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ノジギク

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兵庫県民にとって、「ノジギク」といえば特別な花だ。

あまり実感は無いのだが、「ノジギク」は
兵庫県の花ということになっているからだ。
「のじぎく会館」というような施設の名前に使われることもあるし、
「のじぎく兵庫国体」というように、
イベントの名称に用いられることもある。
兵庫県の花であり、県の各種名称に用いられているにも関わらず、
「ノジギク」という花にそれほど実感を持てないのは、
やはり普段、身の周りで、日常的に目にする機会が無いからだろう。
基本的に「ノジギク」は野生の花なのだが、
自分の知っている限り、自分の住んでいるたつの市において、
「ノジギク」が自生している場所というのが、思い浮かばない。
そういう意味では、名前だけは良く聞くものの、
普段、全くといっていいほど目にすることが無い花ということになる。

数日前、この兵庫県の花「ノジギク」についてのニュースがあった。

『兵庫県花 ”非公認”のまま60年
 今年判明、慌てて登録』

先に書いたように、兵庫県の花として、
様々な場面で用いられてきた「ノジギク」だったが、
今年になって、県が公式に「県の花」に指定する手続きを
行なっていなかったことが判明した。
公式な「県の花」にするために、手続きがいるというのは初耳だったが、
これまでそれがなされていなかったため、正式な話をすれば、
兵庫県にはちゃんとした「県の花」が存在していなかったことになる。
そのため、兵庫県は急遽4月1日付けの県公報でこれを認定した。

県の自然環境課によると、「ノジギク」が県の花として
扱われるようになったのは1954年ごろからで、
NHKや全日本観光連盟などが、全国47都道府県の「郷土の花」を募集し、
兵庫県からは「ノジギク」が選ばれることになった。
以降、「ノジギク」は兵庫県の花として、
先に書いた様な施設の名前や、イベントの名称に使われてきた。
ところが今年2月、県議会において「もっと活用すべき」との声があり、
取り扱いを調べてみて「非公認」の状態であることに気付いたという。
詰まる所、60年以上も「非公認」のまま、
「ノジギク」を県の花として扱ってきていた、というわけだ。
あまりの迂闊ぶりに情けなくなるが、
冷静に考えてみれば、ポカをやらかしたのは現在の県庁職員ではなく、
60年前の職員たちである。
現在、働いている職員たちが生まれる前から、
兵庫県の花は「ノジギク」ということで、やって来ていたわけだから、
ここに疑いを持てというのも、無理な話だ。
むしろ今回の県議会の指摘から、「非公認」の状態に気付いたことの方が
すごいのかもしれない。
ちなみに、同じ様な「県の木」や「県の鳥」に関しては
きっちりと指定されていたという。

「ノジギク」は、キク科キク属に属する多年生植物だ。
漢字で書けば「野路菊」となり、植物学者の牧野富太郎が発見し、
命名したとされる。
牧野富太郎は、明治・大正・昭和の3時代に渡って活躍した植物学者で、
「日本植物学の父」とも称される人物である。
多数の新種を発見し、これらを命名した人物なのだが、
「ノジギク」もまた、彼によって発見・命名されたワケである。
「ノジギク」がいつ、発見・命名されたのかはわからなかったが、
恐らくは明治後半辺りから、昭和初期にかけてではないかと思われる。
日本に古来から存在していた在来種なので、
彼に発見される以前も、それなりに繁茂していたのだろう。
あまりにも身近な野草であったため、それまで誰も
特に気にする様なことがなかったのかもしれない。

本州・四国・九州に自生しているが、
その自生場所は瀬戸内海や太平洋沿岸の山野で、
本州では兵庫県以西にしか自生していない。
つまり兵庫県は、「ノジギク」の自生する東端であるわけだ。
この辺りが、「ノジギク」が兵庫県の花に認定された理由だろう。
兵庫県内では、姫路を中心とした播州地区に多数自生しているが、
近年では六甲山系の神戸地区にも、かなりの数の
自生地点があることが判明している。
国内レベルでいえば、この六甲山系の「ノジギク」が
自生地域の東端ということになるのだろう。
兵庫県内に限っていうのであれば、姫路市南東部の大塩地区辺りが
もっとも「ノジギク」が自生している場所ようだ。
同じ兵庫県内であっても、神戸地区、姫路地区以外では
それほど自生していないのか、あまりその姿を見ることは出来ない。
神戸地区などでは、沿岸部から距離のある場所でも自生していることから、
ある程度、海から離れている環境であっても
繁殖することは出来るようだが、残念ながら我が家の近辺では
その姿を見かけることはない。

もちろん、栽培することも可能である。
もともと野生の野菊だけにその生命力は強く、
とりあえず植えておけば、後は勝手に育つ。
陽当たりがよく、水はけ・風通しが良い、
いわゆる野生の「ノジギク」が自生している環境と同じ様な場所であれば、
特に手をかけてやる様な必要は無い。
ただ、アルカリ性の土壌よりは弱酸性の土壌を好むため、
コンクリートの側の土などは避けた方が良い。
もう1つ、これは何も「ノジギク」だけに限った話ではないのだが、
菊の仲間は、日照時間がある程度短くならないと、花を咲かせない。
(「電照菊」と呼ばれる菊は、夜間に電灯の光を当てることによって
 菊の開花時期をコントロールして、出荷量を調整している)
そのため、近くに街灯などの人工照明がある場所だと、
花が咲かなくなってしまうことがある。
植え付ける前に、土壌の酸性・アルカリ性、
近くに夜間照明などがあるかどうかは、
チェックしておいた方がいいだろう。

さて、今年の4月に急遽、正式に兵庫県の花として登録された「ノジギク」。
(まあ、県民としては、もう60年以上も
 そのつもりだったわけだが……)
恐らくは、県花としては全国一、新しい(手続き上は)ということになる。
もうこうなったら、いっそのこと開き直り、
「ノジギク・県花登録記念」として、色々なイベントを
行ってみてはどうだろうか?

そうすれば、県議会で指摘された「もっと活用すべき」という点についても
うまくクリアできそうな気がするのだが。

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