雑学、雑感、切れ味鋭く、思いのままに。

Falx blog 2

山で出会ったおかしな人たち~その2

更新日:

前回、自分が山で出会ったおかしな人たちについて、

ぼかしを入れながら書いてみた。

今回は、その続きである。

4・ジョンとおばさん

これまた、相生市のT山の話になる。

……。

なんかT山の話ばかりじゃないか、と言われそうだが、

自宅からすぐに行ける山なので、必然的に登る回数も多くなる。

そうなると、当然、そこで多くの人に出会うことになる。

おかしな人に出会う確率も、多くなる。

決して、相生市民がおかしい、というわけではない。

そこの所だけは、あらかじめ断っておく。

これは、1人でT山に登っていたときのことだ。

一番メジャーな、岩屋谷コースを登っていたのだが、

その途中で、1人のおばさんが声を張り上げていた。

ちょうど、岩屋谷コースから北尾根コースへと続く道の、分岐点だった。

その細い山道に向かって、

「ジョーン!ジョーン!」

と、叫んでいた。

おばさんが自分に気付き、声をかけてきた。

「この道って、どこかへ通じているんでしょうか?」

どうも、T山は初めてのようだ。

「ええ、北尾根コースと呼ばれる、別のコースに繋がっていますよ」

「そうですか……」

そう言ったきり、心配そうに道の先を見つめている。

それを見て、ピンときた。

最近は、山に犬をつれて登る人がいる。

登山者の中には犬が嫌いな人もいるので、色々と議論を呼ぶ所なのだが、

恐らくこのおばさんは、犬をつれて登ってきたが、

途中で犬が勝手に走り出し、ルートを外れた細い道の先へ、

走っていってしまったのだろう。

それを、必死になって呼んでいたのに違いない。

そういう話なら、別に自分にできることもない。

山の中を走り回っている犬など、追いかけた所で捕まるものでもない。

そのままおばさんをおいて、先に進んだ。

しばらく進むと、また後ろから

「ジョーン!ジョーン!」

と、おばさんの声が聞こえてきた。

そんなに心配なら、先に進んで探しにいけばいいのに、とも思ったが、

T山の道に詳しくないのなら、道迷いに陥ることもあるだろう。

下手に細い道に入っていかないのは、正解かもしれない。

その細い道は、山頂にも繋がっているため、

ひょっとしたら山頂に「ジョン」がいるかもしれないな、とも思ったが、

山頂にはそのような犬どころか、人もいなかった。

しばらく山頂で休憩し、下山にかかった。

あのおばさんが、まだ同じ場所で困っているようなら、

少し犬探しに付き合うかなーと考えていると、

下から「ジョン」が登ってきた。

その後ろからおばさんも、一緒に登ってきた。

「ジョン」は、身長190cmはあろうかという、白人男性であった。

挨拶をして行き違ったのだが、見上げるような大男だ。

歳のころは50~60歳といった所で、のっそりのっそりと、

山道を登ってくる。

恐らくは、この巨体の白人男性が、好奇心から、おばさんの制止も聞かずに、

細い脇道に入っていったのに違いない。

しばらく進んだ所で、おばさんの呼ぶ声を聞いて、戻ってきたのだろう。

「ジョン」=犬と勘違いしたのは、さすがにそそっかしかったと反省があるが、

当時(現在でもだが)の相生市で「ジョン」と聞けば、

大方が自分と同じように判断しただろう。

それにしても、おばさんに「どんな犬ですか?」と聞かなくてよかった。

5・姫路の日傘おばさん

姫路市のS山に登ったときのことだ。

S山は山頂区域が、あるお寺の境内になっている。

E寺という、天台宗の古刹だ。

そのため、この山の登山道は「参道」でもある。

「参道」ではあるが、道は整備されていない所も多く、

むき出しの岩場を、登っていかなければならない箇所もある。

そのため、この山に徒歩で登る人間は、

わりとしっかりとしたハイキングスタイルであるのが、当たり前になっている。

自分が下山している途中で行き違ったおばさんは、

そんな中を日傘をさしながら登ってきた。

相生市のT山のときと同じである。

しかしT山のときとは違っておばさんは1人であり、

さらにヒールの高い靴を履いていた。

そんな靴を履きながらも、全く苦にする様子もなく、

すいすいと登ってくるおばさん。

その足取りは、道慣れたものだった。

ひょっとしたら地元のおばさんで、毎日山に登っているのかもしれない。

普通、この手の格好のおばさんは、ロープウェーで上ってくるからだ。

もっともおばさんと行き違ったのが、歩き辛い岩場に至る前だったので、

あのおばさんが無事に岩場を登り切れたかどうかは、定かではない。

6・上郡町のせっかちおじさん

上郡町のS山に登ったときのことだ。

S山は山頂に赤松氏の城跡がある。

ここは、シカ除けのゲートを越えて、しばらく林道が続く。

林道にはほとんど傾斜はなく、緩やかな上り勾配である。

その林道が終わったところに杖などがおいてあり、

そこから本格的な山登りが始まる。

このS山から無事下りてきて、林道を歩いて戻っているときに、

おじさんとすれ違った。

挨拶を交わしたのだが、そのときにおじさんが聞いてきた。

「もう山頂は近くですか?」

はあ?と、思わず頭をひねってしまった。

近くも何も、まだ登山道にすらなっていないではないか。

というより、このおじさんはここまで、ほぼ平らな道を歩いてきたはずだ。

どうすれば「山頂が近い」と言う風に思えるのか?

「いえ、まだ登山口のようなものですよ」

と答えると、

「ええーっ!?」

と驚いて、真っ青な顔になった。

こちらが「ええーっ!?」である。

「登山口のようなもの」というのは、リップサービスのようなもので、

本来なら「登山口もまだ先ですよ」と言わなければならない。

明らかにテンションの落ちたおじさんだったが、引き返すことはせず、

とぼとぼと先に進んでいった。

あのおじさんが無事に登山できたのかは定かではないが、

なんともせっかちなおじさんだった。

以上、前回とあわせて何人かを紹介してきた。

大体の場合は、登山スタイルがおかしいということになるのだが、

「ジョン」の場合は、自分がおかしな勘違いをしただけで、

別におかしな人たちだったわけではない。

が、あまりにもミョーな勘違いだったため、

紹介した次第だ。

前に「比叡山」の回で書いた「荒ぶる京都人」も、

おかしいといえば、おかしい人ではあった。

ただ、この場合は、何組にも同じ対応をされたので、

地域の人間性なのかもしれないが。

まあ、山に登り続ける限り、おかしな人には出会い続けるだろう。

それもまた、登山の楽しみだ。

Related Articles:

にほんブログ村 その他生活ブログ 雑学・豆知識へ
にほんブログ村

スポンサーリンク
スポンサーリンク

-

Copyright© Falx blog 2 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.