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怪獣王のライバルたち〜その2

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前回、怪獣王・ゴジラの「ライバル」として、
初めてゴジラと戦った暴竜アンギラスと、
ゴジラを模して作られたロボット兵器、メカゴジラについて取り上げた。
今回も前回同様、ゴジラの「ライバル」について取り上げてみよう。

まず、今回最初に取り上げるのは、インファント島の守り神・モスラである。
モスラ自体の初登場はゴジラシリーズではなく、
単独で主演した「モスラ」である。
どちらかといえば、は虫類系の多い怪獣界にあって、
昆虫である「蛾」をモチーフとしたモスラは、特に異質な存在である。

まずなんといっても、その大きな特徴は、
1本の映画の中で、卵→幼虫→サナギ→成虫と、
大きく形態を変化させる点である。
ゴジラの外皮が剥がれるメカゴジラ、大きく形態を変えるシン・ゴジラ、
合体変形によって姿を変えるモゲラ、
成長することによって姿を変えるデストロイアなど、
一部の怪獣の中には、姿形を変化させるものも存在しているが、
ここまで何回も、かつ大幅に姿を変える怪獣というのは、
モスラの他に、いないといっていいだろう。
(さらに平成版「モスラ」においては、成虫自体の形態も
 必要に応じて変化している)
モスラが主役、あるいはそれに準じた立場で映画に出ている場合、
わりとどの映画でも、この形態変化を行っている。
いわば、この形態変化は、この怪獣にとって
欠かすことの出来ない見せ場なのだろう。

もう1つの大きな特徴は、どんな映画に出た場合でも
モスラは人間の味方であるという点だ。
その初登場となった「モスラ」の劇中においても
インファント島から連れ去られた小美人を奪還するために
町に上陸し、建物などを破壊するが、他の怪獣たちの様に
狙って町を破壊するなどということはしない。
それ以降の、昭和ゴジラシリーズ、平成ゴジラシリーズ、
ミレニアムゴジラシリーズの全てを通して、このスタンスは貫かれており、
その立場を正義・悪とコロコロと変える他の怪獣とは違って、
一環して正義の怪獣であることを貫き通した。
そういう意味では、昭和ゴジラシリーズにおいて
だんだんとゴジラがヒーロー化していくのも、ある意味では
このモスラの影響であったともいえるのかも知れない。

「ライバル」としてのモスラを見た場合、これはかなり優秀である。
作中において、明確にゴジラに勝ったと断言されているのは、
このモスラだけだろう。
イモムシか蛾という、どう考えても戦闘向きではない形状をしていながら
(実際、イモムシも蛾も、自然界では他者のエサとなる場合が多い)
ゴジラ相手に何度も勝利を挙げているというのは、脅威というほか無い。
面白いのは、体の大きな成虫よりも、体の小さな幼虫の方が、
ゴジラ(ゴジラ以外でも)に対する勝率が高い点だ。
体格差でいえば、ゴジラに踏みつぶされてもしょうがないほどの差があるし、
スピードという点に関しても、地面をモソモソと這っているだけで、
全く見るべき所がない。
成虫が、体のサイズ(翼長コミで)でゴジラに引けを取らず、
何よりも空を飛べるという圧倒的な利点がありながら
ゴジラにやられているのに対し、全く生まれたての幼虫が
ゴジラに勝つというのは、驚くべきことである。
これはひとえに、幼虫が口から吐き出す「糸」に秘密がある。
モスラ(幼虫)は戦闘になると、口から勢いよく糸を吐き出し、
これを敵に吹きかけていく。
これによって敵怪獣はその動きを封じ込められ、
やがては完全な戦闘不能状態に陥ってしまうのである。
全く恐るべき糸であるが、それ自体に殺傷能力は無いようだ。
ゴジラでさえ、完全に動きを封じられ、脱出できなくなっているが、
そのまま餓死してしまう事なく、続編に登場している所を見ると、
あの糸は強靭ではあるものの、時間と共に強度が低下していき、
やがて中の怪獣が脱出できるようになるのだろう。
相手を殺傷するのではなく、動けなくするという辺りが、
いかにも正義の怪獣・モスラらしい。
ゴジラのみならず、キングギドラやガイガン相手にも
互角以上に戦える、正に最強の「ライバル」である。

次に取り上げる「ライバル」は、ガイガンだ。
初登場は「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」で、その他
「ゴジラ対メガロ」、ミレニアムシリーズの
「ファイナルウォーズ」に登場している。
一見すると、そのクチバシや羽根から
鳥、もしくは翼竜がモチーフと思われるが、
目の部分がゴーグル状の単眼であること、手がカマ(?)になっていること、
胸から腹部にかけて回転ノコギリ(?)がついている所から、
ロボット的な印象も受ける。
別名で「未来怪獣」、「サイボーグ怪獣」などと称されている所からも、
純粋な生物ではなく、何者か(宇宙人)によって改造を施された
生物兵器と捉えるのが正しいのかも知れない。
登場回数は少ないものの、そのシャープで未来的なデザインから
非常に人気の高い怪獣の1体である。
他の「ライバル」たちが、作品によってその立場を善悪に変えるのに対し、
ガイガンは全編を通して(少なくとも「ファイナルウォーズ」までは)
悪役に徹した。
そういう意味では、同じく全編を通し、正義側を貫いたモスラとは
好対照であるといえる。
(「ファイナルウォーズ」では、最後にそのモスラと戦って破れている)
デザイン・実力ともに充分な魅力を持った「ライバル」であったが、
いかんせん昭和ゴジラシリーズでは、登場が遅く、
シリーズ終盤の2作品にしか登場していない。
続く平成ゴジラシリーズでは、他のライバル怪獣たちがドンドン復活する中、
全く復活の声が挙らなかった。
やはり「サイボーグ怪獣」と称される所の、微妙な生物兵器感が
設定上、ある程度のリアルさを求められた平成ゴジラシリーズとは
マッチしなかったのかも知れない。
宇宙人というものが全く出てこなかった平成ゴジラシリーズでは、
どうしてもあのデザインは浮き上がってしまう。
この点は、続くミレニアムゴジラシリーズでも同じであったが、
こちらの最終作「ファイナルウォーズ」では、
宇宙人が登場し、怪獣たちを操るという昭和チックな展開であったため
おおよそ30年ぶりにガイガンが復活。
宇宙人の尖兵として、それまでの鬱憤を晴らすかのごとく大暴れした。

今回は、最強のゴジラハンター・モスラと、
サイボーグ怪獣・ガイガンを取り上げた。
次回は、ゴジラ最大のライバルである、あの怪獣を取り上げる。

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