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ワイン

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前回、ブドウについて書いたのだが、
その中で、世界で生産されているブドウの70%以上が、
「ワイン」に加工されていると書いた。

日本国内では、生食用が90%にもなるので、
どうしても「ブドウ=生食」というイメージを
持ってしまうのだが、
世界的にみると「ブドウ=ワイン」というのが、一般的である。

ちょっと興味が湧いて、ワインの歴史を調べてみると、
ブドウの原産地とされるコーカサス地方では、
紀元前8000年ごろから、ワインを飲んでいたという。
つまり10000年前、100世紀前の話である。
前回、ブドウについて書いた中には、
メソポタミア文明のシュメール人たちによって、
紀元前3500年ごろからブドウが栽培されていたと書いたが、
ブドウの原産地、コーカサス地方では
紀元前6000年ごろには
ブドウの栽培が始まっていたとされている。
つまり、ブドウの栽培が始まる2000年ほど前から、
ワインは作られていた、ということになる。
コーカサス地方では、野生のブドウが存在していた筈なので、
恐らくはこれを収穫し、ワインに加工していたのだろう。
生のブドウはそのまま放置しておくと
あっという間に傷んでしまう。
ワインに加工するというのは、
保存食としての意味合いもあったのかも知れない。
ブドウの保存食といえば、
レーズン(干しブドウ)が有名だが、
これはワインを作るのに比べると、少々手間がかかる。
ん?じゃあ、ワインを作るのはそんなに簡単なのか?
ということになるが、
実は原始的なワインを作るのは、
非常に簡単なのである。
その製法を簡単に説明すると、
「ブドウを潰して、果汁の状態にする」
だけである。
え?潰すだけ?それを絞ったり、濾したりしないの?
という人もいるかも知れないが、
原始的なワインの製法は、ただブドウを潰すだけである。
だが、こう考える人もいるだろう。
それって、ワインじゃなくて、
ただのブドウジュースじゃないの?
……。
その通りである。
ブドウを潰して果汁にすれば、出来上がるのはブドウジュースだ。
しかしこのブドウジュース、
このまま適温で放っておくと、勝手に発酵が始まり、
勝手にワインになってしまうのである。
もちろん、品質の良いワインを作ろうと思えば、
温度や湿度の管理をしたり、
空気に触れさせないようにする工夫も必要になってくる。
しかし、これはブドウジュースの発酵を
スムーズに行なわせるためだけのことで、
発酵に関しては、特に人間が何かをする必要はないのである。

どうして、こういうことになるのか?
実は、元々ブドウには天然の酵母(野生酵母)がくっついており、
さらに果汁の中に、酵母が利用可能なブドウ糖が
含まれているため、ブドウを潰すことにより、
勝手にアルコール発酵が始まるのである。
つまり、伝統的なワインの製法というのは、
ブドウをそのまま潰し、それを樽などに入れて
放っておくだけだったのである。
(最近では、天然酵母の力に頼るのではなく、
 人工的に培養した酵母を添加し、
 発酵をコントロールして、ワインを作っていることが多い)
この際、ブドウの果汁のみを発酵させたものが「白ワイン」、
果汁と一緒に、果肉も皮も発酵させたものが「赤ワイン」である。
皮の中に含まれている色素やタンニンが抽出されるため、
あの独特の色と、渋みが生まれる。
よく、長期間熟成させたワインで
「ヴィンテージ」と呼ばれるものがあるが、
この「ヴィンテージ」とは作柄のことを表しており、
農作物の出来具合の意味である。
つまり、ブドウの品質が良い年に作ったワインということになる。
この長期間熟成させるワインは、ほとんどが「赤ワイン」であり、
長期間保存できるのは、タンニンを含んでいるためである。
ワインには「赤ワイン」「白ワイン」の他に、
「ロゼワイン」と呼ばれるものがあるが、
この「ロゼ」というのは、「ピンク」という意味であり、
その製法については、特に決まりのようなものはなく、
中には白ワインに、着色料で着色しただけのものもある。

このようにブドウを潰し、それを自然に発酵させたものが、
元々のワインだったのだが、
そのアルコール度数は決して高いものではなかった。
さらに当時のワインは、水割りにして飲むのが当たり前であり、
ただでさえ低いアルコール度数は、ますます低いものになった。
アルコール度数が高くないということは、
アルコール発酵があまり進まず、
ワインの中にブドウ糖がたくさん残っている、ということである。
つまり、そのころのワインはかなり甘さの残った酒であり、
これを水で割っていたわけだから、
ほとんどブドウジュースに近いものだったのではないだろうか。
水で割った理由というのも、
アルコール度数を薄めるという目的ではなく、
過度な甘さを和らげるためであったようだ。
そう考えてみると、
ちょっと「カルピス」に似ているかも知れない。
ヨーロッパの水は硬水であり、
そのまま飲むのには適していない。
その解決策の1つが、
ワインを水に混ぜて飲むことだったのだろう。
つまり、ワインを水で割ったのではなく、
水にワインを添加し、飲みやすくしていたというのが、
当時の実情だったようである。

ワイン製造の技術が飛躍的に伸びたのは、
ローマ時代のことであり、
この時代に、現在のワイン製法が確立した。
これにより、糖分はかなりの割合で
アルコールに変わることになり、
現在のように、ワインをストレートで飲む習慣が誕生した。
中世のヨーロッパでは、
ワインは「キリストの血」とされていたため、
ワインを作っていたのは、僧院の僧侶たちであった。
しかし当時のワインは、
キリスト教の聖餐式にて「儀礼」として飲むものであり、
これが大量に生産されるようになり、
盛んにワインが飲まれるようになったのは、
17世紀以降のことである。

ワインというのは、保存が難しい。
保存状況によって、大きく品質が変わってくるため、
きちんとした保管場所を確保することが、
何より重要になってくる。
光、振動、温度、湿度などに気を使い、
これを保存しなければならない。
これらの条件を満たすものとして、地下室が適しており、
フランスなどでは一般家庭でも、
地下室をワインセラーにしている。
日本は、元々ワインを保存しておくには
あまり適していない環境なので、
下手な環境で長期保存するくらいであれば、
さっさと開封し、飲んでしまった方が良い。

ワインを蒸留すれば、
よりアルコール度数の高い「ブランデー」となる。
ワインのアルコール度数が10~15度ほどなのに対し、
ブランデーのアルコール度数は、40~50度とかなり高い。

なぜこういう話をするのかといえば、
うちの押し入れから、
コニャックのナポレオンが出てきたからである。
調べてみると、コニャックというのは
フランスのコニャック地方で作られるブランデーであり、
ナポレオンというのは、その呼称の1つらしい。
ビンが、木製の車輪のついた台に固定されており、
「VERY OLD NAPOLEON COGNAC」
と刻印された金属のプレートがぶら下がっている。
恐らくは父親が貰うか、買うかしたものが、
そのまま押し入れの中に放り込まれ、
40年近く放置されていたものらしい。
40年ほど前に「VERY OLD」だったとすれば、
40年経った現在では、一体どういうことになるのだろうか?

押し入れの中、という保管場所と、
40年という、とんでもない時間経過を考えれば、
とてもマトモな品質を保っているとは思えず、
ちょっと開けて飲んでみようという気持ちにはならない。
かといって、今更捨てるというのにも抵抗がある。

散々考えた末、もう一度押し入れの中に押し込んだ。
これをどうするかは、
10年か20年先の自分に任せることにしよう。

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