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ゾイド

更新日:

By: Joe Wu

玩具には、動くものと、動かないものがある。

動くものといえば、ラジコンカーやミニ四駆などがそうだし、
動かないものといえば、人形や積み木、ブロックなどがある。
動く玩具の中には、ゼンマイなり、
モーターなりが組み込まれていて、
これらを動力源として、動く仕組みになっている。

そういった玩具の中にあって、プラモデルというのは、
動かない玩具の代表格のようなものだ。
ボール紙で出来た、長方形の平べったい箱の中には、
四角いプラスチックの枠にくっついた、
無数のパーツが入っている。
これをひとつずつ切り離し、設計図に従って組み立てていく。
最近のものでは、接着剤不要のキットも多いようだが、
自分が子供のころのプラモデルは、
ほとんど全てのキットが「要接着剤」であった。
小さな小瓶にネジ式のフタがついており、
そのフタからビンの底へ向かって、
綿棒のようなものがついている。
その棒の先には小さな刷毛がついており、
その刷毛に染み込ませた接着剤を、パーツの接着面に塗り、
組み立てていく。
不器用だった自分は、よく接着剤を塗りすぎて、はみ出てしまい、
なかなかきれいに仕上げられなかったものだ。

プラモデルを作ること自体は嫌いでなかったものの、
出来上がるのは、ひいき目に見ても、ひどい作品ばかりであった。
それを見るたびに、自分の不器用さを思い知ったものである。
とはいえ、ひどい出来映えであっても
それなりに苦労して作り上げた作品である。
ビームライフルなり、ガンポッドなりを格好良く構えさせ、
飾っておこうと思うのだが、
いかんせん、子供の買う安物のキットである。
ビームライフルを、前方にかっこよく突き出させて構えると、
ビームライフルの重さで腕がだらりと下がり、
ビームライフルをぶら下げているだけのポーズになってしまう。
かくして自分の部屋の棚には、
ビームライフルやガンポッドをぶら下げたプラモデルたちが、
ずらりと並ぶことになったのである。

かなり話がそれてしまったが、
プラモデルというのは、動かない玩具の代表格であり、
作り終わった後も、飾っておいて、これを見て楽しむという、
「動き」とは、もっとも縁遠い玩具である。
しかし、そんなプラモデルの中に、ひとつ、異色の存在があった。
それが「ゾイド」シリーズであった。
「ゾイド」はまさに異色尽くめの、プラモデルであった。

そのころのプラモデルは、軍艦や戦車などのミリタリー系、
バイクや自動車などの乗り物系、お城系などを除けば、
TVアニメとタイアップした、
ロボットものが圧倒的に多かったのだが、
「ゾイド」シリーズにはそういったものがなく、
あくまでも「プラモデル」のみによって、
展開していったシリーズであった。

さらに、それまでのプラモデルに多かった
乗り物や人型ロボットでなく、動物型ロボットであった。
恐竜やほ乳類などをモチーフにした戦闘ロボット「ゾイド」は、
それまで人型のロボットばかりを作っていた
当時の子供たちにとって、新鮮さがあった。

さらに、それまでのプラモデルでは必須だった、
接着剤による組み立て方式ではなかった点。
「ゾイド」シリーズのキットの中には、
ゴム製のキャップが入っており、
このゴム製のキャップをはめ込むことによって、
簡単に組み上げることが出来た。
また、間違えて組み立ててしまっても、
ゴムキャップを外せば、もう一度、組み直すことができ、
接着間違いによる失敗とは、無縁であった。

そして、この「ゾイド」シリーズの最大の特徴は、
キット内に組み込まれた動力ユニットによって、
完成したゾイドが動くことであった。
その動きも、車輪による前進などという単純なものではなく、
全身の関節を稼働させ、まるで生き物のように動くのである。
これは、どんなに小さな「ゾイド」であっても同じで、
小型のゾイドには、ゼンマイ式の動力ユニット、
中・大型のゾイドには、モーター式の動力ユニットがついており、
全てのゾイドを動かして遊ぶことができたのである。

自分はたちまち、この「ゾイド」シリーズに夢中になった。
不器用だった自分には、
接着剤を使ったプラモデルは難しかったし、
着色不要できれいに仕上がる「ゾイド」は、
ヘタクソな自分が作っても、
完成見本とほとんど同じようなクオリティで、
作ることができたのである。
この点は、全国の不器用な子供たちも同じだったらしく、
ゾイドの人気はたちまち高まっていき、
模型売り場でのゾイドの占有率は高くなっていった。

この「ゾイド」シリーズの面白かった所は、
これだけの人気を誇りながらも、
TVアニメでの展開が起こらなかったことだ。
(はるか後の時代になって、TVアニメ化された)
ストーリーは、あくまでもパッケージの横に
印刷されているものを中心として、
ジオラマ写真をまとめた、
「ゾイドバトルストーリー」によって展開していった。
(ゲーム、マンガ等での展開はあった)
だが、人気の高かった「ゾイド」シリーズは、
子供たちの要望に応えるようにして、
大型のゾイド、派手なゾイドが次々と販売された。
初期のころのファンからすれば、
このデザインはちょっと……、と思えるようなものも発売され、
人気はだんだんと落ちていった。
「ゾイド」のモチーフとなっていたのは、恐竜が多かったが、
繁栄→大型化→奇形化という、恐竜と同じような流れをとり、
やがて恐竜と同じように絶滅(シリーズ終了)してしまった。

1999年、「ゾイド」がアニメ化される。
このアニメでは、セル画ではなくCGによってゾイドたちが描かれ、
かつて組み上げたキットそのものが、
画面の中を走り回っているような錯覚を、与えてくれた。
このアニメ化がきっかけとなり、
再び「ゾイド」の新シリーズが立ち上がったが、
こちらの方は、アニメシリーズを元にした展開であった。

さて、この子供のころに作った「ゾイド」シリーズ。
現在でも、部屋の中にズラッと並んでいる。
それなりのクオリティに仕上がる分だけ、
なかなか処分しにくいのである。
これが、自分の不器用さを突きつけられるような、
他のプラモデルであったなら、
きっかけでもあれば、すぐに処分したのだろうが、
きれいに完成しているものは、なかなか思いきることはできない。
そんな風に、ずるずると来ている内に、
いつの間にか甥っ子が喜んで遊ぶようになった。

時代に左右されない、動物がモチーフであるだけに、
現代っ子にも違和感は無いようである。

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