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うなぎ~調理編

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前々回はうなぎの歴史について、前回はうなぎの釣り方について書いた。

今回は前回の続き、ということで、うなぎの調理について書く。

うなぎの料理、といえば「蒲焼き」だ。

もちろん今回紹介する調理も「蒲焼き」についてだ。

それほど、うなぎ=蒲焼きというのは、定着してしまっている。

しかしバケツの底でうごめいているうなぎを、

一食品として「蒲焼き」に調理するには、いくつかの手順がいる。

まず最初の手順が、泥抜きだ。

獲れた場所によっては、うなぎが泥臭いことがある。

そんな時、その泥臭さを抜く必要がある。

やり方自体は簡単で、きれいな水に入れておくだけだ。

できればちょろちょろとでも、水が入れ替わる状況であればいいが、

水道水を使うとカルキ成分によって、うなぎが死んでしまう可能性もある。

そうなってしまっては元も子もない。

もし面倒だと思うなら、省いてしまっても構わない。

実際、泥抜きをしなくても、全然問題のないうなぎも多いのだ。

うなぎは死んでしまえば、急激に品質は劣化する。

まず、死なせないことが重要だ。

さて、泥抜きが終われば、いよいようなぎをさばいていく。

うなぎ屋の言葉で、「裂き8年、串3年、焼きは一生」という言葉がある。

つまり、うなぎをさばくには、一人前になるまでに8年の月日が必要だ、

ということらしい。

しかし、そんな言葉を気にしていては、何も始まらない。

うなぎは目の前にいるのだから、さばくしかない。

このまま、うなぎをまな板の上に乗せ、さばいていく方法もあるのだが、

その場合、うなぎの暴れ方が半端ではない。

うなぎだって命がかかっているのだ。

目打ちでもって、うなぎの頭部をまな板に固定し、体を切り開いていくのだが、

まず何か難しいかといえば、うなぎをつかんでまな板の上に乗せるのが

難しいのだ。

まずつかもうとすると、そのぬるぬるの粘膜によって邪魔される。

その非常につかみにくいうなぎをつかみ、まな板の上におろすと、

今度はうねうねと動いて逃げ出そうとする。

うなぎは状況によっては水から出て、

陸上を這うようにして移動することもあるという。

そういう意味では、まな板の上の鯉、とはならない。

シンクの中を動き回り、戸棚の後ろや、狭い隙間に潜り込もうとする。

凄まじいまでの生への執着だ。

それを四苦八苦しながらまな板の上にもどし、必死の思いで、目打ちで固定する。

しっかり固定しておかないと、目打ちを外して逃げ出されてしまう。

くれぐれもしっかりと固定するようにしよう。

暴れるうなぎを、おとなしくさせる方法もある。

ひとつは袋に入れて、冷凍庫に放り込み、一種の仮死状態にするのだ。

そうすればうなぎは半冬眠状態になり、おとなしくなる。

この状態で目打ちを使って固定し、さばいていく。

あまり長い間、放り込んでおくと、普通に凍死してしまうので注意が必要だ。

もうひとつは、同じように袋に入れて、そこに強いアルコールを入れる。

そうなると、うなぎはアルコールに酔って、酩酊状態になる。

こうなってしまうと、うなぎも抵抗できない。

そのまま同じように目打ちで固定した後、さばいていく。

上記した2つの方法を使わないで、うなぎをさばいていく場合、

うなぎは凄まじい力で抵抗してくる。

まあ、生きたまま体を裂かれているわけだから、当たり前といえば当たり前だ。

ほんの5ミリほど切り開けば、ウネウネっと、腕にからみついてくる。

それを引きはがし、改めて5ミリほど切り開くと、またからみついてくる。

それを延々と繰り返しながら、さばいていくことになる。

これをさせないように、あっという間にさばけるようになるのに、

8年の修行が必要なのだ。

重要な注意点がある。

何気なくうなぎのさばき方について書いているが、

ひとつだけ忘れてはいけないことがある。

うなぎの血についてだ。

うなぎの血は有毒なのだ。

