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植物 雑感、考察

ドクダミ

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これまでにも書いてきたとおり、
我が家の庭には、様々な植物が生えている。

その中には、柿やニラ、ミョウガなど食用に出来るものや、
山椒や月桂樹など、葉を一種の香辛料として
使うことの出来るものもある。
さらに梅や水仙、サザンカやツバキなどは、
季節になればきれいな花を咲かせ、庭を彩ってくれる。

だが、庭に生えているのは、
こんな有用な植物ばかりではない。
庭に生えている植物の、ほぼ8割方は
特に利用する方法もない、ただの雑草である。
自分は雑草をマメに引き抜くのが、
それほど苦にならない性格なのだが、
その雑草の中にひとつ、あまり触りたくない雑草がある。
「ドクダミ」である。
触りたくない理由はシンプルで、
「ドクダミ」を手で引き抜いていると、
手に独特の臭気が染み込むからである。
この点、ニラと非常に似通っている。

ニラも、雑草として引き抜くときや、
食用にするために採取するときなどに、
手に独特の臭気が染み込む。
ニラの臭いは、良く知られているとおり、
ニンニクの臭いにも類似した、あの香りである。
これが手に付着すると、
どんなに手を洗っても、完全に臭いを落とすことは出来ず、
半日くらいは指先が臭っている。
だが、こちらは曲がりなりにも「食材」の臭いである。
臭いについての好き嫌いはあるだろうが、
「食べ物」の臭いである点は、ある意味、
人間にとって「OK」な臭いである。
だが「ドクダミ」の臭いは、ニラとは違い、
ただ、違和感のある「不自然」な臭いなのである。
(もっとも東南アジアや中国の一部では、
 ドクダミもまた、一種の香辛料として食用にされる。
 これが民族的な性質の違いなのかはわからない。
 ベトナムなどのドクダミは、日本の「それ」に比べると、
 臭いが弱いともいわれている)

「ドクダミ」はドクダミ科ドクダミ属に属する、多年草である。
住宅周辺や道端などに自生しているが、
特に日陰になるような所に生えていることが多い。
これは、一日中、陽のあたらない、
じめじめした場所ということではなく、
陽が出ている時間帯の何割かは、日陰になる場所ということで、
ずっと陽のあたっている場所や、
逆に全く陽のあたらない場所には、ほとんど生えてこない。
先に書いたように、全草に強い臭気があり、
これを素手で除草しようとすれば、
手に臭気が染み込むことになる。
5〜7月ごろに、小さな花を咲かせる。
パッと見た感じでは、
白い花びらを4枚持った花のように見えるが、
その白い花びらに見える部分は花ではなく、
本来はその先端の黄色い部分が花である。
(もっとも、白い部分までを含めて
 「花」とすることもあるので、
 「ドクダミの白い花」なんて風に言っても、
 間違いではない。
 このあたりは、わりといい加減な認識のようだ)
白く長い根茎で地下を這い、多数の茎を地上に出して群生する。
茎は紫色を帯びることが多く、
すべすべした円柱形で直立して分枝し、
葉はやや大きなスペード型で、
茎と同様に紫褐色を帯びるものが多い。
「ドクダミ」の生命力と繁殖力は強く、
地上部分をいくらむしり取っても、根茎が残っていると、
翌年には地面いっぱいになるほどに繁殖する。
雑草としては、まことに厄介な代物である。

古くは「之布岐(しぶき)」と呼ばれていたが、
江戸時代に入り「ドクダミ」と呼ばれるようになった。
東アジアが原産の植物であり、
日本のものは中国から入ってきたとされる。
平安時代に書かれた「本草和名」に
「之布岐」の名があることから、
平安時代にはすでに日本に入ってきていたようだ。
「ドクダミ」という名前は
「毒矯め(どくだめ)」がもとになっており、
「毒」を「矯める(矯正する)」という意味である。
当時の「ドクダミ」は、
吹き出物や切り傷などの外用薬として使われる他に、
化膿した「できもの」の膿みの吸い出しにも
最適だったことから、
「毒を矯める」→「どくだめ」→「ドクダミ」
と、変化していったものと思われる。
ただ、調べてみた所、これとは全く反対の
「毒を溜め込んでいる」という意味から「毒溜め」となり、
これが変じて「ドクダミ」になった、という説もある。
あの強い臭気から、毒を溜め込んでいるのでは?
と考え、このような名前が付けられたらしい。
しかし「ドクダミ」は、昔から薬草の一種として利用されており、
「毒溜め」説は、少々無理があるような気がする。
どちらの説が正しいにせよ、
「毒を矯正する」という意味と、
「毒を溜め込む」という、まるで正反対の意味が、
それぞれ語源として残っている所が、なんとも面白い。

名前の由来からもわかるように、
「ドクダミ」には様々な薬効成分がある。
利尿作用や体内の老廃物除去、
神経細胞や筋肉組織を活性化させたりする。
また、あの強い臭気は精油成分であり、強い抗菌作用がある。
ただ、ドクダミの葉を乾燥させると、
あの臭気が無くなる代わりに、抗菌作用も無くなってしまう。
この葉を乾燥させたものが、いわゆる「ドクダミ茶」で、
便秘、風邪、蓄膿症、耳鳴り、のぼせ、胃酸過多、
高血圧、動脈硬化、冷え性など、
数えきれないほどの効能がある。
また、「ドクダミ茶」として飲用するだけでなく、
入浴時に湯の中に入れることによっても、
その効果を得ることが出来る。
冷え性、更年期障害、生理不順、腰痛、アレルギー性湿疹、
アトピー性皮膚炎、皮膚病、ニキビ、吹き出物など、
書いていても疑いたくなるほどの、万能薬ぶりである。
江戸時代に、貝原益軒によって書かれた「大和本草」の中では、
「十種の薬の能あり」と書かれ、
漢方の世界でも「十薬」と呼ばれている。
たが、先に書いた効能を見る限りでは、
とても10程度の数ではなく、もっともっと効能が多い。
古来より、日本人にとっては、
なくてはならない「薬草」だったに違いない。

ちなみに「ドクダミ」の若い芽はてんぷらにして
食べることも出来る。
高温に晒すことにより、独特の臭気が消えるため、
完成した天ぷらには臭気は残らない。
ただ、調理過程で、手や調理器具に臭気が移る可能性はある。
調理後には、しっかりと臭いを洗い落とすようにしよう。

ちょうど、今くらいの時期から、
庭のドクダミの勢いが増しはじめるが、
今まで散々、その繁殖力と臭いに手を焼いていたからか、
さすがにこればかりは、加工して食べる気にはならない。

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