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ヒアリ

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現在、ある小さな虫が、日本を大きく揺るがしている。

今年5月、神戸港で、中国から運ばれてきた貨物コンテナの中から、
ある昆虫が発見された。
アリである。
まあ、コンテナのような大きな箱状のものであれば、
アリのような小さな虫が貼り付いて、
移動するのは充分考えられることである。
いくら厳しく検疫が行なわれているといっても、
極小の昆虫類の移動を完全にシャットアウトするというのは、
かなり難しい。
これがまだ、植物などであれば、
「それ」そのものが動いたりはしないので、
ゆっくり時間をかけて検査すれば、
完全なシャットアウトが出来るかも知れないが、
「それ」そのものが極小で、
さらに自由に動き回る昆虫などということになれば、
そのシャットアウトは困難を極める。
とはいえ、入ってきた生物というのはアリである。
あんな、踏んづければプチッと潰れるような小さな昆虫が、
一体、どれほどの脅威になるというのか?

だが今回、神戸港で見つかったアリは、
本当に恐ろしいアリで、世界各地で大きな被害が出ている。
そのアリの名を「ヒアリ」という。

「ヒアリ」。
漢字で書けば「火蟻」。
ハチ目アリ科に属する蟻の一種で、
「世界の侵略的外来種ワースト100」や
「特定外来生物」にも指定されている。
「火蟻」という漢字や、中国からのコンテナで見つかったと聞くと、
中国原産のアリなのか?と思ってしまうが、
実は原産地は南米大陸である。
このアリの恐ろしい所は、強力な猛毒の針を持っていることだ。
これに刺されると、火傷のような激しい痛みがあり、
場合によってはアナフィラキシーショックを起こして
死亡してしまうこともある。
そのため、「殺人アリ」などという物騒な名前で呼ばれることもある。
実際に、1年間で100人ほどの人が
この「ヒアリ」に襲われて(?)命を落としているという。

昆虫に刺されて命を落とす、といえば、
パッと思いつくのが、スズメバチである。
日本では、毎年、多くの被害者が出ており、
なおかつその中には、命を落とす者もいる。
刺された後に、激しい痛みがある点、
アナフィラキシーショックを引き起こす点など、
「ヒアリ」とスズメバチには、似通っている点も多い。
さらにいえば、この両者とも、ある程度の数の集団を形成しており、
敵に襲いかかる場合に、集団でかかることも同じである。
だが、このよく似た性質を持つ2種類の昆虫には、
大きく異なっている点が2つある。

1つは、そのサイズだ。
アリとスズメバチの大きさを比べてみれば、その差は歴然である。
スズメバチが近くに飛んでくれば、その羽根音も併せて
その存在を関知するのは、極めて簡単であるが、
アリの場合、近くに寄って来ようが、どうしようが、
音などするはずも無く、またその小ささも相まって
その存在を関知するのは、非常に困難である。
虫眼鏡などを持って、地面を観察しているのならともかく、
そうでなければ、アリがそこにいることでさえ、
関知するのは、かなり難しいことになる。

もう1つは、空を飛べるかどうかだ。
飛べるハチに、飛べない「ヒアリ」。
(もちろん、女王アリなど羽根を持ち、飛行する者もある)
一見すれば、飛べない「ヒアリ」はスズメバチに比べて、
対処しやすいようにも思える。
殺虫剤などを用いて、これらを処理しようとする場合、
やはりブンブン飛び回られるよりは、
地面の上を這っていてもらう方が都合がいい。
ただ、こちらの方に関しては、常に地面の上にいるとは限らない。
もともとアリ自体が、それほど深くないとはいえ、
地中に巣を作り、そこを中心にして活動する生物である。
土の中に巣を作られていては、これを根絶するのは
かなりの時間と手間がかかる。

これらの共通点、異なっている点を考えると、
この「ヒアリ」は、アリの姿をしたスズメバチという風に捉えると、
その怖さが、伝わるのではないだろうか?

この恐ろしい「ヒアリ」は、神戸で見つかったのを皮切りに、
尼崎、名古屋、大阪でも、立て続けに発見された。
それぞれ、海外からのコンテナが運ばれてくる港がある。
この中には、女王アリと見られる死骸も存在しており、
最悪の場合、すでに日本国内で繁殖を始めている可能性も
あるということだ。
現在は、海外との交易のある港を中心として、
調査が進められているが、
すでにこれらの港の周辺地域でも、
「ヒアリ」が入ってきていないか、調査が進められていることだろう。
さらに、問題のコンテナを積んだ船は東京、横浜などを
経由して来ていることから、今後、これらの場所で
「ヒアリ」が発見されることが、無いとは言い切れない。
すでに殺虫剤メーカーの株価が上がり始めている辺り、
「ヒアリ」が日本に上陸し、繁殖をし始めるのは
必然と思われているらしい。

さて、この「ヒアリ」が神戸で発見されて以降、
TVなどでは、身の周りで「ヒアリ」を発見した場合、
すぐに公的機関に連絡して、と呼びかけている。
しかし、マジメな話、この「ヒアリ」、
赤茶けた体色をしている以外は、特に特徴らしい特徴がない。
いや、専門家が見れば、普通のアリとの体型の違いなど
いくらでも出てくるのかも知れないが、
何せ、こちらは全くの一般人である。
今、自分が目にしているアリが「ヒアリ」かどうかなど、
判別するのは、ほぼ不可能といっていいだろう。
せいぜいが、ちょっと赤茶けた色に見えるから、
ひょっとしたらこれは「ヒアリ」かもしれない、と考える程度だ。
素人が、それを「ヒアリ」だと確信を持つためには、
それこそ、この殺人アリの毒針に刺されてみて、
その火傷のような痛みを味わってみるしか無いだろう。
もちろん、死ぬ可能性もあり、酷い痛みを伴う「その」方法を
わざわざやってみる人間もいないだろうから、
実際には、赤茶けた色のアリを見つけた際に、
その真偽はともかく、すべて公的機関に連絡を入れるか、
あるいは全く偶然にこのアリに刺され、
その痛みに耐えながら、それを「ヒアリ」と確信するしかない。

いずれにしても、「ヒアリ」の侵入を防げなかった以上、
そう遠くない将来、この「ヒアリ」の被害者が出るのは必定である。
願わくば、自分がその立場にならないことを、祈るばかりである。

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