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「DEARBOYS」連載終了

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さて、最初に1つ、断っておかなかければならない。
今回の記事は、昨年末に書いたものなのだが、
もろもろの事情があって、掲載できなかったものだ。
そのため、ちょっと時期的に合っていない話になっているが、
その点には目をつぶって、読んでいただければ幸いである。

かつて、「長期連載」というテーマの回で、
月刊少年マガジンに連載中の「DEAR BOYS」について書いた。

「DEAR BOYS」は、高校バスケットボールをテーマにした
スポーツマンガであるが、連載開始当初は
その「如何にも「今風」」なタッチと、
キャラクターたちの恋愛模様などもストーリーに盛り込み、
ちょっとオシャレなバスケットボールマンガであった。
もちろん、「今風」といっても連載開始当時のことであるから、
1989年当時の「今風」である。
2015年の現在から見れば、実に26年前のことになる。
四半世紀も前である。

連載第1回、神奈川県の瑞穂高校に転校してきた
恐ろしくおちゃらけた少年・哀川和彦が主人公である。
髪型がウニのようにツンツンと尖っているのだが、
これが1989年当時の「キマッている」スタイルだったのだ。
彼は初登校中に、同じ高校の女生徒のスカートを
めくって歩くのである。
……。
懐かしいフレーズである。
「スカートめくり」である。
確かに自分が子供だったころには、
そこそこよく知られていた「イタズラ」であったのだが、
いつの間にやら、すっかりと名前を聞かなくなってしまった。
マンガやアニメの中などでも、
「スカートめくり」をやらかすキャラクターはすっかりいなくなり、
もはや「死語」といっても良いのかも知れない。

ともあれ、このおちゃらけた少年・哀川和彦は
新しい転校先である瑞穂高校で、
バスケットボール部に入部しようとする。
しかし、当の瑞穂高校の男子バスケットボール部は、
メンバーが4名しかおらず、試合も出来ない状況であり、
さらにその4名の部員たちもやる気がなく、
部室の中で煙草を吸いながら
麻雀を打っているような状況であった。
彼は4名の男子部員たちに、
自分が5人目として入部することを告げ、
体育館で練習している女子バスケットボール部達と勝負し、
たった1人で5人抜きを果たし、ダンクシュートを叩き込む。
余りに高い哀川和彦のバスケットボール技術に驚く女子部員たち。
そんな女子部員たちの前で、哀川和彦は制服を脱ぐ。
彼が着ていたのは「天童寺」と書かれたユニフォームであった。

天童寺高校。
男子高校バスケットボール界において、
最強の名をほしいままにする名門高校。
そう、哀川和彦はその最強の高校において、
2年生でありながらキャプテンを務めていた、
伝説のプレイヤーであった。
そんな彼が、どうして天童寺高校を離れ、
全く無名の瑞穂高校に転校してきたのか?

哀川和彦は宣言する。
「おれが入部して、部員が5人になったら
 男子バスケ部をインターハイに出場させてやる」

彼は本当に、瑞穂高校男子バスケットボール部に
やる気を取り戻させ、
インターハイへと導くことが出来るのだろうか?

と、いったところが、「DEAR BOYS」の第1話であった。
哀川和彦が転校してきた季節がいつなのかは、
はっきりとしていなかったが、
初登場時、高校2年生であった彼は、天童寺高校の1員として
その年のインターハイで優勝していたらしいので、
少なくともインターハイの行なわれた
夏以降のことだと思われる。
名門高校の2年生キャプテンにして、
伝説的プレイヤーである哀川和彦が、
母校の優勝後に突然転校したというのは、
いかにも不自然な話であるが、
常におちゃらけていて、軽いノリの哀川和彦からは
その辺りの事情が明かされることはない。

こうして、幾分の謎を秘めたまま「DEAR BOYS」の物語は
始まったのである。

この「DEAR BOYS」は、3部構成になっている。
まず、哀川和彦が瑞穂高校に転校してきてから、
瑞穂高校男子バスケットボール部が活動を始め、
6人目のメンバーである高階トウヤが入部してくるまでが第1部。
(もっとも、ここまでのタイトルは、
 そのまんま「DEAR BOYS」である)
哀川和彦たちが3年生になり、新1年生が入部してきてから、
インターハイ準々決勝までが第2部。
(ここで作品タイトルが「DEAR BOYS act2」となった)
さらにインターハイ準決勝から最終回までが第3部。(act3)
もっとも、コミックスの方はまだ最終巻が発売されていないので、
読み切りなり、番外編などが追加される可能性もある。

12月5日に発売された月刊少年マガジンでは、
先月号のラスト、哀川和彦が勝利を決定づける
ダンクシュートを叩き込んだシーンの続きである。
26年間も連載していた、長期連載マンガの最終回ということで、
堂々の巻頭カラーである。
思えば、長らく「DEAR BOYS」の巻頭カラーというのは
無かった気がする。
一気に時間が飛び、
主人公たちが引退した後の瑞穂高校男子バスケットボール部。
後輩たちの思い出という形で、決勝戦後が描かれる。
正直、少し肩すかしを食ったような感じではあったが、
それまでは脇役であった後輩たちの視点から
主人公たちについて語られるというのは、
主人公がすでに過去の人になったというのを強く感じさせた。
これまで主人公だった3年生たちから、
1、2年生たちへの視点の譲渡。
まさに世代交替である。
そして新年度を迎え、再び新しい者たちが
瑞穂高校男子バスケットボールへとやってくる。
その中には、また一癖も二癖もありそうなのがいて……、
というところで、26年間に渡った連載は終了する。

スポーツマンガの最終回というのには、
いくつかのパターンというものがある。
今回の「DEAR BOYS」が迎えた、
インターハイ優勝という目的を果たし、
その余韻の中で主人公たちが引退し、物語に幕を引くというのは、
比較的よくある最終回でもある。

このマンガを読み始めたころは、まだ中学生くらいであった。
最初は、年上だったキャラクターたちは
数年後には同い年になり、あっという間に年下になってしまった。
むしろ年下になってからの方が、連載期間は圧倒的に長かった。
物語の中では、たった1年にも及ばない期間であったが、
この1年間は26年もの長きに渡って描写され、
一時期などは、
この物語は自分が生きているうちに終わるのだろうか?
なんていう危惧すらも、読者に感じさせた。
しかし、遅々として進まぬ物語ではあっても、
毎月、連載していれば、少しずつでも終わりに近づいていく。

我が家では、最初にこのマンガを読み始めた母親は亡くなり、
その母親と一緒に読んでいた妹は、いつの間にやら
このマンガを読むのを止めてしまった。
どういうわけか、自分だけがこのマンガを読み続け、
無事に最終回に辿り着いた。
……。
長かった、と言わざるを得ない。
もちろん、26年も読んでいたわけだから、
結局、主人公たち瑞穂高校男子バスケットボール部が、
インターハイで優勝して終わるんだろうな、とは予想していたが、
その予想の通りに物語は大団円を迎えた。
まさに、「感無量」というのは、こういうことをいうのだろう。

さて、月刊少年マガジンによれば、
さらに番外編の掲載が予定されているらしい。

まだ少しだけ、「DEAR BOYS」との付き合いが続きそうだ。

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