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化学調味料は悪なのか。

更新日:

最近、というよりは随分前から、「化学調味料」が悪役である。

某有名料理マンガなどでは、散々にこき下ろされている。

世の中のグルメたちも、こぞってこれに賛同し、

天然自然、無化学調味料を標榜する風潮である。

ネットで「化学調味料」というワードで検索をかけると、

その大半が批判的な意見ばかりである。

なぜに化学調味料は、かくも嫌悪されるのか?

そもそも化学調味料とは何か?

我々の身の回りにある、一番わかりやすい化学調味料は「味の素」だ。

これを少し手のひらにとり、ペロリとやってみると

なんだか不思議な味がする。

ほんのかすかなしょっぱさと、後は何と表現していいのかわからない

もやっとした感じの味だ。

手に取った粒を良く見てみると、色は塩などと同じく白い色だが、

粒が棒状に長くなっている。

一般的に化学調味料は、科学的に合成された旨味成分、

「味の素」の場合はグルタミン酸である。

当然ペロリとなめた時に感じた味は、このグルタミン酸の旨味のはずだ。

グルタミン酸は、昆布から取れる旨味成分だ。

それを念頭に置いて味わってみると、確かに昆布だしの味に似ている。

これが、世のグルメや健康志向の人たちに、忌み嫌われている

「化学調味料」の正体である。

普通に聞いているだけでは、特に体に有害な物質でもなさそうだ。

グルタミン酸といえば、昆布の他にもチーズや緑茶、

シイタケやトマトにも含まれている。

大豆の発酵調味料である、醤油にも含まれている。

もしグルタミン酸が有害であるならば、これらも同様に危険なはずだ。

しかしこれらの食品については、特に文句を言われることもない。

グルタミン酸について調べてみると、

「興奮性神経伝達物質のひとつであり、

 記憶・学習などの脳高次機能に重要な役割を果たしている」

とある。

これだけを聞くと、人間にとって、

かなり重要な部分を支えているように聞こえる。

しかし、他にもこんな記述がある。

「内因性興奮毒としての性質を持ち、細胞死、パーキンソン病、

 抑うつなどの神経症に関わっている。

 大脳皮質でグルタミン酸は、脳虚血などの病的状況においては、

 神経毒として作用し、神経細胞の壊死を起こすことでも知られている」

文脈からだけでは、きちんとした意味はわかり辛いが、

「毒」だの「壊死」だのと、不気味な言葉が続いている。

少なくとも、人間が生きていく上では、必要不可欠な重要物質らしいが、

状況によっては人間に悪い効果ももたらす、というところだろうか?

少なくとも、過度に警戒するべき物質では無いようだ。

となると、これを嫌っている人は、どこを嫌っているのか?

よくいわれるのが、中華料理店症候群といわれるものだ。

1968年、アメリカの中華料理店で食事をした後、

一部の人々が頭痛などを発症。

この原因が、料理の味付けに使われている、

グルタミン酸ナトリウムであるとされた。

ただ現在では、中華料理店症候群とグルタミン酸ナトリウムの関連は、

否定されている。

さらにこういう意見もある。

化学調味料を常用していると、その味にならされ、

自然の旨味を美味しいと思わなくなる、というものだ。

これには、確かにうなずける点もある。

理屈でいえば、そうなるかもしれないな、という風に感じる。

でも、実際はどうなのだろう?

何か、それを実証できるものはないのか?

あった。

他ならぬ自分自身である。

うちの実家の料理は、鰹節や昆布でダシをとることはせず、

ダシの素をドバーっと入れる、母親の手によるものであった。

味の素についても、常に常備してあり、これも常用されていた。

面倒くさい時には、レトルト食品なども積極的に取り入れていた。

この家庭で育った自分自身こそが、化学調味料常用人間の見本ではないか。

そんな自分が、化学調味料が入っていないものを食べて、

美味しいと感じていないのか?

とりあえず、化学調味料の入っていない食べ物を挙げてみて、

それをちゃんと美味しいと感じているかどうかを検証してみる。

例1、冷や奴。

豆腐にネギとおろし生姜、鰹節をのせて、醤油で食べる。

美味いと感じる。

例2、焼き鳥。

塩のみで焼かれた焼き鳥を、そのまま食べる。

美味いと感じる。

例3、サバの塩焼き。

サバに塩をふって、ガスレンジのグリルで焼いて食べる。

美味いと感じる。

例4、ホウレンソウのおひたし。

ホウレンソウのおひたしに鰹節をたっぷりとかけ、醤油で食べる。

美味いと感じる。

例5、マグロの刺身。

マグロの刺身を、醤油とわさびで食べる。

美味いと感じる。

以上、化学調味料がまったく混入してない料理を、

美味いと感じるか検証してみた。

結果としては、どれも美味いと感じている。

ということは、化学調味料の味に慣れていても、自然の旨味を感じる力は

無くなったりはしていないという、何よりの証拠だろう。

自分も料理をする時には、普通に化学調味料を使う。

しかし化学調味料それだけでは、ちゃんとした味はつかない。

他の調味料と併用することによって、旨味が生きてくる。

つまり旨味とは、それ単体で味として成立するものではないのだ。

そんな旨味の性質をきっちりと理解していないと、

化学調味料は使いこなせない。

何にでも使う必要はないが、ちゃんと本質を理解して使えば、

効果的な調味料には違いない。

そういう意味では、他の調味料と何も変わらない。

病的に嫌悪感を示す人も、一度冷静になって、向き合ってみてはどうだろうか。

世の中が、かなり生きやすくなるだろう。

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