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超軽量飛行機

更新日:

先日、いつものニュースサイトを見ていて、こんな記事が目に入った。

『茨城 超軽量飛行機が墜落 
 乗っていた男性2人けが』

11月3日午後、茨城県行方市で超軽量飛行機が墜落した。
この超軽量飛行機には69歳と74歳の、2人の男性が乗っていたが、
幸いなことに、手や足に軽いけがをしたものの命に別状は無かった。

飛行機は墜落の30分ほど前に、現場から約20kmほど離れた
水戸市内の離着陸場を出発しており、旋回の途中に失速し、
墜落したものと思われる。
ちょうどその現場を目撃していた人がおり、
「ウルトラライトプレーンが落ちるのを見た」
と警察に通報があり、現場付近の雑木林の中を捜索して2人を発見した。

飛行機の墜落事故で死者が出ず、軽いケガですんだと言うのは
まことにラッキーなことであったが、何より乗っていたのが
69歳と74歳という高齢者であったことも、驚きである。
どうも自分などは、スカイスポーツに詳しくないせいか
スカイスポーツ=若い人のするもの、というような思い込みがあり、
今回のように高齢者が、スカイスポーツを楽しんでいる事実を知って、
その認識を改めなくてはならないと思った次第だ。
よくよく考えてみれば、サッカーや野球の様に
激しく体力を使うスポーツはともかく、
乗り物を乗りこなすようなスポーツは、あまり年齢は関係ない。
今回のように、乗り物にエンジンがついているような場合だと、
重要になってくるのは体力よりもむしろテクニックで、
そういう意味では、長くスカイスポーツを楽しんできた経験者にとっては、
超軽量飛行機の操縦というのは、むしろお手の物なのかもしれない。

さて、ここであまり耳慣れない言葉が出てきた。
「超軽量飛行機」である。
実は、自分がこのニュースに興味を持ったのも、
見出しの中にある「超軽量飛行機」という言葉に引かれたからである。
もともと、重力に逆らって空を飛ぶという「飛行機」という乗り物の性質上、
機体重量が軽くなることを重要視して作られているものだが、
それにしても「超軽量」というのは、ちょっと興味を引く。
一体、どれくらい軽いというのか?

早速、インターネットの画像検索を使って、
「超軽量飛行機」というワードで検索をかけてみた。
途端、画面一杯に表示される、様々な飛行機たち。
そこに表示されている飛行機たちの中には、
普通のセスナ機のように見える機体もいくつか混じっているのだが、
その大半はもっとチャチな、構造のものである。
機体によっては、ただのハンググライダーにむき出しの操縦席と
プロペラを取り付けただけのようなものもある。
構造、形状などは画像ごとに見事にバラバラだ。
正直な話、これらの画像を見た第1印象は、
「鳥人間コンテスト?」であった。

今でもやっているのかは分からないが、その昔、
TVの人気番組で「鳥人間コンテスト」というものがあった。
全くの素人が、それぞれお手製の飛行機を持って琵琶湖に集まり、
用意された離陸台から湖に向けて飛び立ち、その飛行距離を競うのである。
全く推進装置を持たないグライダーの部と、
プロペラを取り付けたプロペラ機の部があったように記憶している。
もちろん、プロペラ機といってもエンジンで動くものではなく、
人力でこれを回転させる仕組みのものである。
そういう意味では、完全な人力のみによる競技大会と言える。
プロペラ機の中には、何十kmも飛行するものもあり、
自分も含めた視聴者を大いに盛り上がらせてくれたのだが、
そういうレベルの高い出場者というのは結構稀で、
ほとんどの出場者は、離陸台から真下に落下するか、
ほんの心持ち前へ飛んだ後、機体がバラバラになって
落下するのがオチであった。
今回、「超軽量飛行機」というワードで画像検索をかけ、
画面に出てきた飛行機の中には、その「鳥人間コンテスト」の出場機体を
彷彿とさせるような態のものも少なくなかったのである。

「超軽量飛行機」とは、非常に軽量で簡単な構造の機体を有する
動力付きの航空機のことである。
ニュースの中で出てきたように「ウルトラライトプレーン」とか、
「マイクロライトプレーン」などと呼ばれることもある。
非常に軽量で簡単な構造という点では、先に書いた「鳥人間コンテスト」に
出てきた飛行機たちと似たような形になるのは、当たり前である。
ただ、「鳥人間コンテスト」のそれと明らかに違っているのは、
その非常に軽量で簡単な構造の機体に、
動力機(エンジンなど)がついている点である。

