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快傑ライオン丸 特撮時代劇とは。w

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今までも、結構、特撮ネタを書いてきた。
それからわかるように、自分は特撮が大好きである。

普通はここで、好きだった、と過去形になるのだが、
残念ながら自分は現在進行形で、特撮が好きである。
そんな自分が、生まれて初めて見た特撮番組が
「快傑ライオン丸」であった。

中には、えっ、何?
そんな特撮番組あったっけ?という人もいるだろう。
「快傑ライオン丸」は、
1972年4月から1年間放送された、特撮時代劇である。

これが本放送されていたころには、
自分はまだ生まれていない。
だから自分が見ていたのは、再放送ということになるのだが、
初特撮にしては、随分とアレなものを見ていたものだ。
たしか、「快傑ライオン丸」を見ていた当時は、
幼稚園か、大きくても小学校の1~2年生のころである。
母親と一緒に見ていた記憶があるのだが、
なぜメジャーな「ウルトラシリーズ」や
「ライダーシリーズ」でなく、
「ライオン丸」を見せたのか、そのセンスを疑ってしまう。
特撮よりも先に、時代劇を見ていたので、
初特撮には、特撮時代劇がいい、と判断したのかもしれない。
ともあれ、内容について触れていこう。

特撮時代劇ということで、舞台は戦国時代である。

果心居士の弟子であった獅子丸は、
師より「金砂地の太刀」を授けられ、
大魔王ゴースンを倒せと命じられる。
その直後に、果心居士をゴースンの手下に殺害され、
獅子丸は仲間である、沙織、小助とともに、
大魔王ゴースンを倒す旅に出るのである。
獅子丸は「金砂地の太刀」を使い、忍法獅子変化の術で
ライオン丸に変身する。
この力を使い、ゴースンの送り込んでくる暗黒魔人と
戦うことになるのだ。

……。
え?時代劇なのに「ライオン」なの?
と突っ込まれそうだ。
そう、時代劇なのにライオンなのだ。
獅子丸が変身すると、顔が白いライオンに変わる。
身体も真っ赤なコスチュームに変わり、
大きなマントを羽織っている。
とたんに時代劇っぽさは、欠片もなくなってしまう。
唯一、時代劇っぽいのが、日本刀を持っている所だ。
これが白い天馬に乗る。
天馬、ではわかりにくい。
ペガサスといえば、理解が早いだろう。
背中に羽根をつけた白馬にまたがり、
これを走らせるのだ。

もちろん、突っ込みどころはこれだけではない。
主人公のライバル・虎錠之介が変身するのは、
タイガー・ジョー。
大魔王ゴースンの使う技が、ゴースンサンダー。
好機到来と見るに、「チャンスだ!」。
横文字を否定するつもりはないが、
今、改めて目にしてみると、気になってしまう。
もっとも、子供だった自分は、
そんなことを気にすることもなく、
ライオン丸が暗黒魔人やどくろ忍者を、
バッサバッサ切り倒していくのを夢中になって見ていた。

こういう風に書いてしまうと、時代考証のムチャクチャな、
子供向けヒーロー番組に思われてしまう。
確かに時代考証がムチャクチャなのは事実だし、
子供向けであることも否定できない。
しかし、変に時代考証にこだわって、
視聴者である子供たちが楽しめなくなっては、
元も子もない。
そう考えると、横文字を躊躇なく使っていたことも、
時代考証がいい加減だったわけではなく、
子供にわかりやすいように、
考慮した結果といえなくもない。
……我ながら、好意的に過ぎる
解釈をしているとは思うが。

ただ、幼少時の自分が、
かなり夢中になっていたことは事実で、
子供のころに一番最初にマネした、
特撮ヒーローの変身ポーズは、
仮面ライダーなどではなく、このライオン丸の、
「忍法獅子変化」だった。
我ながら、随分とシブいものを真似たと思う。

