雑学、雑感、切れ味鋭く、思いのままに。

Falx blog 2

書籍 歴史 雑感、考察

ノストラダムスの大予言〜その2

更新日:

By: HO JJ

史上最大の予言者として、その名を知られるノストラダムス。
前回は、そんな彼自身のことについて書いたのだが、
今回は彼が残した大予言、つまり「予言集」の中から、
その予言を抜き出して、詳しく見ていきたいと思う。

ノストラダムスの残した予言は、短い4行詩の形を取っている。
この4行詩1つで、1つの未来を予言していると考えればいい。
この4行詩を、100本集めたものを1巻とし、
この詩集が全部で12巻(実はその中で11巻は2種類あるのだが……)
出版されており、このうち11巻と12巻については
その断片しか残されていない。
研究者の中には、この2冊が本物かどうかを疑う声もあり、
今回は自分もこれをニセモノと判断して、除外することにした。
この10巻にも及ぶ詩集は、百詩篇集などとも呼ばれ、
ノストラダムスの「予言集」の主要部分である。
つまり、非常に大雑把な計算をすれば、
100の予言を書いたものが、10冊あるわけだから、
全部で1000本の予言を残したということになる。

ノストラダムスの予言の中で、もっとも有名なものが例の
「1999年、7の月(7ヶ月)。
 空から恐怖の大王が来るだろう。
 アンゴルモア(アンゴーモア)の大王を蘇らせ、
 マルスの前後に、首尾よく支配するだろう(ために)」
というものである。
これは「予言集」第10巻の72番目の詩ということになっている。
「予言集」が時系列順に書かれているとすれば、
1999年に人類が滅亡した後にも、28本ほどの予言が
残されているということになるのだが、残念なことにこの「予言集」は
第1巻から時系列順に書かれているわけではないらしい。
というよりは、予言詩がハッキリと年代を書き込んでいる
この「1999年〜」の詩は、全体の中でもかなり珍しく、
大方の予言詩には年代など書かれておらず、
あまり良く意味の分からない言葉が4行、書かれているだけである。
……。
正直にいえば、この時点でその信憑性に眉をひそめたくなったのだが、
気を取り直し、ノストラダムスの予言を書き出していくことにする。

まずは、かつてこのブログでも取り上げた
ロンドン大火」を予言したといわれる4行詩である。
これは第2巻の51番目に掲載されている。

「正義の血は、ロンドンでは欠けるだろう。
 23人のうち、6人が雷によって焼かれる。
 高齢の貴婦人が高い場所から落ちるだろう。
 同じ派の中の多くが殺されるだろう」

1666年9月1日の深夜に発生した「ロンドン大火」は、
ノストラダムスの死後、100年後に起こった大災害である。
世界3大大火の1つに数えられるこの大火事は、
消し止められるまでに5日を擁している。
「ロンドン」という言葉と、「焼かれる」という言葉は使われているが、
「焼かれ」たのは雷によってであり、火事によってではない。
正直言って、これを「ロンドン大火」に結びつけるには、
かなり想像力を働かせないといけない。
ただ、面白いのは6人が焼かれた、という点である。
「ロンドン大火」はその焼失被害のわりには人的被害は少なく、
記録されている犠牲者の数は、わずか5人だけである。
この5人という数字と、予言の中の6人という数字は非常に近い。
ちなみにノストラダムスを信望している人たちの間では、
23人のうち6人、というのは23分の6を表しており、
これはおおよそ4分の1。
「ロンドン大火」によって、町の4分の3が焼失したとも
言われているため、この「23人のうち6人」というのは、
このことを表していると、解釈する人もいる。
さらに別の解釈では、23という数字を20と3に分け、
これを掛けると60になる。
これに6(人)を足せば、66となり、「ロンドン大火」の起こった
1666年を指しているのだと、する人もいる。
同じようにノストラダムスを信望する人たちの間でも、
その予言詩の解釈の仕方については、意見が別れているということになる。
(個人的に言わせてもらえば、「23人のうち6人」を
 66と読み替えるやり方については、噴飯ものだと思っている。
 ノストラダムスの詩は予言詩であって、数字パズルではないのだ)
ちなみに「古き貴婦人」というのが、「ロンドン大火」で焼け落ちた
セントポール大聖堂を表しており、「同じ派の多く」という部分は
それ以外にも多くの聖堂が焼けたことを表しているという。
さすがにこの辺りの解釈も、厳しいと評価せざるを得ない。

