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エイプリルフール

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4月1日、新年度を迎えた。

我が家では、まともに取り入れられることもなかったのだが、
この年度始めの4月1日は、
「エイプリルフール」ということになっている。
まあ、わかりやすくいえば、「嘘をついてもいい日」である。
これは法律で「そう」定められているわけではなく、
あくまでも世間一般での風習程度のものなので、
詐欺など、悪辣な犯罪に繋がるような嘘をついた場合は、
もちろん、法律に則って罰せられることになり、
その辺の匙加減をわきまえず、調子に乗って110番や119番に
嘘の通報などをしても、決して冗談ですませてはくれない。
あくまでも「ジョーク」として許されるレベルの
「嘘」でなければならない、ということだ。

自分が、この「エイプリルフール」について初めて知ったのは、
マンガ「ドラえもん」の中でのことだったと思う。
「嘘」をついても許される日、というのは、
マンガのストーリーを作る上では、面白い題材なのか、
「ドラえもん」の中では、何回か「エイプリルフール」をネタにした
ストーリーがあった。
まあ、その大方が、ジャイアンやスネ夫に騙されたのび太が
ドラえもんに泣きついて秘密道具を出してもらうというもので、
その秘密道具を使って、
ジャイアンやスネ夫を騙し返すというものだった。

自分が「ドラえもん」の中だけで、
「エイプリルフール」に触れていたころ……、
まあ、早い話、自分が子供だったころだが、
世間は、それほど「エイプリルフール」について、熱心ではなかった。
「エイプリルフール」だからといって、
積極的に誰かを騙そうなどとは考えなかったし、
4月1日に誰かに騙されたような記憶もない。
たまにニュースを見れば、外国のテレビ局が
「エイプリルフール」に嘘のニュースを流し、
それを真に受けた視聴者からの問い合わせが殺到した、
なんていう話があったが、
それらはあくまでも「よその国の話」であり、
我が国の報道機関が「エイプリルフール」にかこつけて、
「嘘」の報道をしたなんていうことは、一度もなかった。
(まあ、マスコミは4月1日に限らず、
 年中「嘘」まみれだ、なんていう話もあるが……)
そういう意味では、日本という国は
やはり「真面目」な国だった、ということだろう。

これが、ちょっと変わり始めたのは、
インターネットが普及し始めてからだろう。
いくつかの企業などが「エイプリルフール」に便乗して、
ホームページ上に「ジョークネタ」を披露するようになり始めた。
もちろん、お堅い企業がこういうことを始めたわけではなく、
玩具会社や、映画会社、ゲームソフトメーカーなど、
もともとその事業内容が「遊び」につながっている企業が
季節的な「お遊び」のひとつとして、
この「エイプリルフール」を活用し始めたのだ。
これを行なった企業の狙いはあたり、
こういった「エイプリルフール」企画はファンの注目を集め、
企業ホームページなどの閲覧数アップに繋がっていった。
そうなってくると、我も我もと続くのが、我が国の国民性だ。
やがて、インターネットを使った「エイプリルフール」企画は、
様々な企業のネット上での春の定番企画になっていった。
現在では、実生活上ではともかく、
ネットの世界では、企業などによる「エイプリルフール」企画が、
かなりメジャーなものになりつつあるようだ。

この「エイプリルフール」。
先にも書いたように、要は毎年4月1日に
「嘘」をついてもよいという風習のことなのだが、
この風習が、いつ、どこで始まったのか?ということに関しては、
はっきりしたことはわかっていない。
ただ、現在では世界中の国で、
この「エイプリルフール」の風習が見られる。
「エイプリルフール(April Fool)」というのは英語で、
これを日本語に直訳した場合は「四月バカ」となる。
この言葉を聞いたことがある、という人も多いはずだ。
中国語では「愚人節」、フランス語では「プワソン・ダウリル」となり、
これを直訳すれば「4月の魚」となる。
これだけではサッパリ意味が分からないが、
フランスでは、子供が紙に描いた魚の絵を、
こっそりと人の背中に貼付けるというイタズラをするため、
このような呼ばれ方になったらしい。
(ちなみにこの「魚」というのは、4月ごろに良く捕れる
 「サバ」のことを指しているという)

「エイプリルフール」の由来として、もっとも有名なものが、
1564年、フランスのシャルル9世に関わる話だ。

シャルル9世はこの年、それまでの3月25日を新年の始まりとして
4月1日まで「春の祭り」を開催していた古い暦を改め、
1月1日を新年とする「グレゴリオ暦」を採用することにした。
元来、暦を代えるというのは大変なことである。
なんといっても、それまでの生活パターンが
大きく変わってしまうことになる。
暦そのものではないが、我が国でも
「サマータイム」の導入が叫ばれたことがあったが、
結局、これはまともに定着することもなく、
有耶無耶になってしまった。
同じように、当時のフランスの国民も、
この暦の変更に反対して、4月1日に「嘘の新年」として
馬鹿騒ぎを始めた。
これにシャルル9世は怒り狂った。
直ちに部下を走らせ、馬鹿騒ぎをした人間を片っ端から捕らえ、
これを処刑してしまったのである。
この処刑によって亡くなった人たちへの哀悼と、
残虐なシャルル9世への抗議の意味を込めて、
その後も、毎年4月1日には「嘘の新年」を祝って
馬鹿騒ぎが行なわれるようになり、
やがてこれが「エイプリルフール」へと変わっていった、
というものである。

この他にも、「エイプリルフール」の起源とされる話は
いくつもある。

先にフランスでは「エイプリルフール」のことを
「4月の魚」と呼んでいるという話を書いたが、
これは4月には魚(サバ)が物凄くたくさん釣れるため、
この大漁祝いの際の子供たちのイタズラとして、
紙に描いた魚の絵を、人の背中にこっそりと貼付けることが始まり、
これがやがて「エイプリルフール」へと変わっていったというもの。

旧約聖書に載っている「ノアの方舟」の話で、
ノアが箱船からハトを放ち、陸を探そうとしたが、
何も見つけることが出来ずにハトが戻ってきた日が4月1日だった。
そのことから「ムダな日」=「嘘をついてもいい日」に
なったというもの。

インドの修行僧たちは、春分の日から1週間、過酷な修行を行ない、
4月1日にその修行が終わるという。
すると、せっかくの悟りの境地から、迷いの多い現世に戻ってしまい、
「辛い修行がムダになる」ということで、
この修業期間があけた日のことを「揶揄節(やゆせつ)」と呼び、
人にムダなことをさせてからかうようになった、というもの。

古代ローマでは、1年に1度だけ、
主人と使用人が入れ替わるというお祭りが行われており、
このお祭りから「エイプリルフール」が生まれたとするもの。

イエス・キリストがユダに裏切られたという事実を、
忘れないように設けられたというもの。

こうして「エイプリルフール」の起源を並べてみても、
その場所も時代も、まったくのバラバラである。
ただ、それだけ多くの場所で、
「エイプリルフール」の起源が叫ばれているということは、
かなり古い時代から、世界のあちこちで
似たような風習があったということだろうか?

正直、これらの起源話の多く(というか、そのほとんど)が、
「嘘」ということになるのは、なんとも皮肉な話である。

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