前回、観相術ということで「ウルトラマン」をとりあげ、
その顔について、つらつらと分析してみた。
「顔」というものは、何も人間だけのものではない。
人間をはじめとする、ほ乳類のみならず、は虫類、虫類、鳥類、魚類など、
様々な動物に「顔」は存在している。
自分はかつて猫を飼っていたが、猫と接する時間が長かったせいか、
ある程度、猫の顔の見分けもできるようになった。
今回は、動物の顔を見る。
動物といっても「ゴジラ」である。
日本映画界が生んだ、最大の怪獣スターの顔を分析してみよう。
まず目だ。
もっとも初期のゴジラは、目が丸く、どちらかといえば魚のような目であった。
そこから感情を読み取ることは難しく、ひたすら不気味な印象だ。
やがて、正義の怪獣として、ライバルと戦うようになると、
だんだんと目が大きくなり始めた。
目が大きくなるだけでなく、黒目も大きくなり始めた。
動物の中には、猫のように、明るさによって、
瞳孔のひらき具合が変わるものもいるが、ゴジラはこれにあたらない。
リニューアルされた「ゴジラ(1984年)」では、目が動くようになった。
と、いうか、着ぐるみにそういうギミックがついた。
これを契機にして、ゴジラの目は少し小さくなる。
「ゴジラ2000ミレニアム」からはシリーズ間のつながりがなくなり、
以降は完全に、単発ゴジラ映画の連続になる。
このころから、ゴジラの目つきはかなり悪くなる。
モノによっては、完全に黒目がなくなり、
生物というよりは化け物に近いものもある。
人類の敵としての、ゴジラの真骨頂だろう。
鼻はない。
ないこともないのだが、特に目立たない。
たまに感情が高ぶっているときなどに、鼻先をひくひくと動かすこともある。
臭いを感じているかは、不明だ。
初期ゴジラは、魚を食べていたそうなので、
獲物の臭いを嗅ぎ分けることも、あるのかもしれない。
よく目をこらして鼻先を注視してみると、確かに鼻の穴らしいものが、
存在している。
シリーズを通して存在しているわけではないので、
映画によってはないものもある。
口は大きい。
というより、ゴジラの顔の中で、目と同じく主張の強いパーツだ。
口の中には鋭い牙が生え揃い、なかなか凶悪な形相だ。
間違いなく肉食である、とおもわせるが、
実際、映画の中では、吼えるか、敵怪獣に噛みつく時くらいしか使わない。
ゴジラの食性は、著しく放射能に偏っているので、
他のものを食べないからだ。
もちろん、ゴジラが放射能を体内に取り込むときも、口から取り込む(?)。
口から始まる、通常の消化器で吸収できるとも思えないのだが、
その点に関しては、突っ込んではいけないようだ。
口の中に舌部も確認できるが、役に立っているかは不明だ。
長さは口内に収まる程度で、顔の外に出ることはない。
犬は舌を出すことで体温調節をしているそうだが、そういう機能もないようだ。
耳はない。
一番初期のゴジラでは、耳も設定されていたのだが、
第1作目のゴジラは死亡、以降、耳についてはしっかりと言及されたことがない。
が、敵怪獣の叫び声や、人間の出す音に反応している描写もあるので、
どこかに音を察知する器官が存在しているのだろう。
「ゴジラ(1984年)」では、ゴジラの帰巣本能を利用するために、
超音波を聞かせるシーンがある。
ゴジラが感知できる音域は、意外と広いのかもしれない。
輪郭には、わりと違いがあり、顔を見分ける重要なファクターとなっている。
頭部は丸く、たまに耳と思われる小さな突起が生えている。
顔の下部分が大きく前にせり出しており、その点、ちょっと犬にも似ている。
スペースゴジラという、一種の亜種がいて、これは頭部が少し変形している。
肌は全体的に黒色で、ゴツゴツとしている。
鱗状のものもなく、背中にヒレがあるが、頭まではきていない。
最近の研究では、古代の恐竜には羽毛が生えていたという説が定説になり、
最新式の恐竜図鑑などでは、羽の生えているティラノサウルスの姿を、
見ることもある。
この学説を取り入れるとすれば、ゴジラの頭部にも羽が生えていていても、
いいのかもしれない。
ゴジラをモチーフにした怪獣(?)に、メカゴジラがいるが、
これはゴジラよりもスマートな顔つきになっている。
ゴジラに変装するため、着ぐるみをかぶっていたことがあり、
そのためやや肉付きが、押さえられているのかもしれない。
「宇宙人」という設定のウルトラマンよりも、
地球の生物である設定のゴジラの方が、顔の見分けはやりやすいかもしれない。
しかし本来なら、ゴジラは全て同一個体であるはずなので、
逆に見分けできる方が、おかしい。
顔のみならず、身体つきを見れば、ゴジラの見分けというのは比較的簡単だ。
もちろん、特撮マニアの目から見れば、という条件はつくが。
さて、ウルトラマン、ゴジラと続いた観相術も、一応次回で最後となる。
え、まだやるの?と思われるかもしれないが、
後1回、続くのである。