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カマキリ

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By: Nikita

数日前のことになる。

ふと、台所の窓を見上げてみると、
そこに一匹の大きなカマキリが、へばりついていた。
まあ、家の周りは草むらも多いし、
台所のすぐ先は畑になっている。
そんな環境だから、家に居ても虫の姿を目にすることなど
日常茶飯事なのだが、カマキリを見たのは久しぶりだった。

ちょうど網戸の部分にへばりついていたので、
家の中からは、カマキリの腹側が見えていた。
早い話、カマキリを下から見ている様な格好である。
ついイタズラ心が起こり、網戸の裏からカマキリの腹を突いてみた。
ピョンと飛んで行くかと思ったのだが、
なかなか図太いカマキリで、微動だにしない。
さらに強く、2〜3回突いてみたのだが、
ピクリと反応はするものの、相変わらず網戸にへばりついている。
このときは、まあ、そんなにへばりついていたいんなら、
無理に追っ払うこともないかと思い、
そのまま放っておいたのだが、
しばらくして、コーヒーをいれに台所へ行った際も、
相変わらず同じ場所に、カマキリがへばりついていた。

ヤカンでお湯を沸かしている間に、
再びカマキリの腹を突いてみたのだが、
やはりピクリと反応はするものの、カマキリはその場を動かない。
相当、その場所を気に入っているようである。

このカマキリは、この後もうちの台所の網戸に居続け、
2〜3日後にフッと居なくなっていた。
あんな場所に張り付いたままで、
エサなんかはどうしていたのか不思議だったのだが、
一度、夜に食器を洗っているときに、
台所の灯りに吸い寄せられてきた蛾が、目の前を飛んだ際には、
驚くべきスピードで鎌を振り、見事に空振っていた。
ひょっとしたら、台所の灯り目当てにやってくる虫を
狙っていたのかも知れない。
(だとすれば、昼の間は居なくなりそうなものだが……)

カマキリは、昆虫綱カマキリ目に分類される、昆虫の総称だ。
草むらに普通に見られる昆虫で、
前足の脛節(けいせつ)の先が尖り、
鎌状に折れ曲がるのを利用して、種々の昆虫を補食する。
漢字で書けば「鎌切」「蟷螂」となるが、
「蟷螂」の方は、「蟷螂の斧」の諺でも分かるように
「とうろう」というのが、元々の読み(中国語?)のようである。
(「蟷螂の斧」は、力のない者が、自分の実力も省みず
 強い者に立ち向かうことの例えで、
 「韓詩外伝」に
 「斉の荘公が狩りに行ったときに、カマキリが前足を振り上げ、
  車の輪を打とうとした。
  荘公が「これは何の虫だ?」と問うと、
  「カマキリという虫で、進むことしか知らず、
   退くことを知りません。
   自分の力量を省みず、相手に立ち向かっていきます」
  と答えた所、荘公は
  「この虫が人間だったら、天下をとっていただろう」
  と答えた」
  と、書かれているのに基づいている)
蟷螂の「斧」という諺を見ても、
中国人の目には、あの前足は「鎌」には見えず、
「斧」に見えているらしい。
ちなみにカマキリのことを英語では「mantis」と呼ぶが、
これはラテン語の「mantis」が語源になっている。
これは「聖職者」という意味で、
鎌をたたんでいるカマキリの姿が、
祈りを捧げているように見えるということから名付けられた。
英語ではカマキリのことを「praying mantis」と呼ぶことがあるが、
「praying」とは「お祈りをする」をいう意味なので、
これは「お祈りをする聖職者」という意味になる。
洋の東西で解釈が違うのは当然とはいえ、
西洋のカマキリは随分といいイメージである。

食性は肉食性で、小型昆虫のみならず、
身体の大きさによっては、スズメバチ、キリギリス、
ショウリョウバッタ、オニヤンマなどの大型昆虫の他、
ヘビ、クモ、カエル、ミミズなども食べることがある。
だが、このカマキリの食性の最大の特徴は、
「共食い」である。
カマキリの場合、メスの方がオスよりも身体が大きく、
交尾をした後に、メスがオスを食べてしまうことがある。
これは必ずそうなる、というわけではなく、
交尾後、体力が無くなって腹が空いているメスの前に、
同じく体力のなくなったオスがいるという状況になるため、
それを食べてしまうというだけで、
別段、絶対にオスが食べられなければならないというわけではない。
基本的にカマキリのオスは、交尾後、素早く逃げ出すものだが、
うっかりと逃げ遅れてしまったオスは、
ウマウマとメスに頂かれてしまうことになる。
決して、オスのカマキリが、メスに食べられることを喜ぶ、
「被虐趣味」なわけではない。
ただ、恐ろしいことに、メスの中には
交尾途中でオスを食べ始める個体もいる。    
こうなると、オスのカマキリは逃げ出すことが出来ない。
交尾をしながら、ムシャムシャと頭から食べられていくだけである。
だが、呆れたことにカマキリのオスは、
頭や上半身が食べられ、無くなってしまった状態であっても
交尾を続けることが出来る。
ある意味、見上げた「スケベ根性」だといえるかも知れない。
(もちろん、その状態で生き続けることは不可能なので、
 やがて息絶えることにはなるのだが)
人間の男性でも、上半身と下半身は別人格といわれることがあるが、
カマキリのオスは、まさにこれを体現しているといえる。
(全くうらやましくはないが……)

こういう業の深い「悪食」のせいか、
カマキリの腹の中には、寄生虫が寄生していることが多い。
針金によく似た「ハリガネムシ」である。
カマキリの腹の中で充分に成長したハリガネムシは、
宿主を水辺へと誘導し、水を感知するとカマキリの体内を脱出する。
これはハリガネムシが産卵するためなのだが、
身体の中のハリガネムシがいなくなったカマキリは、
急激に衰弱して、死んでしまうこともある。
腹が平べったいハラビロカマキリに寄生していることが多い。

いつの間にか現れて、いつの間にかいなくなっていたカマキリ。
いまごろ、どこかでメスのカマキリに
食べられたりしているのだろうか?と考えたりすると、
カマキリに生まれてこなくてよかったなぁと、しみじみ思う。
(あのカマキリはメスだったかも知れないが……)

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