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危険物の「危険」

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世の中には、数限りないほどの資格がある。

役に立つ資格、何の役に立つのかわからない資格。

その中で、「危険物取扱者」という資格は、比較的、役に立つ方だ。

実は、「危険物取扱者」の資格を持っている。

乙種で2~5類まで、何となくとってしまった。

もともとは乙種の「第4類」をとったのが、はじまりだった。

この「第4類」というのは、引火性液体ということになっている。

要は、火を近づけると、燃えますよという液体のことだ。

具体的なものをあげれば、ガソリンや灯油、シンナーなどである。

職種によっては、資格は必須といえる。

ガソリンスタンドなどで働く場合、この資格を持っていると時給が上がる。

そういう意味では、意外と身近な資格である。

2、3、5類というのは、危険物の中でもマニアックだ。

2類は可燃性個体、3類は自然発火物質および禁水性物質、

5類は自己反応性物質ということになる。

わかりやすい物質に例えると、

第2類には硫黄、鉄粉、アルミニウム粉、マグネシウムがあり、

第3類にはカリウム、ナトリウム、リチウム、カルシウムなどがある。

第5類にはニトログリセリンなどがあるが、後は聞いたこともないような

物質名が並んでいる。

メチルエチルケトンパーオキサイドとか、

ジニトロソペンタメチレンテトラミンなど、まるで呪文か早口言葉のようだ。

えっ?鉄粉とかアルミニウム粉とか、カリウムとかカルシウムなどが、

危険物なの?と思う人も多いだろう。

鉄やアルミニウムは、身の回りに溢れているし、

カリウムはバナナに、カルシウムは小魚に入っているじゃないの、と思うはずだ。

鉄やアルミニウムなどは、粉の状態でなければ危険物にならならない。

カリウムとカルシウムは、純粋な状態だと空気中で自然発火する可能性があるし、

また水に触れると発火することもある、危険な物質なのだ。

健康番組で取り上げられるイメージと大きく違って、かなりヤバい物質なのだ。

我々にもっとも身近な、第4類の話に戻る。

可燃性液体の第4類危険物は、その危険度順に、7段階に分類されている。

挙げてみると、もっとも危険だとされているものから、

・特殊引火物……ジエチルエーテル、アセトアルデヒド

・第1石油類……ガソリン、ベンゼン

・アルコール類……メチルアルコール、エチルアルコール

・第2石油類……灯油、軽油

・第3石油類……重油、クレオソート油

・第4石油類……ギヤー油、シリンダー油

・動植物油類……アマニ油、ナタネ油

という感じになる。

ギヤー油やシリンダー油、アマニ油やナタネ油が危険物だったの?

と思われるかもしれないが、危険物だったのである。

これらを一定量以上を保管する場合、第4類危険物取扱者の資格がいる。

もちろん家庭で、料理に使う分量程度では資格は必要ない。

さて、これらの物質の、どこがどう危険なのか。

わかりやすくいえば、引火しやすいものが、

より危険であるということになっている。

例えばガソリンなどは、引火点が-40度以下となっている。

相当な極寒の世界でも、普通に引火するということだ。

これが灯油になると、引火点が40~70度になっている。

これもほぼ常温であれば、火を近づければ引火する。

重油などになると、引火点は70~150度になっている。

ここまでになってくると、加熱していなければ、まず火はつかない。

かつては軍艦の機関部などでも重油が使われていたが、

その際にも、重油を加熱して使っていた。

アマニ油やナタネ油になると、引火点は250度くらいになっている。

つまり、天ぷら鍋で天ぷらを揚げていても、火はつかないということになる。

天ぷらを上げる温度は、180度程度だからだ。

しかしこれを火にかけたまま放っておくと、やがて250度を超える。

もちろん、ここでは火はつかない。

ここで火をつけるには、火を近づける必要がある。

しかしさらに放っておいて、340度を超えると自然発火の危険が出てくる。

大方の天ぷら鍋火災は、この自然発火を迎えることによって、起こっている。

ギヤー油やシリンダー油、動植物油が、他に比べると安全かというと、

実はそうでもない。

大体、危険物には、それぞれ消火方法というものが決められている。

ガソリンなどは、泡、二酸化炭素、ハロゲン化合物、粉末消火剤などで

消火をするように指定されている。

実際、それ以外の方法で消火することは難しいだろう。

これはそのまま、重油の消火などにも当てはまる。

ところがである。

ひとたび、ギヤー油やシリンダー油、動植物油が燃えた時、

これを消す手段が無いのである。

うそ?と思われるかもしれない。

危険物の教本には、この第4石油類、動植物油の消火方法について、

ひとこと「消火は困難である」としか、書いていないのである。

見事なまでの、投げっぷりである。

これらのものが燃えるときは、すでにその物質そのものが

相当に高温になっており、その高熱が消火を阻むのである。

結局は類焼しないように、注意しながら燃え尽きるのを、待つしかない。

この消す手段のない、動植物油が一般家庭で揚げ物などに使われている。

実際のところ、天ぷら油が燃え上がった時には、

フタをしたりすることで、消火に成功することもある。

これは燃えている油の量が少ないので、なんとか力技で消せるのだ。

消火訓練などで、天ぷら油を燃え上がらせ、消火剤で消火するのも、

同じ理屈である。

本来は、火がつけば放置するしかない、危険なものなのである。

そこのところだけよく理解し、細心の注意を払った上で、

安全な調理をしていきたいものだ。

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