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長期連載と物語の中の時間

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週刊誌や月刊誌に連載されているマンガには、

時に、信じられないほどの長期にわたって連載されているものがある。

たとえば、こち亀として知られる「こちら葛飾区亀有公園前派出所」などは、

1976年から週刊少年ジャンプで掲載されているので、

2014年現在では、実に38年の連載ということになる。

38年である。

4年制大学を卒業し、そのまま就職、

仮に定年60歳まで勤め上げたとしたら、ちょうど38年である。

それだけの期間を、週刊連載で続けてきているのである。

これはなかなかの偉業だ。

少年誌の連載記録では、世界最長のギネス記録を持っている。

連載が開始された1976年といえば、

ロッキード事件が起こった年であり、

「およげたいやきくん」が大ヒットした年でもある。

アントニオ猪木はモハメド・アリと異種格闘技戦を行ない、

「やきそばUFO」や「どん兵衛きつねうどん」が発売された。

さらに「徹子の部屋」が始まったのも、この年である。

ただ「こち亀」の場合、作中に時代を感じさせるアイテムや、

事件、流行などは出てくるが、登場人物たちは歳をとらない。

先にも書いたとおり、連載開始から38年たっており、

もし現実と同じ時間が過ぎていれば、作中の人物のほとんどは、

警察を定年退職しているはずだ。

それをさせないのが、この「登場人物は歳をとらない」という設定だ。

では長期連載のマンガが、すべてそういうことになっているかというと、

決してそんなことはない。

長期連載でも、作中で登場人物が歳をとるマンガもある。

1985年から週刊モーニングで連載されている、「クッキングパパ」では、

作中の人物が歳をとっている。

主人公の息子・まことは連載開始時は小学2年生であったが、

現在は大学2年生である。

連載期間が29年で、作中では12年が経過しているわけだ。

まったく同じペースではないかもしれないが、

2年半ほどで1年を描いている計算になる。

ところが作中の時間がほとんど進まない、マンガもある。

1989年から月刊マガジンで連載しているバスケットボールマンガ、

「DEAR BOYS」である。

25年間、連載していることになる。

これは、神奈川県の瑞穂高校バスケットボール部が、

インターハイ優勝を目指すマンガで、現在Act3、

つまり第3部ということになっている。

第3部となってはいるが、主人公や登場人物は代わっておらず、

基本的に25年前のメンバーが、現在も登場している。

連載開始時、主人公は高校2年生で、現在高校3年生である。

つまり作中での時間は、1年ほどしかたっていないわけだ。

もちろん、その1年間をみっちりと描いているわけではなく、

主に試合近辺や、合宿などを描いている。

……。

1年を25年である。

これは凄いことではないだろうか。

最初の方を読んでみると、今では考えられないようなものが

出てくることがある。

主人公の初登場シーンでは、女性キャラクターのスカートをめくる。

いわゆる「スカートめくり」だ。

80年代中には、マンガ中などでもよく見られた行為であったが、

現在、これをやらかすと、即セクハラということになるのか、

マンガの中からも姿を消した。

現代の中高生が見ると、とんでもないセクハラ主人公に見えるのかもしれない。

ライバル校の選手が、ラジカセを担いで音楽を鳴らしながら登場してくる。

よくみてみると、CDラジカセではなく、ノーマルなラジカセのように見える。

またウォークマンに代表される、携帯音楽プレイヤーも登場する。

これを、一種のお洒落アイテムとして登場させているわけだが、

現在の中高生が見ても、何の機械だか理解できないのではないだろうか。

面白いのが携帯電話だ。

25年前といえば、まだ携帯電話が一般的でなかったころである。

だが、時代に合わせて、作品の中でも登場することになる。

最初は折りたたみ式ですらない、ストレート式。

やがてスライド式や、折りたたみ式が出てくる。

現在ではスマートフォンが使われているが、作中に出ているかどうかは知らない。

これらすべてが、この1年間の出来事として、出てくるのである。

現在、連載中の「DEAR BOYS」は、インター杯決勝第4クォーターである。

まさに物語の大詰めを迎えている。

25年間の集大成といっていい。

だが作中時間の2日前、準々決勝が終わった時点で、

ワンセグ付き携帯電話が、最新機種として作品内に登場している。

この話が雑誌に掲載されたのは2007年。

つまりわずか2日間を描写するのに、8年間ほど費やしているのだ。

恐るべき、濃密な時間といわねばなるまい。

この作品内では、スティーブ・ジョブスはわずか1日かそこらで

スマートフォンを作り上げ、全世界に浸透させたことになる。

さすが世界のアップルだ。

……まあ、それは冗談だとしても、

25年間続いた長期連載マンガがひとつ、

ついに結末を迎えようとしているわけだ。

昔からこれを読み続けてきた読者としては、感無量だ。

このまま読み続け、無事、大団円を見たいものだ。

……それが、後どれくらい先になるのかはわからない。

まさか10年先、ということはないと思うが、もしかして……。

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