間違っても、飲んでみたりしてはいけない。

マムシの生き血は、勢力増強の効果があるが、うなぎの血は害がある。

目の中に入ると、炎症だけでは済まないこともある。

くれぐれも、細心の注意を払ってほしい。

うなぎの裂き方には、背中からひらく背開きと、腹からひらく腹開きがある。

主に関東では背開き、関西では腹開きでひらかれる。

関東では、腹開きは切腹を連想させて縁起が悪い、としたことが原因のようだ。

現在ではどちらからひらいても、問題はない。

一番最初に、ひらき終わったうなぎは、散々な抵抗もあり、

きっとぼろぼろになってしまっているだろう。

まあ、そこは練習と割り切って、焼いて食べよう。

見た目がぼろ雑巾のようであっても、どうせ食べるのは自分なのだ。

さばきやすさを重視して、冷凍やアルコールを使った場合は、

そういうこともないだろうが、是非一度はそのままさばいてみてもらいたい。

うなぎ職人の高い技術を、ひしひしと感じることができる。

さて、えらの辺りからしっぽの先までひらき終わったら、

さすがのうなぎも、もうお亡くなりになっている。

皮についている各種ヒレを切り落とし、場合によっては頭を落とす。

背骨と内臓もきれいに取り除けば、いよいよ裂きの行程は終了だ。

今度はこれに串をうっていく。

なぜ、うなぎの身に串をうつのか?

そのまま焼いてはいけないのか?

実は、うなぎの身は焼くと、くるりと丸まってしまうのだ。

これではきれいに焼くことができない。

これを防ぐために、うなぎの身に串をうつのである。

「串3年」なので簡単だ、と思ってしまいがちだが、冷静に考えてみてほしい。

たかが魚の身に串をうつだけで、3年の修行を必要とするのだ。

そこには3年の修行に値するだけの、苦労がある。

ずばり言って硬いのだ。

まるでゴムタイヤに串をうっているような感じだ。

無理に力を加えれば、身から串が飛び出してきて、かなり危険だ。

くれぐれも用心して、串うちを終えてほしい。

それが終われば、焼きにはいる。

関東の流儀では、ここでうなぎを蒸し上げる。

そうすることによって、身がふっくらと柔らかになり、余分な脂が落ちるという。

関西では、この行程はなく、そのまま焼きにはいる。

これはそれぞれ好きな方を選んでもらえれば、いいと思う。

「焼き一生」ということになっていたが、はっきりいってそれはプロの話であり、

アマチュアがうなぎをやる場合、この焼きが一番簡単である。

タレを塗りながら、焼いていく。

ガスコンロの、グリルを使えばいいと思う。

もちろん七輪で炭をおこし、それで焼くのが理想的だが、手間がかかる。

実際、グリルで焼いても、それほど味の差は感じられないと思う。

と、いうよりは、ここまでの「裂き」と「串」の過程で、プロの技とは

雲泥の差がついてしまっているので、今更どうこうしてもしようがない。

「裂き」と「串」が、もうちょっとマシになれば、天然うなぎを使っている分、

その差を素材で埋めることができると、思いたい。

この時につけるタレだが、プロはうなぎの骨を醤油で煮込んだり、

うなぎを何度もつけ込むことで、「秘伝のタレ」を作っている。

これは一朝一夕には真似できない。

というか、普通にスーパーにいけば「蒲焼きのタレ」なる商品が売られている。

無難に、これを使うのがいいようだ。

このタレを刷毛で塗りながら、グリルで焼いていく。

きっとあたりに、うなぎの焼けるいい臭いが漂うことだろう。

うなぎが焼き上がると、そのままどんぶりに盛った熱々のご飯の上に乗せよう。

見事な天然うなぎの、うな丼の出来上がりである。

夢にまで見た、天然うなぎによる、うな丼である。

ここまで散々苦労してきた分だけ、思い入れのあるうな丼だろう。

よほどの失敗をしていない限り、このうな丼はうまい。

そうなると、ついつい人に自慢したくなる。

「あー、やっぱりうなぎは天然物に限るよ、

 えっ?キミ、養殖ものなんて食べてるの?はっはっは……」

……食通気取りは程々にしておこう。

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