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太陽光発電〜その2

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By: na0905

前回、最近我々のまわりに増え始めている
小・中規模の太陽光発電所について書いた。

今までは、クリーンなエネルギーの代表格であり、
エコロジーの旗手のような存在だった太陽光発電も、
昨今では、太陽光パネル設置のために
山林を伐採したり、池を埋め立てたりして、
かなりイメージが悪くなってきている。
さらにいえば、そこで生み出される電力を
「売電」するという、
「カネ」のイメージがついてしまった。
この「カネ」に目のくらんだ人間達によって、
現在、凄い勢いで「プチソーラー」は増えていっている。
我がたつの市でも、あちらこちらで
「プチソーラー」を目にすることが出来る。

だが前回書いたように、これにはやや危うい点がある。

現在、落ち込んでいる電力会社の発電量が回復したとき、
果たしてこれまでのような価格で
「売電」が成立するのだろうか?
何を売る商売であろうと、
やはり自社の製品を売るのが、一番利益が出る。
これは全国のスーパーなどが、
自社のプライベートブランド商品を、
競って開発していることからでもわかる。
電力会社の発電能力が戻り、
充分な電力を提供できる状況になった場合、
太陽光発電の発電能力の不安定さや、
電力の過剰供給を理由にして、
電力の買い取り拒否や、買い取り価格の値下げを
要求して来ることもあり得る。
もちろん、契約の上では一定価格以上で
電力を買い取ることが約束されている。
だが、電力会社にしてみれば、
自らのシェアを侵してくる「売電」は、
面白くないに違いない。
あの手、この手を持って、
電気を買いたたこうとするのではないだろうか?

この点、国もあまりあてにはならない。
危険性の指摘されている原子力発電所について、
稼働再開の方向に向かっている点からも、
国は電力会社側に立って、
ものを考えているように思える。
実際、東日本大震災にて福島第1原子力発電所の
事故が起こるまでは、ズブズブといわれるほどに
国と電力会社は結びついていた。
そう考えると、電力会社と「売電」業者、
国がどちらにつくかは、わりと容易に想像がつく。

そうなった場合、目も当てられないのは、
全国にくまなく建設された「プチソーラー」である。
家庭用太陽光発電の場合、作り出した電気を
自ら消費することで、電気料金を抑えることが出来る。
「売電」がなくても、それなりにメリットはある。
しかし、「売電」しかしていない
「プチソーラー」の場合、
電力を買い取ってもらえなくなったら、
一巻の終わりである。
作った電気を売ることも出来ず、
ただ太陽光パネルを、風雨にさらし続けるだけである。
いわばこれが、「プチソーラー」にとって、
最悪のシナリオ、最悪の未来である。

そうなった場合、全国に打ち捨てられる
無数の「プチソーラー」に、新たな再生の道はないのか?
今回は、その辺りを考えていく話である。

まず、全国に建設されている
「プチソーラー」について考えてみよう。

自分の住んでいる播磨地方のように、
都市部から離れている郊外に、「プチソーラー」は多い。
これは考えてみれば当たり前のことで、
そちらの方が土地も余っているし、
また土地の値段も安い。
日本のほとんどの場所が、
播磨地方と同じような田舎であることを考えれば、
日本中に「プチソーラー」が増えているのも、当然だ。
全国津々浦々、遊んでいる土地に
建設されている「プチソーラー」。
仮にこれが打ち捨てられるようなことになった場合、
全国津々浦々に「プチソーラー」の残骸が
出来上がることになる。

この「プチソーラー」に出来るのは、
ただひとつ「発電」だけである。
だからこれを再利用する場合、
何らかの「電力」を使うものにしなければならない。
それも、太陽光発電という性質上、
それは昼間に行なわれるもののほうが、適している。
夜に同じことをやろうとすれば、
当然、そのための電力を
電力会社から購入しないといけない。

まず考えられるのは、工場などへの供給だ。
近くに電力を大量に消費する工場などがある場合、
そこへの、電力供給源として考えることが出来る。
大体の工場では、昼間に機械を動かすため、
昼の間の電力消費量が多くなっている。
これは太陽光発電と、非常に相性がいい。
ただ、そう都合よく近くに工場があるとは限らない。
「プチソーラー」が設置されている場所は、
近くに工場などのない場所も多く、
この案には、場所的な制限がつきまとう。

次に考えられるのは、農業、漁業、
畜産業などへの電力供給だ。
最近では、工場のような施設で
これらの産業を行なっている所もある。
その場合、様々な形で電力を使う。
これらの産業は田舎で行なわれることも多く、
郊外に数の多い「プチソーラー」とも、相性がいい。
しかし気温・水温調整に使うにしても、
照明に使うにしても、
もっとも電力が欲しいのは、夜である。
この夜間に発電が出来なくなってしまう太陽光発電は、
これらの産業とは上手く噛み合ない。

そんな中ひとつ考えてみたいのが、
電気自動車のための、電力供給施設だ。
クリーンなイメージのある電気自動車だが、
これが今ひとつ、普及していかない理由のひとつは、
充電設備の少なさにある。
現在のように、限定された場所でしか
充電できないのであれば、
電気自動車を使っていくのは厳しい。
せめて、現在のガソリンスタンドぐらいの密度で、
充電スタンドが各地に存在していれば、
電気自動車も、随分と使いやすいものになるはずだ。
日本全国、どこででも充電できるとなれば、
電気自動車の需要はグンと上昇するだろう。

現在、日本各地に点在している「プチソーラー」を、
それぞれ、電気自動車用の充電スタンドとして利用する。
先に書いた通り、現在、日本の各地に
「プチソーラー」が溢れている。
ここで、充電できるようになれば、
日本中どこに行っても、
電気自動車に充電できることになる。
全国に散らばっている「プチソーラー」は、
まさにガソリンスタンドに代わる、
新たなエネルギーステーションになる。

もっとも実現に関しては、問題も多いだろう。
果たして、太陽光発電で作られる電気で、
充分に充電できるのか?
夜間に充電する分はどうするのか?

もちろん、規模の小さい「プチソーラー」の場合、
近くにあるいくつかの「プチソーラー」を
ケーブルなどでつないでもいいし、
夜間の電力に関しては、電力会社から購入してもいい。

仮にこれが実現し、電気自動車の割合が増えれば、
当然、化石燃料の消費も抑えられ、
CO2の排出量もグッと減ることになる。
そうなれば、まさに「太陽光発電」が、
目に見える形で、
CO2の排出量を削減させることになる。
「太陽光発電」の、そもそものウリであった
エコロジーを実現させることになるのである。

以上は、完全に自分の妄想といっていい。
が、現在のように「カネ」につられ
膨れ上がっている「太陽光発電」には、
いつか破綻の時が来るかもしれない。

そうなったとき、各地に太陽光発電が
打ち捨てられるようなことがないよう、
考えを巡らすことは、きっと無駄にはならないだろう。

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