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ジャガイモの実

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先日、畑の手入れをしていると、おかしなものが目に飛び込んで来た。

トマトだ。
畑に植わっている植物の先に、まだ青いプチトマトがぶら下がっていた。
こういう風に書くと、別に問題でもなんでもないように思えるが、
実はこれには大きな問題があった。
自分は畑に、トマトなど植えていないからである。

自分が、我が家の畑に植え付けているのは、ジャガイモだけである。
4畳半か6畳ほどの広さの畑に畝を4本作り、
そこに種芋を1kg植え付けた。
今年はどういうわけか、植え付けたイモの発芽が遅く、
その芽が出始めたのは、随分経ってからであった。
ただ、一度、芽が出始めると、後はあれよあれよという間に成長して、
畑は大きく育ったジャガイモで、まるでちょっとした森の様である。
大豊作となった去年でさえ、地上部分は
ここまで大きく育っていなかったことを考えると、
今年の収穫には、大きな期待を持ってしまう。
まあ、それはともかくとして、大きく育った畑のジャガイモは
やがて薄紫色の花をつけた。
そしてしばらくすると、その花も枯れ落ちてしまったのだが、
その花のついていた所に、緑色のプチトマトがついていたのである。

もちろん、間違えてトマトの苗を植えた、なんていうことはない。
そもそも、自分が植えたのは苗ではなく、種芋である。
芽吹き始めた種芋を包丁で切り分け、
切断面に腐敗防止用の木灰をつけて植え付けていったのである。
苗を植えたというのであれば、他の作物の苗と取り違えたなどということも
あるかもしれないが、種芋を植えるのであれば、
そんな間違いは起こり様も無い。
しかし、実際に枝の先には、緑色をしたプチトマトがついている。
……。
ここで、ふと気がついた。
確かに、枝の先についている実は、青いプチトマトにしか見えないが、
どうもトマトというにしては、表面の光沢が無さ過ぎる。
改めて、その実のついている枝を手にとり、
その実を鼻先まで持って行き、臭いを嗅いでみた。
トマト独特の、あの青臭さを感じない。

自分が子供のころ、婆さんが畑でトマト、プチトマトを作っており、
自分もたまに畑の作業を手伝っていたため、
トマトの臭いを嗅いだことがある。
自分の記憶にある限り、トマトの臭いは強く、
トマトの木の傍に近づいただけで、独特の青臭い臭いがしていた。
あの青臭い臭いが、実を鼻先に近づけて見ても、全く感じられないのである。

ここで、これがプチトマトではないのではないかと、思い至った。
まあ、そもそもの話、自分で種芋を植え付けているのだから、
目の前の植物がなんであるかは、明白なのだ。
そう、ジャガイモである。
で、あるのならば、これはジャガイモの「実」ということになる。

これを呼んでいる人の中には、ひょっとすると
「ジャガイモの「実」って、要はイモのことだろう?」と思っている人も
いるかも知れないが、イモはジャガイモの「実」ではない。
イモは、ジャガイモの地下茎がデンプンを溜め込んで膨らんだもので、
いわば「茎」である。
正確には塊茎と呼ばれる部分であり、
当然、これは「実」ではない。

改めて、インターネットで「ジャガイモ 実」というワードで
検索をかけると、「ジャガイモに実がなった」という情報が複数ヒットした。
写真入りのサイトもあり、その写真を見ると
我が家のそれと同じ、プチトマトにそっくりな「実」が映っている。
どうやら、ごくまれにではあるが、
ジャガイモに「実」がつくことがあるらしい。

このプチトマトそっくりなジャガイモの「実」は、
時間の経過と共に緑→黄色→赤と変色していくようだ。
それが本当なら、ますますトマトと同じになるのだが、
実際には、まず「実」がつくこと自体、ほとんどないことで、
仮に「実」がついたとしても、変色し赤くなるまでに
地面に落ちてしまうらしい。
この「実」の中には、ちゃんと種が入っていて、
しっかりと種が成長するまで待って、これを回収し植え付けると、
ちゃんとジャガイモが生えてくるそうだ。
だとすれば、ジャガイモには地下茎から発芽する方法と、
種子から発芽する方法の、二通りの繁殖方法があることになる。
ただ、先にも書いた通り、ジャガイモの「実」はつかないことも多く、
仮についたとしても完熟する前に地面に落ちてしまうことが多い。
少なくとも、繁殖方法としては、余りにも不確実である。
そのため、より確実に繁殖するために、地中で肥大化させた根茎から
新しい芽を生やさせるようになったのではないだろうか?
やがてその方法を主として、繁殖を行なうようになった結果、
もともとの果実(種子)を使った繁殖方法は、
あくまでも「おまけ」程度のものになってしまったのだろう。
ジャガイモという種の、現在の繁殖方法を見ていると、
どうもそういう風に思われて、仕様が無い。

さて、果実ということになると、当然、気になってくることがある。
「食べられるのか?」ということである。
果実の中に種子を仕込む植物の多くでは、
その果肉部分を動物に食べてもらい、その糞に種子が混じることによって、
離れた場所に種子を運んでもらっている。
果実というものが、そういう目的で作られている以上、
それは食べることが出来る確率が高い。
しかし、ナス、トマト、ジャガイモなどのナス科の植物については、
葉や茎の部分などに毒があり、これを食べると中毒するということも
広く知られている。
特にジャガイモの場合、本来の可食部分であるイモでさえ、
陽に当たって緑色に変色した部分や、芽の生えている部分などには
ソラニンという有毒成分が含まれており、
これらを食べて中毒したという話は、枚挙に暇がない。

改めて、このことについて調べてみると、
多くのサイトでは「食べない方が良い」、「食べられない」ということが
書いてあった。
しかし一方では、熟して黄色くなっていれば食べられるという話もあり、
実際に、これを食べてみたという話も見つけることが出来た。
味については、熟しているものは甘くて美味しいというものから、
特に美味しいものではないという意見まで、大きく割れていたのだが、
これら、実際に食べてみた人の話の中では、
後から腹が痛くなったなどということは書かれていなかった。

ここで、好奇心という名の悪魔が囁いた。
「どんな味が、試してみたくないか?」

どうも自分は、こういう囁きに弱い。
早速、畑に行き、ジャガイモになっている「実」を一房、とってきた。
黄色く熟しているものがあれば、そちらを試したのだが、
畑を見て見回った限りでは、現在、うちの畑に
熟している「実」は無いようだ。
まだ青々としている「実」をまな板の上に乗せ、包丁で断ち割った。
トマトと違い、中はしっかりとしており、種の様なものも見て取れる。
どちらかといえば、トマトというよりはナスに近いようだ。
意を決して、その小片にかぶりついてみる。
トマトに比べると固さはあるが、咀嚼するのに困難なほどでは無い。
口の中で咀嚼していると、ほんのりと青臭く、
そしてかすかにジャガイモの臭いがする。
ウマいか、マズいかでいえば、ウマくもマズくもない微妙な味である。
さすがに、これを飲み込んでしまうのは抵抗があったので、
ある程度、咀嚼した所で口の中から吐き出し、口の中をすすいだ。
以降、1日以上、経ってはいるが、今の所、
腹がおかしくなった様なことは無い。

このジャガイモの「実」が出来る確率については、
品種や天候、気温などによって差があり、男爵やメークインなどでは
ほとんど「実」はつかないらしい。
自分が植え付けたのは「キタアカリ」。
比較的、「実」の出来やすい品種の様である。

※もし、ジャガイモの「実」を試してみたくなったとしても、
あくまでも自己責任でお願いします。

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