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雑感、考察

電子レンジ〜その1

投稿日:

「チンする」という言葉が、死語になって久しい。

正確にいえば、これには「我が家では~」という、
枕がつく。
親が電機メーカーに勤めていたためか、
自分の物心つくころには、家に「電子レンジ」があった。
データによれば、1980年代に、
電子レンジの普及率は40%代になっているのだが、
自分の記憶が確かなら、このころに我が家では
「電子レンジ」の買い替えを行ない、
早くも「オーブンレンジ」を購入している。
つまり、最初の「電子レンジ」を購入したのは、
1970年代ということになり、
ほぼ「電子レンジ」の出始めのころから、
我が家のキッチンでは、当時の最新式家電を
使っていたということになる。
これは父親が、新しい物好きな性格であったためだが、
うちの台所事情は昔から、随分と先鋭的であったようだ。

この早い段階での「電子レンジ」の買い替えが、
我が家の3兄弟に、
ある種のジェネレーションギャップを生んだ。
両親と自分は、この古い「電子レンジ」の記憶が
残っており、「電子レンジ」=「チーン」という音が
当たり前になっていたのだが、
自分の下の妹と弟には、
買い替えた後の「オーブンレンジ」の記憶しかないらしく、
「電子レンジ」=「チーン」というのを、
知らなかったのである。
新しい「オーブンレンジ」は、
調理が終了しても、あの「チーン」という音はせず、
「ピッ、ピッ、ピッ」と電子音がするのみであった。
このため、「電子レンジ」を使うことを、
「チンする」という表現するということを理解せず、
自分や母親が「チンする」という言葉を使うと、
まるで原始人でも見るような口調で、
これを指摘してきたのである。
わずか2~3年程度しか歳の離れていない妹弟に、
「古い人」呼ばわりされるのは、なかなかに理不尽である。
理不尽ではあるが、
確かに「チンする」という言葉を使うのはもう古い。
家の「電子レンジ」は、すでに進化して
「チン」ではなくなったのだ。
で、あれば、人間の方も進化して
「チンする」という言葉とは、オサラバせねばなるまい。
そう考えた自分は、以降、「電子レンジ」を使うことを
「チンする」といった表現を止め、
「電子レンジを使う」といった、
持って回った表現をするようになったのである。
小学生当時の自分の、
この涙ぐましい努力をほめてやりたい。

「電子レンジ」というのは、
それまでにあった調理用加熱器具とは全く違った、
調理用加熱装置である。
それまでの調理用の加熱器具といえば、
ガスコンロにせよ、オーブンにせよ、
「熱伝導」を使ったものであった。

水が高い所から低い所へと流れるように、
「熱」も高い所から低い所へと伝わっていく。
これが「熱伝導」である。
例えば、鍋を使って水を温める場合、
鍋に水を入れて、これをガスコンロにのせて火をつける。
すると、ガスコンロの火がまず鍋を温め、
暖まった鍋がさらに水を温める。
こういう風に、ガスコンロの火の「熱」が、
次々と伝わっていくことによって、水も温まるのである。
もちろん、ガスコンロの火が温めるのは鍋だけではない。
鍋が温まるのと同時に、近くの空気も温める。
暖まった鍋も、水だけを温めるのではなく、
鍋の周囲の空気をも温める。
そういう意味では、ガスコンロで生まれた
熱エネルギーの全てが水には伝わらず、
かなりの熱エネルギーが
空気中に放出されていることになるのである。

ところが「電子レンジ」は、
この「熱伝導」によらない方法で、対象を加熱する。
一体どういう方法で加熱するかといえば、
マイクロ波(電磁波)をモノに当てることにより、
そのモノの中に含まれている水の分子に振動を与え、
これを加熱するのである。
電子レンジに使われるマイクロ波(電磁波)は、
24億5千万ヘルツである。
これを水の分子に当てれば、水の分子は1秒間に
24億5千万回振動することになる。
……ちょっと想像しにくい回数の振動回数である。
ともあれ、食材に含まれる「水分」を
マイクロ波で直接加熱するため、
エネルギーを全く無駄にする事なく、
食材に伝えることが出来る。
早い話、水分をたくさん含んでいるものは
「電子レンジ」で加熱しやすく、
逆に含んでいないものは加熱されない。
つまりガラスや陶磁器の器は加熱されず、
それに盛られた食材だけが加熱されるということである。
あれ?でも「電子レンジ」で加熱すると、
お皿やコップも熱くなっているよ?と思う人もいるだろう。
これは先に書いた「熱伝導」が起こり、
熱くなった食材から冷たい器へと、
熱が移っただけなのである。

では、水は水でも、凍った水、氷はどうなのか?
電子レンジを使って、凍った食材を解凍することは出来る。
しかし、それは常温のものを温めるのに比べると、
はるかに時間がかかる。
実は「電子レンジ」の24億5千万ヘルツという振動数は、
水を加熱するのに適した振動数であり、
氷を加熱するのに適した振動数ではないのだ。
(氷を加熱するのに適した振動数は10億ヘルツ)
そのため、常温のものを加熱するよりも、
ずっと多くの時間がかかってしまう。
また、冷凍が溶けた部分は、暖まり方が早くなるため、
結果として解凍ムラが起こりやすくなるのである。

人類初の「熱伝導」以外の加熱調理器として、
登場した「電子レンジ」。
現在では、キッチンには欠かせない
調理器具になっているが、
電磁波を使った加熱調理器具の登場は、
当初、かなりうさんくさい目で見られていた。

次回は、「電子レンジ」に欠かせない電磁波と、
レンジの構造について書いていく。

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