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ゴルフの精神

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先日、インターネットのニュースサイトを見ていると、
この様な見出しが目に入った。

「ゴルフ スコア改ざんの選手を10年間の出場停止処分」

詳しく書くとこういうことになる。
今年、10月に行なわれた男子ゴルフの下部ツアーの大会で、
ある男子選手が自らのスコアを改ざんし、実際よりも少なく申告した。
ラウンドを終えた後、スコアカードの2カ所を消しゴムで消して、
その数字を書き換えたようだ。
自分のように、ゴルフのことを良く知らない人間から見ると、
思わず、小学生かっ!と、突っ込みたくなるのだが、
その後、彼と一緒にラウンドしていた選手が、
この数字の違いを指摘、彼は改ざんを認めた。

ゴルフというのは、競技中、審判がいない。
選手たちが何人かで組を作り、コースを回っていくだけである。
肝心のスコアについても、選手たちが自らこれを記録して、
ラウンド終了後に、これを大会の主催者に提出する。
この提出されたスコアを元に、順位が決められるのである。
ゴルフという競技の性質上、スコアがわずか1か2でも違えば、
結果的に順位は大きく変動してしまうことになる。
そこまで重要な試合のスコアの記録が、
全く選手のみに委ねられているという所に、
ゴルフという競技の凄さがある。
もちろん、全く、何も不正対策がなされていないということはない。
競技会などの場合、同伴競技者の中から
マーカーと呼ばれる者を指定され、そのマーカーに自分のスコアを
つけてもらうことになる。
もちろん自分自身も、同伴競技者のうち、誰かのマーカーとなって
そのスコアを記録する。
(一応、確認のため、マーカー相手の記録の他に、
 自分のスコアも記入しておく)
ラウンドの後、マーカーが記録したスコアに間違いがないことを確認し、
それに自分のサインを入れて、これを提出することになる。
だから、今回の様に、ラウンド終了後に
消しゴムで記録を書き換えたとしても、
自分のスコアをつけていたマーカーが、発表された結果を見れば、
その手の不正は、すぐに暴かれてしまうことになるのである。
さて今回、不正が明らかになった選手はどうなったか?

今回のスコア改ざんが明らかになった後、
日本ゴルフツアー機構は、懲戒・制裁委員会を開いて処分を検討した。
委員会は、男子選手が20歳という若さで、
かつ、今回の違反が初めてであるということを考慮した上で、
「10年間の出場停止」という判断を下した。
注目すべきは、20歳という若さと、初めての違反ということを
考慮した上で下された判断である、という点だ。
これは「10年間の出場停止」というのが、
かなり甘い判断ですよ、ということを意味している。
20歳の選手が、「10年間の出場停止」ということになれば、
30歳になるまで、大会の類には全く出場出来ないということになる。
20代という期間を、全く無為に過ごすことになるのだ。
スポーツ選手の20代といえば、まさに全盛期である。
もっとも体力の充実している時期であり、
スポーツの種類によっては、第1線で活躍できるのは、
10代後半くらいから20代まで、なんていうものも珍しくない、
そういうスポーツに比べれば、ゴルフは選手の活躍できる
年齢の幅が広いものの、それでも体力的な全盛期である
20代がまるまる無くなってしまうというのは、
競技者としては、ほぼ致命的な大ダメージだ。
この処分が甘いというのであれば、
普通に考えれば、スコアの改ざんというのは、
「除名」が「永久追放」が妥当だということだろう。
これだけの厳しい処分が出た理由というのが、
スコア改ざん云々という理由ではなく、
「ゴルフの精神」に反した行為を行なった、なのである。
まさに、ゴルファーたちにとって「ゴルフの精神」とは、
(選手)生命よりも重要視される、鉄の掟なのである。

普段、ゴルフというものに全く関わっていない自分などからすれば、
今回の「10年間の出場停止」というのは、
とてつもなく厳しい処分の様に思える。
高校野球などでも、出場校の暴力・飲酒・喫煙などが
明らかになった場合、公式試合への出場禁止や、活動禁止などの
措置がとられる。
しかし、そんな場合であっても、ほとんどの場合は1年、
長かったとしても2〜3年というのが常である。
「除名」や「永久追放」、「出場停止」にしても
10年レベルでのものというのは、全くというくらい聞いたことがない。
もちろん、スコアの改ざんと、暴力行為や飲酒などを
全く同一に見ることは出来ない。
スコアの改ざんは、ゴルフというスポーツそのものに関わってくる
違反なのに対し、暴力・飲酒・喫煙は、社会生活上のルール違反だ。
これを野球に当てはめるとすれば、ルール違反の改造バットの使用などと
同じということになる。
ルール違反の改造バットといえば、アメリカ大リーグの強打者が
使用が禁止されているコルクが入っているバットを、
使っていた事件があった。
(本人は練習用のものを、間違って使用してしまったと弁明している)
バットが折れた際、中にコルクが入っているのが明らかになったのだ。
この件で、その打者は試合を退場処分になり、
さらにその後、7試合の出場停止処分が下された。
この改造バットの使用が本当に故意ではなかったのか?と
いうことについては、どこまでも疑わしい話なのだが、
それでも処分は、その試合と、7試合の出場停止に留まっている。
単純に引き比べるのもどうかと思うが、
それにしても、この処分の厳しさの「差」はどうであろうか?
この処分の厳しさの「差」の原因となっているのが、
恐らく、この「ゴルフの精神」なのであろう。
では、この「ゴルフの精神」とは、一体、何なのか?

実は、この「ゴルフの精神」なるものは、
ゴルフのルールブックの第1章冒頭で、しっかりと明記してある。
それをちょっと書き出してみよう。

『ゴルフは、ほとんどの場合、レフェリーの立ち会いなしに行なわれる。
 また、ゴルフゲームは、プレーヤーの一人一人が、
 他のプレーヤーに対しても、心くばりをし、
 ゴルフ規則を守ってプレーするという、その誠実さに頼っている。
 プレーヤーはみな、どのように競い合っているときでも
 そのようなことに関係なく、礼儀正しさと
 スポーツマンシップを常に示しながら、洗練されたマナーで
 立ちふるまうべきである。
 これこそが正に、ゴルフの精神なのである』

ルール、というよりは、プレイヤーとしての心構え、
その姿勢などを示したものである。
しかし、逆にいえば、ルールブックの冒頭に書かれているということは、
ある意味、これこそがゴルフのもっとも重要なルールであり、
それは今回の、厳しい処分にも現れている。

「ゴルフ」「スコア改ざん」ということで調べてみると、
今回の彼以前にも、何人か同様のマネをして
処分されたゴルファーたちがいるようだ。
その場合も、やはり今回と同じように、長期の出場停止という処分が
下されている。
こういう前例があるにも関わらず、
どうしてスコア改ざんをしてしまうのか?

さらに調べてみると、一例としてこんな話が見つかった。
ゴルフをやっている子供の中には、本人の意志ではなく、
どちらかといえば、親の強い指導によってゴルフをしている子供がいる。
そういう親の場合、子供のスコアが悪いと、
人目も憚らずに子供を叱り飛ばす様なこともあるらしい。
子供は叱られたくないばかりに、スコア改ざんに手を染める。
こうなってくると、正に子供にとっては地獄といっていいだろう。

もちろん、これはあくまでも、そういうこともあるという一例で、
今回の事件が、どういう事情の上で起こっているのかという件とは
全く別問題だ。
だが、選手がスコア改ざんに手を染めるとき、
その背景には様々な事情があることもまた、事実なのである。

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