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夜登山〜的場山

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前回、「夜登山」企画の第1弾として、
たつの市の「金輪山」に登った。
今回は、同じ企画の第2弾、「的場山」編である。

この企画を思いついた際、
それまでに自分が行なった「夜登山」として、
早朝日の出前から登山を開始する、「元旦登山」について書いた。
その「元旦登山」を、毎年行なっているのが、
この「的場山」である。
前回「夜登山」した「金輪山」と同じく、
たつの市のほぼ中央辺りに位置している。
「金輪山」とは揖保川を隔てるようにして向かい合っており、
サイドには「鶏籠山」、北方向には「新龍アルプス」が伸びている。
標高は394m。
前回登った「金輪山」よりも100m以上高く、
登山コースも、片道4.5km近くある。
つまり、夜の山道を9kmほど歩くことになるわけだ。
昼間は、毎日登山をしている人も多く、
山に登っている間に、数人の登山客に出会うのが普通なのだが、
さすがに夜、山に登っている人はいないだろう。

主な登山ルートは3つあり、
1つ目は、「元旦登山」でも使われる、山の南側から登るルート。
ここは、山頂まで車が登れるように整備されており、
全体の何割かは舗装されている。
道は整備されているものの、
ガードレールなどはほとんど設置されておらず、
登山道の横は急傾斜の斜面になっている。
場所によっては、50~100mほども斜面が続いているので、
万が一そちら側へ落ちて滑落すれば、
命の危険も充分にあり得る。
山の南側から、大きく西方向へ回り込むように道が伸びており、
上の方では、山の北側を登って行くことになる。
山の北側には人家はなく、
ただ「新龍アルプス」の山並みが広がっているだけで、
人家というものは全く目につかない。

2つ目は、紅葉谷を登って行き「両見峠」に到達し、
そこから稜線沿いに山頂を目指すコースだ。
急な斜面と、緩やかな斜面が入り混じった、
変化のあるコースである。
距離にしてみれば、2kmもないくらいだが、
傾斜がかなりきつい場所があり、道も全く舗装されていないので、
楽には登れない。
以前書いた「雨登山」で、
自分が「的場山」に登ったコースでもある。
山に登る人間にしてみれば、
もっとも登山道らしいコースともいえる。

3つ目は、野見宿禰神社の裏から、山頂を目指すコースだ。
かなりの急傾斜、というよりは「崖」に近いコースで、
足場には岩がゴロゴロしている場所が多い。
これに足をとられれば、かなり危険である。
野見宿禰神社には、麓の龍野神社から登ってくるか、
紅葉谷の途中から曲がってくるか、2つのルートがある。
野見宿禰神社自体、山の中腹に近い場所に建っているので、
そこに至るまでも、ちょっとした登山である。

「的場山」に登る「登山道」としては、
この3つがメインになるのだが、
もう1つ、「的場山」の山頂から、
「新龍アルプス」の稜線を北に進むルートがある。
これは「近畿自然歩道」に設定されているルートなのだが、
「的場山」に登るための「登山道」とは言い難いため、
今回のコース紹介では、省かせてもらった。
この3つのコースのうち、もっとも安全な南側ルートで、
「夜登山」をすることにする。
毎年、「元旦登山」で登っているコースである。
ある意味、「元旦登山」の焼き直しのような格好なのだが、
「元旦登山」が、だんだん明るくなっていくのに対し、
「夜登山」は、だんだん暗くなっていく。
さらに、前も後ろも人でいっぱいの「元旦登山」に対し、
恐らくは登山中、誰にも会わないであろう「夜登山」。
果たしてその「差」は、どんなものになるのだろうか?

午後7時、登山口に到着。
ライトが点灯することを確認した後、登山を開始する。
辺りはまだまだ明るく、ライトが必要ないくらいである。
前回、「金輪山」に登ったときもそうだったが、
頭上を樹木に覆われていない限りは、まだまだかなりの明るさだ。
逆に、頭上に樹木が茂っている場合、
そこの部分だけかなり薄暗く、その落差が大きい。
「金輪山」に登ったときよりも早く登り始めているが、
コース自体が倍以上(?)長いため、山頂に着く時間は
「金輪山」の時と同じくらいか、遅くなるかも知れない。
この南側ルートには、200mごとに距離と高度を記した
杭が立っており、自分の歩いた距離を確認することが出来る。
だが、辺りが暗くなっているこの時間では、
余程気をつけていなければ、うっかりと見落としてしまう。
片道4.5kmの半ばくらいまで来たころには、
すでに辺りは暗くなり、
ライトを点けなければ歩けない状態になった。

どういうワケか、やたらに辺りが静かである。
もちろん、車の音などの街の喧噪は、
低い地鳴りの様に聞こえて来るのだが、
山の中から動物の足音や気配などは、ほとんど聞こえてこない。
木々の梢が、風にざわめく音が聞こえて来るだけで、
辺りはシンと静まり返っている。
やがて道は大きく山の西側を回り、山の北側に回り込んだ。
そうなると、先ほどまで聞こえていた街の喧噪すら聞こえなくなり、
辺りは完全な静寂に包まれた。
聞こえて来るのは、自分の足音だけで、
風向きのせいか、木のざわめきも全くといっていいほど
聞こえなくなってしまった。
街の灯りも見えない真っ暗闇の中を、
ライトの明かりだけを頼りに歩いていく。
恐ろしいほどの不気味さだ。
さらに大きく道が折れ曲がり、道は再び山の南側に出る。
木々の間から街の灯りがちらちらと見え、
再び街の喧噪が聞こえてくる。
ここまでくれば、山頂までは後わずかだ。
目の前には、大きな電波塔が闇の中にうっすらと見える。
その電波塔の裏側が、「的場山」の山頂になる。
山頂からは南方向に大きく展望が開けている。
たつの市と、太子町、姫路市網干区に続く一帯が、
うすボンヤリとしたモヤの中でその夜景を見せている。
「金輪山」で見たものよりも広く、雄大な夜景である。
水筒の水を飲みながら、しばし夜景を堪能した後、
速やかに下山を開始する。
今回は、往復9kmにもなろうかというコースだ。
後、4.5kmほど歩かなければならないのだから、
あまりゆっくりとしている時間はない。

ライトで足下を照らしながら、山道を足早に下っていく。
「元旦登山」のときは、下山時にはすでに日が昇っていたが、
今回は全くの逆で、下山時に日が沈んでいる。
本来、登山は下山時の方が危険なので、
暗く見通しの効かない中を下っていくというのは、
相当に危険なことをしていることになる。
おおよそ1時間ほどの時間をかけ、
下山口まで辿り着くことが出来た。
時間は午後9時30分に近くなっていた。
おおよそ2時間30分近い、「夜登山」となった。

毎年「元旦登山」で、暗い山道を登っていた「的場山」だったが、
改めて、単独で「夜登山」ということになると、
「元旦登山」とは、随分と趣が違っていた。
また、前回登った「金輪山」とも違って、
山自体が随分と静かな印象を受けた。
ひょっとしたら、「的場山」のシカやイノシシは、
夜になると山を下りて、餌をあさっているのだろうか。
だとすれば、夜の「的場山」は、
動物たちの留守宅なのかも知れない。

これで、「金輪山」、「的場山」と、
当初計画した3つの「夜登山」のうち、
2つを完登することが出来た。
次は、いよいよ最後の山「天下台山」である。

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