他に、ノストラダムスの有名な予言としては、
ドイツの独裁者・ヒトラーの出現を予言したとされるものがある。
このことについては第2巻の24番目の予言詩の他、
いくつもの予言詩がこれを予言しているとされているのだが、
今回はその中でも、もっとも取り上げられることが多い、
第2巻24番目の予言詩を取り上げてみる。

「野獣が空腹のせいで、川を泳いで渡る。
 軍隊の大部分が、ヒスター(ヒステル)の方に向かい、
 偉大な者を鉄の檻の中に入れさせるだろう。
 ゲルマニアの子が、ライン川を監視するであろうときに」

「ゲルマニア」というのは、古代ローマ時代の地名で、
ライン川の東にあたる部分、現在のドイツ、チェコ、スロバキア、
デンマークなどのある地域を指している。
「偉大な者」なんていう単語からすると、
なんとなく「独裁者」にも繋がりそうな感じではある。
「野獣が空腹のせいで」というのは、第1次世界大戦後、
巨額の賠償金を支払わされたドイツの窮乏を示しているともとれるし、
「鉄の檻の中に〜」の部分も、ヒトラーが独裁になる以前、
逮捕されていたという歴史的事実に合致している。
そういう風に捉えるのであれば、この予言詩は驚くほど
ヒトラー出現時のドイツの状況を言い当てているといっていい。
そして何よりも、途中で出てくる「ヒスター」なる単語である。
ノストラダムスの信望者たちは、この「ヒスター」こそ
「ヒトラー」を指し示していると主張する。
少なくとも文脈を見た限りでは、この「ヒスター」は人名ではなく
地名か何かの様に思えるのだが、彼らは強く、
これを「ヒトラー」のことだと主張している。
まあ「ヒトラー」と「ヒスター」なら、日本語での合致率は50%、
さらに言葉の響きも似ているとなれば、
これを同一視したくなる気持ちもわからないではない。
ただ、この予言詩をヒトラー出現を予言したものであるとするのならば、
本来重要視すべき点は、つまらない言葉遊びではなく、
他の部分に書かれている状況と、ヒトラー出現時の状況であろう。
こちらの方に注視するのであれば、ヒトラー出現を予言したと
主張しても、充分な説得力がある。

ただ、1つ注意しておかなければならないことは、先にも述べたが、
膨大な数の予言詩の中で、ヒトラーについて触れていると
考えられているものは、この1つだけでは無いという所だ。
ヒトラーに関係していると思われる予言詩は、
少なくとも6つは存在しており、これらはまとまっておらず、
10巻の百詩篇集の各巻にバラバラに収められている。
この辺りのバラけぶりは、彼の予言を疑う人間にとっては
格好の攻撃材料になっている。

今回は、「予言集」の中から、彼が未来を言い当てたとされる
ものを2つ取り上げてみた。
正直、「ロンドン大火」の予言はかなり怪しいが、
「ヒトラー」の方は、それなりに説得力はある。
(まあ、こちらの予言詩も具体的な年代を記していないので、
 こじつけだと言われればそれまでなのだが……)
次回は、彼の予言の中でもっとも有名なアレと、
さらにそれより後の出来事に関する予言を、取り上げてみる。

Related Articles:

にほんブログ村 その他生活ブログ 雑学・豆知識へ
にほんブログ村

スポンサーリンク
スポンサーリンク

-書籍, 歴史, 雑感、考察

Copyright© Falx blog 2 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.