By: iwazer
自分は本が好きで、よく図書館に行っている。
たつの市内には４つの図書館があり、
その中でも、もっとも自分がよく足を運ぶのが、
揖保川図書館である。
この揖保川図書館は、市営の多目的ホール
「アクアホール」の３階にあり、
東、南、西の３面がガラス張りになった、
明るくきれいな図書館である。
特に東側に、清流・揖保川が一望できる位置にあり、
本を借りるだけでなく、その絶好のロケーションを目の前にして、
のんびりと本を読むのは、なかなかに気持ちがいい。
自分がもっともよく、この揖保川図書館に足を運ぶのは、
それが最寄りの図書館であること以外にも、
市内４つの図書館の中でも、ここがもっともきれいで明るく、
のんびりできるからでもある。
龍野図書館や新宮図書館は、揖保川図書館の様に
どこかの建物に間借りしているわけではなく、
専用の建物を所有しているのだが、
そのためか、意外に駐車スペースなどは狭く、
多くの車を停めることが、出来ないようになっている。
揖保川図書館の場合、アクアホールという多目的ホールに
併設されているだけに、
駐車場もこちらと併用ということになっており、
実に広々とした駐車場を、２カ所も有している。
ひとつは、道を挟んで西側に位置している「西駐車場」。
もうひとつは、アクアホール南側に隣接している「南駐車場」だ。
先月の頭くらいのことだったと思うが、
このアクアホールの南駐車場が、閉鎖されてしまっていた。
アクアホールの中にも、南駐車場が使用できない旨を伝える
告知が貼り出されていたのだが、
どういう理由で使用不可なのか、全くその理由を述べず、
ただ、「使用できません」とだけ書かれており、
現場の南駐車場には、赤いカラーコーンと、コーンバーによって
バリケードが作られており、車が入れないようになっていた。
もちろん、アクアホールには「西駐車場」もあり、
そちらの方は解放されたままなので、
車で来館する人間は、そちらに車を停めればいいのだから、
特に不便ということもないし、
何より自分は、いつも自転車で図書館に通っているので、
駐車場が閉鎖された所で、影響は全く無い。
ただ、駐輪場はアクアホールの建物と「南駐車場」の間にあり、
ここに自転車を停めて、閉鎖されている駐車場を眺めてみても、
全く、異常は見当たらない。
一体、どんな理由で「南駐車場」を閉鎖したのだろうか？
単純に考えてみれば、
地面が陥没したりするような事故が起き、
それがまた起こる可能性がある、ということで、
事故防止と危険防止のために、
立ち入り禁止処置をとるというケースだ。
それ以外に「駐車場」を閉鎖しなければならない状況というのが、
思い浮かばない。
上から何か落ちてくるわけでもなく、
横から何か倒れてくるわけでもない。
桜の木が植えられているが、木は健康で倒れる心配もない。
どこかにアスファルトが陥没した跡でもないかと、
駐車場をざっと見回してみたのだが、
どうもそんな跡は見当たらず、全く普通の状態である。
さらに、カラーコーンとコーンバーで
臨時のバリケードが作られているとはいえ、
隙間だらけで緊張感は全く無く、
隙間を通って駐車場の中を自転車で通り抜けても、
全く注意されるようなこともない。
どうも、ただ、車だけが駐車禁止ということらしい。
そんな状況がしばらく続いていたのだが、
ゴールデンウィーク中に、友人と揖保川図書館に行ってみると、
いつの間にやらバリケードは取り除かれ、
「南駐車場」にも、たくさんの車が駐車してあった。
どうやら、しばらく来ない間に、
「南駐車場」の問題は、解決してしまったようだ。
それにしても、一体、どんな理由で駐車場を閉鎖していたのか？
それだけが、疑問点として、自分の心の中に引っかかっていた。
この疑問点が、最近、解決した。
ゴールデンウィークが終わり、
何気なく、市議会便りに目を通していると、
そこに市長と市会議員たちの質疑応答が掲載されており、
その中に、こんな質問があった。
『アクアホール駐車場の敷地所有者との調停について、
状況を聞きたい』
おや？と、思った。
アクアホールというのが、自分のよく行く場所だったからだ。
さらに、その駐車場というワードが目についた。
そのまま市長の返答を読んでみると、こんな風に書いてある。
『敷地紛争に係る調停については、第３回目の期日を
２月２３日に開催し、現段階では市が適当と認める条件で、
解決に至っていない。
４月に引き続き、第４回目の期日が指定されているが、
内容等については、現在紛争中であるため、
ご理解を賜りたい』
敷地紛争という、物騒な言葉が書かれている。
少なくとも、このやり取りを見ている限りでは、
「南駐車場」の敷地所有者と、市の間で、
何か争いごとが起こっているらしい。
３回ほど調停が行なわれているようだが、
どれも和解には至っていない。
『市長自ら、敷地所有者と会われて直談判をされたのか？』
『敷地所有者には、敷地紛争と言う段階に至る前にお会いして、
本市の意向をお伝えし、ご理解を求めたが、
残念ながら不調に終わり、現在の状況に至っている』
このやり取りを見る限りでは、かなり早い段階から
敷地所有者と市との間で、意見の食い違いがあったようだが、
お互いの主張を引っ込めるつもりはなかったらしい。
果たして、敷地所有者が無理をいっているのか、
それとも市の方が無理をいっているのか？
『契約が更新できないため、４月１日以降、
当該駐車場は使用できないようにバリケードをして、
閉鎖されると聞いた。
市長はこの点について、把握しているのか？』
『現在は、調停の成り行きを見守っている状態であるが、
最悪の場合、そのような事態になる可能性について、
報告を受けている』
詰まる所は、年度始めの４月から～年契約で
駐車場として貸し与えるという話だったものが、
地価が上がるかどうかして、
所有者が契約を打ち切り、返却を求めたのかも知れない。
市としては、なんとか今まで通りの契約で、
土地を貸してくれという所だろうか？
アクアホールの駐車場に関わる質疑応答は、
これだけだったのだが、とりあえず、調停は不調のまま
４月１日を迎え、バリケード施設ということになったようである。
ゴールデンウィークに駐車場が解放されていた所から見て、
４回目の調停は、上手いこと合意に至ったようだ。
なんてことはなさそうな、駐車場の閉鎖であったが、
実はその裏には、市長や市議会での質疑応答まで絡んだ、
イザコザがあったわけである。
質問者となった議員は、市長は現場主義を謳いながら
自ら現場に足を運んで解決しようとする行動が見られない、と、
厳しく追及しているが、一応、市長も敷地所有者の元に
話し合いに出向いたようではあるし（まとまらなかったが……）、
やや、ツッコミが厳しすぎという気がしないでもない。
（まあ、ツッコミが甘いよりは余程いいが）
また、アクアホールの駐車場問題が、変な形で再燃しない様、
利用者たちが不便を被る事態にならない様、
市には頑張ってほしいものである。
