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なぜクリスマスにサンタクロースがやってくるのか?

更新日:

よく、あなたは何歳くらいまで
サンタクロースを信じていましたか?という質問を聞く。
どうも、子供というのは無条件に
最初はサンタクロースを「いる」と信じていると、
思っているらしい。

我が身で振り返ってみれば、
そもそも「クリスマス」というものを知ったのが、
幼稚園のイベントでのことで、
それまではそういう行事があることも知らなかった。
恐らくは、うちの両親が
なるべく子供に知らせないようにして、
プレゼントやケーキによる出費を
抑えようとしていたのだろう。
「クリスマス」というイベントがあることは、
厳重に秘され、それに見事にコントロールされた自分は
幼稚園のイベントで「クリスマス会」をやるまで、
その存在を知らなかったのである。

従って、幼稚園に入って最初の12月、
初めてクリスマスを体験したのだが、
ほとんど記憶に残っていない。
唯一覚えているのが、イベントの途中に
真っ赤な服を来たおっさんが闖入してきたことだった。
まわりの子供たちは、
サンタクロースの登場に大盛り上がりだったが、
自分は「え?え?え?」と、
ひたすら混乱していただけだった。
このサンタクロースは、やたらと陽気で、
高いテンションのままプレゼントを配り終わると、
そのままどこかへ帰って行った。
まわりの子供達もテンションが高く、
サンタクロースが帰って行くのを
引き止めようとしていたが、
何が起こったのかよくわからなかった自分は、
渡されたプレゼントを手に、ポカーンとしていた。

少なくとも幼少時の自分には、
「クリスマス」というのは、
よくわからないイベントだった。
だから、家に帰ってもケーキやプレゼントを
親に要求することもなく、
相変わらず、我が家は「クリスマス」とは無縁であった。

さて、「クリスマス」に全く興味を示さなかった
幼少時の自分に、強烈な印象を残した赤い服のおっさん。
いわずと知れたサンタクロースだ。
クリスマスには欠かせない、この赤い服の爺さんは、
一体何者なのだろうか?

前回、書いた通り「クリスマス」は、
12月25日にイエスの降誕を祝うイベントである。
このイベントの趣旨を知っていれば、
サンタクロースも、イエスの降誕に
何らかの関わりがある人物なのでは?と思ってしまう。
だが、イエスの誕生を調べてみても、
サンタクロースは影も形も出て来ない。
何故なら、イエスの降誕に
サンタクロースは全く関係ないからだ。

サンタクロースのモデルになったとされる人物は、
4世紀ごろの東ローマ帝国・ミラの司教、聖ニコラウスだ。
イエスの時代より、300年ほど後の時代の人物だ。
イエスにとっては、遠い孫弟子にあたる。
「聖人」と称される、素晴らしい人格者で、
貧しい者や、弱い者の味方であった。
有名な逸話として、
無実の罪に陥れられた人々を救った話がある。
この逸話の影響か、聖ニコラウスは
「無実の罪に苦しむ人」の守護聖人とされている。
意外に感情的な所があるのか、
第1回ニカイア公会議では、議論に激して相手を殴り、
破門されたこともある。
また、数々の奇跡を起こしたとされており、
肉屋によって誘拐され、商品にするため
7年間塩漬けにされていた子供達を蘇らせている。
感情的になるニコラウスのことなので、
非道な肉屋に、真空飛び膝蹴りくらいは
ブチ込んだかもしれない。

彼には、サンタクロース伝説の
元になったとされる逸話もある。

ある貧しい商人の娘が、
身売りせざるを得ない状況になったとき、
これを知ったニコラウスは、夜、こっそりとその家に赴き、
窓から暖炉にかけてあった靴下に向けて、
金貨を投げ込んだ。
このおかげで、娘は身売りせずにすみ、
無事に結婚することが出来たという。

なるほど、この話を見ると、
サンタクロースとの共通点がいくつもある。
キーワードは「夜」、「靴下」、「暖炉」だ。
「夜」と「靴下」は説明するまでもないが、
「暖炉」はなぜ?と思う人がいるかもしれない。
「暖炉」には、当然「煙突」がつきものである。
ニコラウスはプレゼント(金貨)を窓から投げ込んでいたが、
後に彼をサンタクロースとした人たちが、
この「暖炉」から「煙突」をイメージした可能性はある。

だが、これだけでは説明できないこともある。

・なぜ赤い服なのか?
・どうしてトナカイがひく「ソリ」に乗っているのか?
・どうして「クリスマス」なのか?

などである。
まず赤い服だが、これはキリスト教の
司祭服に由来している。
特に赤い服は「聖人」の祝日に着用される色である。
聖ニコラウスの祝日は12月6日。
「クリスマス」からは20日ほどしか離れていない。
ユリウス暦を使う正教会では12月19日となり、
1週間しか離れていない。
おそらく、この2つがまとめられ、
「クリスマス」に「サンタクロース」が
やって来ることになったのではないだろうか。
オランダなどでは12月6日と25日、
「クリスマス」を2回行っている。

そして最大の謎が、トナカイのひく「ソリ」だ。
聖ニコラウスのいたミラは、トルコの南、
地中海に面した温暖な地域で、冬場の平均気温が
9.8度である。
これでは、よほどの寒気がやって来ない限り、
雪は降らないし、「ソリ」も使えない。
何よりトナカイが棲息していない。
トナカイは主に、北米・北欧の北極海近くに
棲息しているので、トルコにいたニコラウスとは、
全く接点がないのだ。

そうなると、こう考えるしかない。
ミラの聖ニコラウスの伝説が、
キリスト教の広がりとともに北欧にまで達し、
そこで、「サンタクロース」が生まれたのだ。
だからこそ、「サンタクロース」は
トナカイのひく「ソリ」に乗ってやって来るのだ。
この地域で作り出されたのでなければ、
トナカイのひく「ソリ」に乗る、などという設定は
生まれなかっただろう。

地中海付近の温暖な土地で誕生した聖・ニコラウス伝説は、
キリスト教の広がりとともに北上して行き、
極寒の北欧にて「サンタクロース」として
生まれ変わったのだ。

さて、前回はクリスマス、
今回はサンタクロースについて書いてきた。
次回は、サンタクロースの相棒、トナカイについてである。

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