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御嶽山噴火

更新日:

9月27日、御嶽山が7年ぶりに噴火した。

ニュースでも各局が取り上げた。

ショッキングだったのは、ごく普通に登山客がいる状態で

噴火したことである。

テレビで流れている映像を見る限りでは、かなりの数の登山者がいたようだ。

御嶽山は岐阜県と長野県にまたがる、標高3067mの山である。

木曽山脈(北アルプス)の南にそびえる、独立峰だ。

標高3000mを超える山としては、もっとも西に位置している。

つまり、3000m峰のない西日本の人間にとって、

もっとも近い3000m峰である、ともいえる。

もともとは活動の終わった「死火山」であると考えられていたが、

昭和43年(1968年)ごろから活発な噴気活動を始め、

「死火山」という認識は改められた。

そして昭和54年(1979年)、水蒸気爆発を起こした。

このとき、噴煙は上空1000mに及び、噴出物の総量は20数万tに達した。

以降は1991年、2007年に小規模な噴火を起こしている。

2008年に、気象庁は「噴火警戒レベル」を導入し、

「噴火予報」を発表するようになった。

今回の噴火(2014年)は、これが導入されて以降、初めての噴火であったが、

警戒レベルがレベル3の「入山規制」に引き上げられたのは、

噴火が起こった後でのことで、実際には多くの登山者が噴火に巻き込まれた。

登山者にとって、山で出会う危険は多い。

雨、カミナリ、滑落、落石、危険生物。

これらは、登山者の経験と知識によって、遭遇する確率を下げることができる。

しかし、山火事と火山の噴火、この2つは登山者の手に余るものだ。

山火事を予想することは、誰にも不可能だし、

火山の噴火の予想は、火山学者にとっても難しい。

従って登山者は、火山の危険度について、国の危険情報を信じるしかない。

今回の、御嶽山の噴火は、これがうまくいかなかった。

登山者たちは、国が発表している「噴火警戒レベル1・平常」を信じて、

御嶽山に登り、今回の噴火に遭遇したことになる。

自分の登山に対するポリシーは「登山は自己責任」である。

山に入る人間は、最低限、自分の命の責任は、自分で持たなければならない。

つまり山に登って何か起こっても、

どこかに文句を言うことはできない、ということである。

しかしそれでも今回のケースに至っては、

登山者に自己責任を求めるのは、違うような気がする。

国という、公共機関が出していた「警戒レベル」が「平常」だったわけだから、

皆、山に登ったわけで、これが「入山規制」になっていれば、

これを犯してまで山に登る登山者は、そうはいなかったはずだ。

(もちろん、危険な状況でも関係無しに登る登山者や、

 その手の「警戒情報」を調べずに登ってしまう登山者も、

 一定数はいただろうが……)

テレビを見ていると、火山の研究をしている科学者たちが、

「予想外のことで、我々も混乱している」

とコメントしていたが、「噴火警戒レベル1・平常」を信じて

山に登っていた登山者たちの混乱は、その比ではなかっただろう。

秋晴れの穏やかな天気の下、いきなり大地が爆発し、噴煙を吹き上げたのだ。

まさに、天変地異に遭遇したといえる。

山小屋などに避難していた登山者たちの中には、

家族宛に遺書めいたメッセージを送った人もいた。

実際に、今回の噴火で火山灰がモクモクと迫ってくる様子は、

かつての雲仙普賢岳で大勢の犠牲者を出した、火砕流を彷彿とさせるものだった。

あれを知っている人ならば、自分の方に迫ってくる火山灰を見て、

死を覚悟したはずだ。

あの時は、建物の中に避難していた人たちも、建物ごと火砕流に飲まれ、

命を落としていた。

そのことを知っていれば、たとえ山小屋の中に避難していたといっても、

まるで生きた心地がしなかったに違いない。

送った本人の心情も、送られた家族の心情も、察するにあまりある。

それでも、無事に生還できれば、後の笑い話になるかもしれない。

だが、今回の噴火で命を落とした登山者たちや、その家族にとっては、

噴火するまで警戒レベルをあげなかった気象庁には、

恨み言のひとつも、いいたくなるだろう。

火山の噴火予想が難しいことはわかるが、

それでも、その精度を上げることに、力を尽くしてほしいものだ。

噴火から丸1日以上たった現在でも、相当数の行方不明者が残っている。

同じように噴火に巻き込まれた人の話では、

火山灰に埋まってしまって、そのままの登山者もいるという。

また御嶽山の麓には、連絡のつかない登山者の家族たちが、

その安否を確かめるべく、情報を待っている。

同じ登山をするものとしては、1人でも多くの人に生還してもらいたいし、

運無く命を落とすことになってしまった人も、1人も埋もれたままにせず、

せめて家族の下に帰れるように、祈るばかりだ。

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