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時事 歴史

皇帝ダリア

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先日、自転車で走っていると、
とある民家の庭先に、薄紫色の花が咲いていた。

もちろん、それだけならば、それほど珍しいことでもない。
11月はまだ秋である。
秋に咲く花は多いし、その中には紫色の花も多い。
しかし、その花が他のものと違っていたのは、
その咲いている位置である。
自転車に乗っている自分の目線から、遥かに上、
地上3〜4mほどの位置に、その花は咲いていたのである。
……。
それじゃあ、花といっても草花ではなく、
木に咲く花なんじゃないの?と、思った人もいるだろう。
ところが、その花の下側に目をやってみると、
木というよりは、普通の草のように見える。
葉も茎も鮮やかな緑色をしており、木という感じはしない。
背丈こそ大きいものの、パッと見た感じでは、
やはり草にしか見えない。
さらに花がついているのも、高く伸びた先端の部分で、
この花のつき方を見ても、やはり草のように見える。

その後、同じように自転車で走っていると、
最初見たものの様に、3〜4mもの高さは無いものの、
1〜2mほどの高さの同じ花が、
あちこちで咲いているのをみつけた。
これらは、最初に見たものほど大きくなかったため、
目に入っても、それほど強い印象を受けなかったようだ。
だが、一度、背丈のあるものを見て、その花の形を覚えてしまうと、
どうしても同じ花があると、気になってしまう。
そうして注意を払いながら見ていると、
最初見たものと同じ、3〜4mほどあるものも、
ちらり、ほらりと見かけるようになった。
何本もまとめて植えられていることは、少ないものの、
畑の隅や、庭の端などに、1本だけ植えられていることが
多いようである。

家に帰った後、ネットでこの花について調べてみた。
と、いっても、わかっているのは、
11月の中旬ごろに紫色の花をつける、
背の高い草(?)ということだけである。
まず、花の検索が出来るサイトで、
秋の紫色の花について調べてみた。
さすがにこれだけだと、画面に表示される花の数が
エラいことになる。
それらの花の写真に、ざっと目を通してみたのだが、
どうも「これ」というような花が見当たらない。
なんといっても、自分がその花に興味を引かれたのは、
花自体に変わったところがあったわけではなく、
その背丈の高さに、目を引かれたからだ。
はっきり言ってしまえば、花の形の細かいところまでは、
しっかりと覚えてはいないのである。
覚えているのは、花が紫色をしていたことと、
花びらの先が尖っていたことくらいであろうか。
だが、秋の「紫色」の花の中には、花びらの先が尖っているものも、
複数存在している。
そうなってくると、花の写真だけで目的の植物を調べるのは、
ちょっと難しい、ということになってしまう。
仕様がなしに、花の検索サイトではなく、
全く普通の検索サイトで「秋」「紫色の花」「背が高い」という
3つのキーワードを入力して、検索をかけてみた。
すると、ある1つの花の写真が画面に表示された。
それは、花の部分だけでなく、植物の全体像を捉えたもので、
その植物の横に立っている人間(恐らくは平均的な身長の成人男性)の
倍ほどの高さがあり、その先端に紫色の花が咲き乱れている。
間違いなく、自分が見た花であった。
どうやら、この背の高い花、その名を「皇帝ダリア」というらしい。

「皇帝ダリア」とは、また、迫力のある名前である。
調べてみたところ、日本での正式な名前は
「キダチダリア」というらしい。
漢字で書くと「木立ダリア」である。
学名を「Dahlia imperialis」といい、「皇帝ダリア」というのは、
これをそのまま訳したものだ。
「ダリア」といえば、園芸品種としてはかなりメジャーで、
ホームセンターの園芸コーナーなどに行けば、
タネ、及び球根が販売されている。
色鮮やかで、カラーバリエーションも多く、
人気のある花であるが、この「皇帝ダリア」の方は、
紫色(ピンクといわれることもある)の花、1種だけの様だ。
キク科ダリア属に属する多年草で、大きいものでは
背丈(樹高)が8〜10mにもなるという。
自分が見たものの、2倍以上のサイズである。
ただ、日本国内での栽培例を見ていると、
上手く育てたとしても、3〜4mくらいにしか成長しないようだ。
高地・山地の植物とされており、
標高1500〜1700mのところに生育するといわれているが、
西播地方で普通に栽培されている辺り、
気温の条件さえ整っていれば、どこでも栽培できるようである。

一般的に、ダリア属のいくつかは、
16世紀に原産地の1つであるメキシコから
ヨーロッパへもたらされた。
「皇帝ダリア」は、およそ300年後の1863年、
チェコのベネディクト・レーツルによって、初めて記載された。
日本へダリア(皇帝ダリアではない)が持ち込まれたのは、
江戸時代も末期の天保13年(1842年)のことなので、
「皇帝ダリア」が日本へ持ち込まれたのは、
少なくとも、明治時代以降のことだろう。

日本では、主に観賞用として植えられているが、
グアテマラの一部地域では、その葉を食用にすることもあるらしい。
栽培する場合は、春以降、4〜5月くらいに苗を植え、
10月ごろにつぼみがつき始め、11月になって開花する。
もともと、標高の高い場所(といっても、1500mほどだが……)
で生息していたのだが、実は寒さに弱く、
霜に当たってしまうと、一発で枯れてしまう。
場所によっては「根」が残り、これが越冬することによって、
翌年、再び生えてくることもある。
3〜4mという樹高のため、風にも弱く、
強い風が吹くと、それに煽られて倒れてしまう。
その際、近くに人がいたりすると、
事故になってしまう可能性があるため、
倒れても問題ない場所に植えるか、支柱を立ててやる必要がある。
だが、3〜4mの支柱というのは、なかなか用意できないので、
そういう場合は、1mほどに育った辺りからこまめに摘芯し、
上へと成長するのを抑えるようにするとよい。
うまくいけば、2m前後の背丈に抑えることが出来る。
(それでも2m前後になってしまうので、
 植え付ける場所に関しては、
 あらかじめ良く考えておく必要がある)
9月以降は、先端付近に花芽がつき始めるため、
摘芯を行なうと、これらを切り落としてしまうことになる。
そのため9月以降は、摘芯を控えた方がいいだろう。

樹高3〜4mと、なかなか迫力のある花なので、
自分も庭に植えてみたくなったのだが、
実はこの「皇帝ダリア」、日照時間が短くなると花をつける
短日植物であり、日照時間が長い間は花芽をつけない。
当然、栽培している傍に街灯などがあれば、
ニョキニョキと成長こそはするものの、
街灯の光の影響を受けて、花をつけなくなってしまう。
かつて「LEDライト」について書いた際に触れたように、
我家のすぐ前に、LEDライトの街灯が設置され、
夜になれば、この街灯が一晩中、我家を照らしている。
家の中にいてさえ、結構、明るく感じてしまうくらいなので、
家の外ということになれば、さらに明るいということになる。

どうも我家は、この「皇帝ダリア」栽培には
向かない家の様である。

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