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降水量

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九州北部の一部が、大変なことになっている。

7月5日から、福岡、大分を中心にして降り続いた雨は、
河川の氾濫や洪水をもたらし、甚大な被害をもたらしている。
(この記事を書いているのが7月6日の夜なので、
 豪雨自体は未だ収まっておらず、被害は拡大している最中だ)
梅雨時なので、雨がよく降るというのも当然なのだが、
台風でもないのに、これだけの雨が降るというのは、
ちょっと異常事態だとも思える。
ただ近年、この手の、台風などと全く関係のない所で、
強烈な大雨が降ることが多くなってきており、
その突然さから「ゲリラ豪雨」などという言葉も
使われるようになった。
今回の豪雨を「ゲリラ豪雨」というのは、
ちょっと無理があるかも知れないが、
いずれにしても、全く想定外の大雨であるという点については
両者ともに共通するところがある。

今回の豪雨は、激しい雨が降ったというのは当然なのだが、
それが、ほとんど同じ場所で、ずっと降り続けたということが、
被害を大きなものにした、主たる理由である。
今回の豪雨の、雨の降った地点を見てみれば、
九州の北部の福岡県から大分県に向けて、左上から右下へと
ちょうど帯状になって続いていることが分かる。
これを「線状降水帯」というらしい。
これは、暖かく湿った空気が流れ込み、
同じ場所で積乱雲が次々と発生して帯状に伸びる現象だ。
この積乱雲の下では、当然、
夏の夕立のような激しい雨が降ることになる。
夏の夕立の積乱雲の場合、それが移動していくために
激しい雨もわずかな時間で降り止み、
それほど大きな被害を出すことは無い。
だが、この「線状降水帯」の下では、
今まで激しい雨を降らせていた積乱雲が流れていっても、
即座に新しい積乱雲がやってくるため、
雨が止むことも、勢いが落ちることも無い。
積乱雲のもたらす強烈な雨が、ひたすら降り続けることになる。

TVの天気予報を見ていると、雨の降った量、
あるいはその激しさを表すのに「ミリ」という単位を使う。
例えば、24時間雨量が329.5ミリ、
1時間に110ミリの猛烈な雨、などという表現である。
「ミリ」「ミリ」と、ごく普通に使われているので、
まあ、なんとなく、そういうものかなぁ?と、
受け入れている人もいるかも知れないが、
この降水量を示す「ミリ」という単位は、
一体、どういうものなのだろう?

ある程度、歳をとった人なら、気象用語で「ミリ」といえば、
「ミリバール」という言葉を思い浮かべる人もいるだろう。
かつての天気予報などでは良く聞いた言葉だったが、
最近では、とんと聞かなくなってしまった。
実はこれは、「気圧」を表す単位で、
現在では「ヘクトパスカル」という単位に置き換わっている。
国際基準が「ヘクトパスカル」なので、
それに合わせた恰好である。
「ミリバール」と「ヘクトパスカル」については、
呼び方以外、全く同じなので、
「1ミリバール」は「1ヘクトパスカル」ということになる。
だからある日、突然、「ミリバール」が「ペクトパスカル」に
変わっても、混乱は少なかった。
数字の表す所が、全く変わらなかったためである。
この「ミリバール」を知っている人の中には、
ひょっとして降水量の「ミリ」も、これに関係あるのでは?と
考える人がいるかも知れない。
間違いである。
降水量の「ミリ」は、確かに「ミリ〜」というのを略したものだが、
それは「ミリバール」ではない。
では一体、何なのか?

降水量という言葉から考えると、水の量(体積)を表す
「ミリリットル」ではないのか?と考えてしまうが、
実はこれも間違いである。
では一体、この「ミリ」は、何の「ミリ」なのか?といえば、
正解は「ミリメートル」の「ミリ」である。
そう、物差しの目盛りとしてついているアレだ。
降水量という「体積」を表しているはずの単位に、
どうして「長さ」の単位が使われているのだろうか?

実は、あの「ミリ」というのは、「深さ」を表している。
いきなり「深さ」といわれても、ピンと来ないだろう。
だが、雨が降っている最中に、外に筒状のものをおいておけば、
水は流れていかず、その場所にたまっていくことになる。
雨が激しく降れば降るほど、長く降れば降るほど、
筒の中にたまっていく水は多くなり、そこに「深さ」が生まれる。
この「深さ」を「ミリメートル」で計測したのが、
「降水量」なのである。

もちろん、このやり方で水の深さを測るためには、
計測にかかる時間というのが、重要になってくる。
この計測時間には色々あるのだが、
一般的によく使われるのは、24時間、1時間、10分などである。
ニュースなどで、「1日の降水量」といえば、
24時間で筒の中にたまった水の深さ、ということになるし、
「1時間あたり〜〜ミリ」などという表現であれば、
1時間で筒の中にたまった水の深さ、ということになる。
ニュースを良く見ていれば、
「3時間の降水量が180ミリ」なんていう
表現をしている場合もあるが、これは3時間の間に、
筒の中には18㎝の水がたまったということになるのである。

今回の九州北部の豪雨でいえば、
1日で300ミリ以上、500ミリ以上、
3時間で180ミリ以上という雨が降っているという報道があった。
500ミリといえば、50㎝。
もちろん、これは筒の場所だけではなく、
町全域に降り注いでいるので、
町全体が50㎝の深さの洪水になるほど、雨が降ったということだ。
もちろん、町は平らではなく、高低差がある。
高い場所に降った50㎝は、
すべて低い場所へと流れていくことになる。
もちろん、一番低い場所は川や下水道なので、
そこに水は集中するのだが、川や下水にだって容量というものがある。
これを超えた水が流れ込めば、当然、水は溢れ出し、
町の低い場所から順に、水に浸かっていくことになる。
下水や河川の容量を増やしておかないのが悪い、と、
行政に文句を言いたくもなるが、
実際にこんな無茶な豪雨に対応できるほど
大掛かりな治水工事をやれば、きっと今度は、
ムダな公共工事と、文句が出ることだろう。

今回、猛烈な豪雨に見舞われた九州北部だが、
気象台の予報では、まだ天気は不安定で
まだまだ雨が降るものと見られている。
相手が自然のことなので、こればっかりはどうしようもないのだが、
せめて一刻でも早く雨が止み、
これ以上被害が広がらないことを、祈るのみである。

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