということになる。

実は、この誤射事故の話を聞いて、
ここの所を、ちょっと不思議に思った。
どうして、姫路市や大阪府のハンターが佐用町にまでやってきて、
猟をしているのか?
以前、友人に聞いた所では、
狩猟免許の発行は自治体単位で行なわれているという。
だとすれば、その自治体によって発行された狩猟免許は、
その自治体内でしか、使えないのではないか?
と、思っていたのだが、調べてみると、
どうやら狩猟免許自体は、全国的に使えるものらしく、
大阪府で狩猟免許を取得して、
兵庫県内で狩猟をすることも可能らしい。
(ただ、別の自治体で狩猟する場合は、
 その自治体に狩猟税を支払う必要があるらしい)
確かに大阪府の山でイノシシを追うよりは、
佐用町の山で追った方が、効率がいいような気がする。
姫路や大阪という遠隔地からも狩猟者がやってくる
ということを考えると、佐用町というのは、
よほどシカやイノシシの多い町のようだ。
そういえば、佐用町では害獣駆除で駆除したシカ肉を使って、
「シカコロッケ」や「シカカレー」というジビエ料理を
広めようとしている。
ひょっとしたら、どんどんと増えるシカやイノシシに手を焼き、
広く佐用町外からも、これを駆除してくれるハンターたちを
求めているのかもしれない。
これは全国的にいわれていることだが、
近年、ハンターが高齢化し、その数も目に見えて減ってきている。
もちろん、これは佐用町とても例外ではないだろう。
農作物に被害を与える、シカやイノシシの数は増えてきているのに、
それを駆除してくれるハンターの数は少なくなり、
かつ高齢化していく。
当然、害獣を駆除する力も弱くなり、
野生動物たちは、ますますその数を増やしていく。
シカもイノシシも、日本の山の中にあっては、
人間以外の天敵のいない生物である。
いわば、生態系の頂点部分に君臨している生物だといっていい。
唯一の天敵である、人間のハンターが少なくなれば、
彼らが爆発的にその数を増やしていくのは、当たり前のことである。
もともと人口が少なく、高齢化の進んでいる町では、
数少ない若者がハンターにならなければ、
あっというまに、ハンターは絶滅寸前にまで減ってしまうだろう。
爆発的に増える害獣と、あっというまに減っていくハンターたち。
自治体としては、直ちに対策をとらねばならない案件なのだが、
だからといって、直ちに増やせないのがハンターである。
そういう事情を省みれば、姫路や大阪など、
遠隔地からハンターがやってくるということは、
ありがたいことであったに違いない。

だが、佐用町にとって今回の誤射事故は、
ある種の、リスクを示している。
町外からやってきたハンターによる誤射事故。
今回は、ハンターとハンターの間で起こった事故であったが、
これが、ハンターと町民の間で起こらないとは言い切れない。
もちろん、ハンター同士であれば、
このような事故が起こってもいいというわけではないが、
ハンターの場合は、少なくともそういう危険性も含めて、
狩猟をしている。
他のハンターによって誤射される危険性はあるものの、
逆に言えば、自分が他のハンターを
誤射してしまう可能性だってあるのだ。
だから、乱暴なことを言ってしまえば、
ハンター同士の間で、この手の事故が起こってしまうことは、
ある意味、お互い様というふうに捉えることも出来る。
同じリスクを、自分も相手も背負っているからだ。
だがこれが、ハンターではない
一般住民が撃たれたということになると、
話は大きく変わってくる。
彼らは、ごく普通の生活をして、佐用町内で暮らしている。
そんな彼らが、ハンターに誤射され、
ケガを負ったり死亡したりすれば、当然、これはハンター同士の
「お互い様のリスク」などという観念は通用しない。
ハンターによる重大な過失として捉えられ、
彼らにライセンスを与えた自治体に対する
責任論にも繋がってくるだろう。
その場合、特に土地勘のないハンターが
町内で狩猟をしていたという点は、大きな問題になってくる。
土地の人間であれば、そこに人が来るかどうかということを、
経験で知っているものだが、遠隔地からやってきた人間には、
その辺りのことは分からない。
だとすれば、他所からやってきた外来のハンターたちが、
町内の山林で狩猟をすることについて、
否定的な意見も出てくるだろう。
そういう声が大きくなってくると、自治体としても、
土地勘の無い外来ハンターがやってきて、
害獣を駆除してくれるのを期待する、というわけにはいかなくなる。
そうなると、いよいよ害獣駆除は滞り、
自治体はその対策に、頭を抱えることになる。

