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強行採決

更新日:

ここしばらく、ニュースで「強行採決」という言葉が
多用されていた。

安保法案を与党が採決したことに対し、
野党が「数にものをいわせた強行採決」で、
容認することが出来ない、絶対に撤回させる、と、
気炎を上げている。
安保法案の是非については、与野党それぞれの見解があるし、
自分自身、どちらが正しいと言い切れない問題である。
だから、敢えてそこの所には触れずに、
野党側が叫んでいた「強行採決」という言葉についてのみ
考えてみたい。

野党が口を揃えて、安保法案の採決を罵っている所を見ると、
何か与党がとんでもない不正を
働いているようにも見えてしまうが、
実はそういうことは全くない。
ごく当たり前の手順に従って、
多数決を行ない、きちんと賛成多数を得て、
決を採ったに過ぎない。
安保法案に関しては、
与野党の意見はどこまでいっても平行線であったため、
結局の所は、適当な時間を審議に費やした後、
多数決にて採決を行うことになっていたであろう。
つまり、野党側にしてみれば、
全く勝ち目のない多数決であり、
なおかつ、根本的な意見の食い違いから
妥協点を見出すことの出来ない議題であったわけだ。
そうなってくると、野党としては声高らかに「強行採決」を叫び、
その採決自体がうさんくさいものであるということを
訴える以外の手段は、とれないということになる。
ただ、先にも書いた通り、
採決方法自体は何の問題もないので、
いくら「強行採決」を叫んでみても、意味がないのである。
むしろ、問題は「強行採決」を言い立てて、
少数派である自らの意見を押し通そうとする
野党側の方だろう。
本来、「多数決」というのは、
民主主義の根幹のような制度である。
この前提を覆し、少数の意見を無理矢理押し通そうとするのは、
民主主義を根底から否定する
独裁者のやり方と同じである。
野党側が「強行採決」を言い立てて、
決まったことを覆すというのは、
民主主義国家においては、
決してやってはいけないタブーである。

では、「強行採決」を言い立てることの出来ない野党は、
どのようにしてこの決定をひっくり返せばいいのか?

民主主義国家において、これを成し遂げるためには、
まず何よりも「一般国民」に、
安保法案がどのように危険なものなのかを、
しっかりと周知させ、これに問題意識、
危機意識を持たせることからはじめなければならない。
「安保法案→戦争・徴兵」というような、
途中の過程をすっ飛ばした、
極論のように聞こえる説明ではなく、
きっちりとその過程、考え方を説明し、
国民を納得させなければならない。
これを簡潔、かつわかりやすく説明しなければならない。
そうしておいて「選挙」を迎える。
選挙戦では、この「問題」を大きく取り上げ、
安保法案を排する公約を掲げて議席を獲得し、
勝利しなければならない。
出来れば、議席の過半数以上を獲得しておくことが望ましい。
そうして野党から与党へと変わった後で、
安保法案を無効化する法案を提出し、
これを「多数決」でもって採決する。
ひょっとしたら、この際、野党に転落した元与党議員からは
「強行採決だ」なんて反論が飛び出すかも知れないが、
先にも書いた通り、
「多数決」は正当な民主主義のシステムである。
かくして、安保法案は無効化され、
自らの政治的な主張は果たされることになる。

極めて地道で、遠回りで、手間のかかるやり方であるが、
民主主義国家において、自分の気に入らない法案を
きっちりと無効化する方法は、この方法以外にはない。

ところが野党側が行なったのは、
委員会の採決時に、それぞれ大きなプラカードを持って
起立し、それと同時に議長に詰め寄るだけであった。
採決の方法は、「賛成者は起立し、反対者は座ったまま」と
いうものである。
つまり「安保法案反対」のプラカードを掲げ立ち上がると、
安保法案に賛成していると見なされ、
賛成票を入れているのと同じことになる。
「安保法案反対」のプラカードを掲げながら、
安保法案に賛成するというのだから、ワケがわからない。
本当に安保法案に反対しているのなら、
プラカードを掲げて立ち上がったりせず、
堂々と座ったままでいなければならない。
個人的な意見としても、
国の行く末に関わってくるような採決の場で、
プラカードを掲げたりするようなマネはみっともないと思う。
彼らは国民に選ばれた国会議員なのである。
一般国民と違い、国会の場において
しっかりと票を投じることが出来る。
プラカードなどを掲げるのは、それの出来ない一般国民が、
集会やデモなどにおいて、自らの意志を示すためである。
国会の場において、票を投じることの出来る
国会議員のやるべきことではないだろう。
プラカードなどを掲げて、
TVカメラ(視聴者)にアピールなどせず、
粛々と反対票を投じるべきではないのか?
続く本会議の採決にしても、
欠席して採決を無視したりするのではなく、
少数であろうとも堂々と反対票を投じて
公式に反対の意志を示すのが重要なのではないだろうか?
それを多数の野党議員がプラカードを掲げ、
委員会室でアピールを始めるものだから、
採決の場はまるで祭りのような乱痴気騒ぎである。

以前、政治家の品格について書いたときに、
暴力行為を行なうことについても同じことを感じたが、
国民を代表する者として国政を行なっているのだから、
最低限、見苦しくないだけの品格を見せてほしいものだ。

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