ただ、ライオン丸自体のストーリーは結構面白かった。
毎週出てくる敵キャラクターにしても、
こまめなキャラクター付けがされており、
決して単純な悪役たちではなかった。
卑怯なやり方を嫌うもの。
心ならずも、ゴースンに従うもの。
様々な敵キャラクターこそが、ライオン丸の魅力だった。
その最大のものが、主人公のライバル、タイガー・ジョーだ。
ゴースンの手下として、ライオン丸と戦いを重ね、
やがて互いを認めあい、仲間になる。
単純な勧善懲悪の繰り返しでない所が、
ストーリーの面白さに繋がっていたのだ。

最初に「ライオン丸」は子供のころ、
一番最初に見た特撮番組だった、と書いた。
幼稚園か、小学校の低学年のころの話だ。
普通、そんなころに見た番組の記憶というのは、
きれいに忘れてしまっているものだが、
このライオン丸に関しては、その最終回付近を覚えていた。
それは最終回付近のストーリーが、
かなりショッキングだったからだ。

最終回の少し前、
ついにライオン丸とタイガー・ジョーが和解して、
虎錠之介が仲間になった。
子供心に、これで無敵の大魔王ゴースンが倒せる、
と感じたのを記憶している。
どういう理由でタイガー・ジョーが仲間になれば、
大魔王ゴースンを倒せると思ったのかは、
記憶に残っていなかった。
気になって調べてみると、こんな設定があった。

無敵の大魔王ゴースンを倒すには、
胸の紋章を象牙で突かなければならなかった。
そして、そのゴースンに効く象牙の槍こそが、
タイガー・ジョーの武器だったのだ。
なるほど。
これなら、タイガー・ジョーが仲間になれば、
大魔王ゴースンを倒せると思ってもおかしくない。
タイガー・ジョーと、その武器である象牙の槍こそが、
ゴースンに対抗できる唯一の武器だったのだ。

ところが、タイガー・ジョーが仲間になった翌週、
いきなりタイガー・ジョーが、
ゴースンとその手下ガンドドロによって殺されてしまう。
タイガー・ジョーはどういうわけか単身でゴースンに挑み、
ゴースンサンダーによって、目をつぶされてしまう。
戦えなくなったタイガー・ジョーを、
ガンドドロが鉄砲で嬲り殺しにするのである。
獅子丸が必死に駆けつけるも、
その直前に額を打ち抜かれ、絶命するタイガー・ジョー。
これがショッキング、その1である。

タイガー・ジョーを失ったライオン丸は、
大魔王ゴースンに対する決定打を失ってしまう。
仕方なく、単身でゴースンに挑むも、全く歯が立たない。
普通に戦っていては、
ゴースンに勝てないことを悟ったライオン丸は、
巨大化しているゴースンの口に飛び込み、
その体内で心臓を突き、ゴースンとともに爆死するのだ。
これがショッキング、その2だ。

かくして、日本征服の野望を持った
大魔王ゴースンは倒され、日本には平和が戻った。
……と、子供のころは思っていた。

しかし冷静に考えてみれば、当時は戦国時代。
日本中の大名たちが、天下を手に入れんと
割拠していた時代である。
大魔王ゴースンのやっていたことは、
手段こそ違うものの彼らと同じである。
そういう意味では、
一概に彼を「悪」と断ずることも出来ないだろう。

ゴースンはヒマラヤで習い覚えた巨大変化の術で、
大魔王ゴースンとなったが、
これは南蛮渡来の鉄砲で武装した織田信長と、
やっていることは本質的に変わらない。
さらに、自分の弱点を突くことの出来る
タイガー・ジョーが、ライオン丸側についた途端に、
全力を挙げてこれを抹殺するのも、
当たり前といえば、当たり前である。
自分を倒せる唯一の武器を持つ者が裏切ったのに、
これを放置しておくことなど、あるはずがない。

子供のころは、ライオン丸がゴースンと
相討ちになったことがショックだっただけだが、
大人になり、時代背景などを理解してみると、
子供のころとは、また違った物の見方が出来るようになる。

突っ込みどころの多い作品ではあるが、
それでもやはり、これは大人も楽しむことの出来る、
名作特撮時代劇である。

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