もちろん誤射事故は、何も外来のハンターによってのみ
引き起こされているわけではなく、
土地勘の充分に備わった地元のハンターも、
事故を起こすことはある。
そういう場合、ちょっと目立つのが、
高齢者ハンターによる誤射事故である。
ざっと、いくつかの誤射事故について調べてみたが、
その誤射を起こしたハンターの年齢をみてみると、
そのほとんどが、高齢者ハンターによって引き起こされていた。
その事故の内容を、年齢とともに上げてみると、

・68歳のハンターが、60歳のハンターを撃った
・79歳のハンターの撃った弾が、小屋の中の61歳の男性に当たった
・82歳のハンターが、64歳のハンターを撃った
・61歳のハンターが、29歳の同行者を撃った
・73歳のハンターが、山菜採りに来ていた60代男性を撃った

見事に、全て60歳以上の高齢者ということになった。
中には、ハンターが被害に遭っているものも2件あったが、
それらの場合、被害者もまた60歳以上という高齢者だった。
注意力、認識力が歳とともに衰えていくのは仕方が無いが、
その衰えた能力で銃を発砲されては、危険極まりない。
事故が起こるというのも、ある意味、必然である。
もちろん、ハンターという区分の中での、年齢分布を見ると、
高齢者の占める割合というのが圧倒的であるため、
高齢者が起こす事故が多いというのは、当然といえば当然なのだが、
それにしても、高齢者の起こす事故というのは、
枚挙に暇がないほどである。

現在の日本では、銃を扱える人間というのは、3タイプしかいない。
1つは警察官で、彼らは必要に応じて拳銃を所持し、
これを発砲することが許可されている。
もう1つは自衛隊員で、彼らの場合も、
任務などで銃火器を所持することはあるものの、
普段の生活、つまり仕事外では、銃を所持することも、
発砲もすることも無い。
そして、最後の1つがハンターである。
警察官と自衛隊員には、銃を扱う上では、厳しい条件があり、
自分の意志だけでパンパンと、気軽に発砲することは出来ない。
さらに彼らは、銃火器の取り扱いについて、
定期的な、キチンとした訓練を行なっており、
その上での、銃の取り扱いということになるのだが、
ハンターの場合には、そういった訓練というものは
義務づけられておらず、試験を受け、講習を受けるだけで
銃を使うことが出来るのだ。
正直に言って、問題の根は、ここの所にあるのではないだろうか?

本来、警察官や自衛隊員と同じように、銃を使用するにあたっては、
少なくとも彼らと同程度の訓練や、
厳しい審査が必要なのではないか?
その訓練において、銃の取り扱いを学び、
しっかりと対象を確認してから発砲することを身体に叩き込み、
その過程で銃を取り扱うには不適当と
判断されたハンターに関しては、
猟銃の所持権を取り消すくらいのことをしても、問題はあるまい。
というより、まともな訓練、シーズンごとの
適性審査を行なっていない現状は、ハンターにとっては、
随分と甘い環境である。
この、ぬるま湯のような環境に浸っている限り、
ハンターたちの銃を扱う技量・マナーは、
高いものにはならないだろう。

銃と、それを扱う者の資格について、
抜本的に考え直す時が来ているのだろう。

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