ライト兄弟が人類初の友人動力飛行に成功してから100年余り。
飛行機は格段の進化を遂げ、スピード、高度、大きさ、積載量、安全性など
100年前とは比べ物にならないほどのレベルになったのだが、
その反面、飛行機で空を飛ぶのは非常に難しい免許と、
非常に高価な飛行機を持ってせねばならず、
飛行機による個人の自由な飛行というのは、
極めて狭い世界でのこととなっている。
自分がまだ子供だったころ、雑誌の未来予想図には
「空飛ぶ車」などがごく普通に描かれており、
自分たちが大人になるころには、皆、気軽に空を飛べるようになっていると
思わされたものだが、実際には我々が大人になった現在でも、
そのような気軽な飛行というのは実現していない。

そういう気軽な飛行というスタンスを目指したものかは分からないが、
1970年代ごろから、超軽量の動力機付きの航空機が
アメリカを中心として用いられるようになった。
初期のものは、ハンググライダーに農業用の小型原動機を
取り付けただけのものだったらしく、
本当にあるもので間に合わせたという感が強い。
恐らく、広大なアメリカ合衆国では日本以上に移動手段としての
「簡単・便利・安価」な飛行機が求められていたのだろう。
そういう切実な欲求が、ハンググライダーに小型原動機を取り付けた
「超軽量飛行機」を誕生させたのではないだろうか?

この「超軽量飛行機」にはいくつかのタイプがある。

その中で、もっとも種類が多く、本来の「飛行機」に
近い形状を持っているのが「舵面操縦型」と呼ばれるものだ。
これは普通の飛行機と同様に、昇降舵、方向舵、補助翼を有しているもので、
これらの操作することによって、機体をコントロールする。
簡単な構造のものは、それこそ「鳥人間コンテスト」レベル、
しっかりした構造のものだと、それこそセスナ機と見まごう機体もある。

2つ目は「体重移動操縦型」と呼ばれるタイプのもの。
これはそのまま、見た目がハンググライダーである。
それに小型のエンジンを取り付けたり、小さな操縦席を取り付けることで、
飛行機としての体裁を取っている。
もちろん、基本形態がハンググライダーであるため、
ハンググライダー同様に、体重移動を行なうことによって操縦を行なう。
(もちろん、動力機(エンジン)の操作はまた別になるが……)
日本では降着装置、いわゆる着陸のための装置を取り付けていないものは、
このカテゴリーからは外されている。

3つ目は「パラシュート型」である。
これは先の「ハンググライダー」と同じく、
パラグライダーに操縦席とエンジン、降着装置を取り付けたものだ。
ん?それってモーターパラグライダーじゃないの?と、
思った人もいるだろうが、あちらには降着装置がついていない。
あくまでもあちらは、パラグライダーに補助として
動力を取り付けているという態を取っているので、
こちらのように航空機としての扱いはされないことになる。

国土交通省航空局の文書によれば、「超軽量飛行機」は

・先に書いた3タイプのうちのどれかに区分されていること
・単座、または復座であること
・単座のものは自重180kg以下、復座のものは225kg以下であること
・翼面積は10平方メートル以上であること
・失速速度は時速65km以下であること
・最大水平速度は時速185km以下であること
・推進力はプロペラによって得るものであること
・降着装置を有していること
・燃料容量は30ℓ以下であること
・対気速度計と高度計を装備していること

といった条件を満たしている必要がある。
免許などが必要ないため、誰でも乗ることは出来るのだが、
事前にいくつかの許可を申請し、これを取っておく必要がある。
日本国内では家や道路のある区域では飛べず、
また、飛び立った場所と違う場所に下りることは認められていないので、
これを交通手段として用いることは不可能である。

この「超軽量飛行機」は、免許を取得する必要がないため、
経験や知識の乏しい人間でも、操縦することが出来てしまう。
(一応、外部認証機関による技能証明が必要なようだ)
そのため、初歩的なミスによる事故も、
多数、起こっているようである。
そのため、現在では国もこの「超軽量飛行機」には
かなりナーバスになってきているらしい。

やはり、人が空を飛ぶということには、
色々複雑な問題がついて回るようだ。

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