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スーパームーン

更新日:

By: nubobo

今月の4日、月が「スーパームーン」であった。
(ニュースサイトなどで調べてみると、12月4日の夜が
 「スーパームーン」としているサイトが大半であったが、
 いくつかのサイトでは、その前日である12月3日の夜を
 「スーパームーン」としていた。
 どちらかが間違っているのか、あるいはどちらも正しいのかは不明だ)

当日の夜、外に出てみると、なるほど、満月が煌煌と照っている。
たしかにその月の明るさで、家の周りなどは
昼間ほどではないにしても、わりとよく見える。
ただ残念なことに、普通に空を見上げているだけでは、
そこに浮かんでいる月が「スーパームーン」である、という感覚は
沸いてこない。
まあ、確かになかなか明るい月ではあるのだが、
それでも普段の満月と何かが違っているか?と聞かれたら、
特に何かが変わっているというようなことも感じない。
極端なことを言ってしまえば、その前後の日の夜にも月は出ていたが、
それらの月も充分に明るかったので、その「スーパームーン」のみが
特にどうというようなことは、感じなかったのである。

ここ近年、TVのニュースなどで、
「スーパームーン」という言葉を、よく聞くようになった。
ニュース解説員の説明によれば、
曰く「普段の月よりも、月が大きくなる」ということらしい。
もちろん、月の大きさが変動したりするワケが無いので、
これはあくまでも、地球上にいる我々の目に、
そのように映るというだけの話である。
当然、どうして月の大きさが変わって見えるのか?
ということになるのだが、これも理屈でいえば、至極簡単なことで、
「スーパームーン」時の月は、地球に近いから大きく見えるのである。
近くのものは大きく、遠くのものは小さく、遠近法の理屈だ。
月は約27日の周期で、地球の周りを公転している。
(ちなみに、月はこれと全く同じ周期で自転もしているため、
 地球からは、常に同じ面しか観測することが出来ない)
その際、月は地球の周りを真円の軌道で回らず、
楕円軌道で回っているため、必然的に地球との距離が縮まったり、
離れたりを繰り返すことになる。
その距離はおおよそ35万キロ〜40万キロ。
なんと5万キロもの距離差が生じているのである。
この月の地球への最接近のタイミングと、
月の満ち欠けによる、満月・新月のタイミングが重なったときが、
いわゆる「スーパームーン」と呼ばれるタイミングになる。
当然のことながら、全く逆のタイミング、
つまり、月がもっとも地球から離れているタイミングでの
満月・新月というのも存在しており、
こちらは「マイクロムーン」と呼ばれる。
しかし、残念ながらこちらの方は、全く騒がれるようなことも
ニュースに取り上げられるようなこともない。

では、この「スーパームーン」、普段、我々が目にしている
平均的な大きさの月(といっても、上記の理由で月の大きさは
常に変化しているため、この言葉自体にあまり意味がないのだが……)
と比べると、どれくらいの差があるのだろうか?
調べてみると、「スーパームーン」と「マイクロムーン」の差を
挙げている所ばかりで、平均的な月の大きさと「スーパームーン」の差を
挙げている所が全く無い。
一応、こちらの方を挙げておくと、
「スーパームーン」は「マイクロムーン」よりも直径で14%大きく、
面積で30%大きい、ということになっている。
面積の大きさは、当然、月の明るさに比例することになるので、
「スーパームーン」は「マイクロムーン」よりも30%明るい、
ということになる。
結構、差が大きいな、と思われるかも知れない。
しかし、これはあくまでも最大と最小の差である。
平均がこのちょうど真ん中のサイズだとすれば、
単純に考えれば、平均的な月との差は直径7%、明るさ15%となる。
さらにいえば、「スーパームーン」前後の日の月などは、
月自体、満月に近い形であるし、地球との距離も
まだ近いといえる位置にある。
当然、正確に言えば「スーパームーン」ほどではないにせよ、
それに近い大きさ・明るさを持っている、ということになる。
つまり、普段から月を見上げているような人にとっては、
日々変化している月の、変化の切り替わり点に過ぎないということになる。

さて、問題はこの「スーパームーン」という言葉を、
ここ近年で、良く聞くようになってきたことである。
もちろんこれは、「スーパームーン」という現象自体が
最近になって注目され始め、マスコミなどが
これを取り上げるようになった、というのが最大の理由なのだが、
実は、この「スーパームーン」になる頻度にも関係がある。
今回、12月4日に「スーパームーン」になったわけだが、
実は次回の満月、暦の上では来年の1月2日になるのだが、
この次回の満月の際にも、「スーパームーン」現象が起こる。
しかも計算上、次回の「スーパームーン」は、
今回の「スーパームーン」よりもさらに大きく、明るくなるはずなのだ。
さらにいえば、その次の満月、1月31日の月もまた、
今回ほどではないものの「スーパームーン」といえる大きさになる。
(「スーパームーン」自体、天文学的にキッチリと
 定義されているわけではないので、そこら辺は
 「スーパームーン」とされないかもしれないが……)
それ以降、満月はだんだんと小さくなっていき、
7月28日の満月を持って、そのサイズは最小の
いわゆる「マイクロムーン」になり、そこから再び
月のサイズが大きくなっていき、計算上ではさらに翌年の初頭ごろに
再びそのサイズが最大になるはずである。
こういう風に見れば分かるように、「スーパームーン」の周期は、
多少のズレはあるものの、ほぼ、1年周期であるといっていいだろう。
さらに、そのサイズが最大になるのは1回だけだが、
今回のケースのように、その前後の満月もまたサイズは大きくなるため、
「スーパームーン」と呼ばれることもある。
そう考えると、1年のうち、1〜3回ほどは
「スーパームーン」が起こるといえるわけだ。
そういう風に考えれば、この「スーパームーン」というのは
1年のうち、1回程度は必ず起きる自然現象で、
いわば季節の風物詩に近いものと、捉えることが出来る。
年に1回、多ければ3回ほど、
TVで「スーパームーン」の名前が出てくるのだから、
ああ、最近、「スーパームーン」という言葉を
良く耳にするようになったなー、と感じるのも、
無理のない話なのである。

さて、先にも書いたように、次回の満月、
すなわち1月2日の夜には、今回以上の「スーパームーン」が現れる。
お正月で暇なこともあり、外に出て、
これを見てみようという人もいるかも知れないが、
何しろ寒い時期のことだけに、防寒には注意を払い、
風邪などをひかないようにしよう。

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