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大河ドラマ「軍師官兵衛」

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よく、「来年の話をすれば、鬼が笑う」という。

これは、本来は、「よくわからない将来のことを話しても、
しようがない」という意味である。

そういう本来の意味を無視して、
言葉通りにこの諺を捉えるならば、
「去年」の話をすれば、「鬼」は怒りだすかもしれない。
あるいは、「鬼」とは逆の存在が、笑うのかもしれない。
「鬼」の逆の存在、対になる存在とは何か?
これは節分のかけ声を、思い出してみればわかる。
「鬼は外、福は内」なのだから、
「鬼」の反対は、「福の神」ということになる。
つまり、去年のことを話せば、
「福の神」が笑うということになる。

かなり強引に理屈を付けたが、
「福の神が笑う」というのは、なかなか縁起がいい。
いや、鬼の笑いは嘲笑だから…、
という至極真っ当な意見は、
この際、無いものとして話を進める

日本の正月、というのは、とにかく縁起をかつぐものだ。
そういう理屈からすれば、新年早々、去年の話をして、
「福の神を笑わせる」のもいいのではないか?
つまり、新年あけて早々去年の話である。

昨年、NHKの大河ドラマは「軍師官兵衛」だった。
大河ドラマは、毎年正月に新しいタイトルが始まり、
1年間に渡って放送した後、12月に最終回を迎える。
つまり去年の1月、「軍師官兵衛」は始まったわけだ。

自分は、例年、この大河ドラマを見ない。
「軍師官兵衛」は大河ドラマの53作目だから、
自分が生まれる以前から、
大河ドラマは放送されていたのだが、
生まれてから1度も、大河ドラマを見た記憶がない。
もちろん、見る番組が無く、
適当にチャンネルを回していて、
たまたま放送していたものを、
見た程度のことならあるのだが、
これでは「大河ドラマ」を見た、とは言えないだろう。
これは、両親の影響で、
うちの両親も、「大河ドラマ」を見ない人間であった。
そんな両親の元で育ってきた子供が、
「大河ドラマ」を見るはずがない。

そんな自分が、どういうわけか
「軍師官兵衛」を見る気になった。

播磨出身の天才軍師・黒田官兵衛の物語という所が、
郷土史的なものが好きな自分の琴線に触れたのだ。
そういうことなら、「武蔵」はどうなんだ?とか、
「忠臣蔵」はどうした?とか、
「平清盛」はどうなんだ?といわれそうだが、
それはそれ、ということにしてほしい。
ちょうど1年前に始まった第1回から、
何となく見始めたのである。
まー、面白くないようなら、
見るのを止めてもいいか、くらいの気持ちであった。

この「軍師官兵衛」、
黒田官兵衛の生涯を描くというだけあって、
官兵衛の少年時代から始まる。
官兵衛は姫路の生まれなので、
結構、知った地名が出てくる。
少年時代のエピソードの中には、
薬草を求めて、敵地である龍野へ忍び込む話もあった。
自分の故郷が敵地として出て来るのは、
少々複雑な所もあるが、
実際には、龍野ではない場所で撮影しているので、
お、ここは~だ、の様なことはない。
序盤から中盤までは、舞台はほぼ播磨地方なので、
「姫路」、「御着」、「龍野」、「青山」、「上月」など、
なじみのある地名が次々に登場し、
地元民としては、あの辺りでこんなことが……と、
感慨深いものがあった。
「八朔のひな祭り」の元となった、
室津における、浦上氏と赤松氏の戦いも描かれたが、
どういうわけか、少し設定がいじられ、
ここで殺された浦上氏の新嫁が、
官兵衛の初恋の相手、ということになっていた。
確かにドラマ的には、そちらの方が面白いのだろうが、
やや無理矢理な印象も受けた。

中盤にさしかかると、物語は最大の盛り上がりを見せる。
播磨を中心としたストーリーの目玉、
官兵衛が荒木村重によって有岡城に幽閉される事件と、
備中高松城攻めからの中国大返しである。
黒田官兵衛の物語の、まさに最大の見せ場だ。
実際、この辺りで視聴率は最高の19.4%を記録している。

だが、問題はここからである。
官兵衛を扱った小説などでは、時にこの中国大返しから
いきなり時代が飛んでしまうことがある。
つまり中国大返し以降は、
物語にしてもそれほど面白くないと思われているのだ。
確かにこの辺りから官兵衛は秀吉に遠ざけられ、
第一線での活躍というのは、極端に少なくなる。
だが「軍師官兵衛」では、敢えてその部分にも光を当てた。

息子・長政へ家督を譲り、
独裁者としての横暴さの出てきた秀吉のもとで、
懸命に黒田家を維持していく。
2回にわたる朝鮮出兵、秀吉の死。
そして関ヶ原の合戦を期に、最後の勝負に出る官兵衛。
これらをしっかりと、最後まで描き切った。
視聴者からの評判も良かったようで、
黒田官兵衛の物語としては山場を過ぎた、
その後半生を描きながらも、
視聴率は、ほぼ15%以上を維持していた。

「軍師官兵衛」を1年間見続けて、
まず感じたことは、主演・岡田准一の力演だ。
もちろん、ジャニーズV6のメンバーということで、
青年期の爽やかさは予想どうりの好演だったが、
伊丹城幽閉後の凄みの増した官兵衛は、
青年時代以上の好演だった。
天下の名軍師といわれた貫禄を、見事に表現できていた。
この後、彼以外が黒田官兵衛を演じたとしても、
かなりの違和感を感じることになるだろう。

今年の大河ドラマは、
吉田松陰の妹を主人公に据えた「花燃ゆ」である。
2013年の「八重の桜」に続く、
幕末を舞台にした、女性の物語である。
現在の所、それほど視聴意欲が高いわけではないが、
「軍師官兵衛」を見てきた流れで、
とりあえず、第1回は見るつもりである。

果たして「官兵衛」以上に、はまることはあるだろうか?

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