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トランスフォーマー

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「ロボットアニメ」といえば、
主人公がロボットの中に乗り込み、
悪のロボットと戦う、というスタイルのものが多い。

マジンガーZから始まったこのスタイルは、
その後、様々なロボットアニメで取り入れられ、
日本のロボットアニメの基本型のようになってしまった。
現在でも人気のある「ガンダム」シリーズや、
「エヴァンゲリオン」なんかも、
基本的にこのスタイルを踏襲している。
マジンガーZによって生み出されたこの「型」が、
日本人の性質にピタリとはまっていた、ということだろう。

これ以前のものを見てみると、
「鉄腕アトム」のように、ロボット自身が
人間と同じように感情を持ち、
自らの判断で行動するというものが、多かったのである。
しかし、マジンガーZ以降は、
ロボットアニメといえば、
パイロット搭乗型のものが主流になり、
ロボットが自ら考え、行動するといったロボットアニメは
非常に少なくなってしまっていたのである。
自分の子供時代は?といえば、
マジンガーZの流れを受けた、搭乗型ロボットアニメの最盛期で、
これに合体や変形などを加えたものが、
子供用に大量生産されていた時代である。
合体変形機能を再現した超合金ロボット玩具、
リアルな造形と、且つ「作る」楽しみを味わえるプラモデルは、
当時の子供たちのロボット玩具の双璧であった。

しかし、そのような世の中の風潮に一石を投じるように、
奇妙なロボットアニメが誕生した。
それが「トランスフォーマー」であった。
この「トランスフォーマー」、正式なタイトルは、
「戦え!超ロボット生命体 トランスフォーマー」であり、
このアニメの中に登場するロボットたちは、
すべてロボット生命体であり、
当然のように、自らの意志を持っていた。

この「トランスフォーマー」のストーリーを
ざっくばらんに説明すると、
異星からやってきたロボット生命体たちが、
地球を舞台に正義のサイバトロン、
悪のデストロンに分かれ戦う、といったものである。
このロボット生命体たちは、
基本的に人間と同じ、人型のロボットだが、
どういうわけか自動車や飛行機、あるいは動物や恐竜などに
「変形」する機能を持ち合わせていた。
「トランスフォーマー」とは、英語の「transform」
(トランスフォーム・変形の意味)からきている。
これについては、様々な理由づけをされているが、
もっとも説得力のある理由は、
やはり「スポンサーである、おもちゃ会社の意向」だろう。
単なる人型のロボットを売るよりも、
様々な形に「トランスフォーム」するギミックを持たせた方が、
子供たちのウケが良かったのだ。

こうして始まった「トランスフォーマー」は、
日本のロボットアニメを見慣れていた、
日本の子供たちに大きなショックを与えた。
実は、このアニメ「トランスフォーマー」には、
もうひとつ、視聴者である子供を困惑させる要素があった。
それは、これがアメリカ製のアニメであったことである。
当然、キャラクターの性格づけや、ストーリーの展開のさせ方、
アメリカナイズされたキャラクターの身振りや、
頻繁に出てくるウィットの効いた小粋なジョークなど、
それまでに慣れ親しんでいた
日本のロボットアニメとは、一線を画していた。
さらにロボットたちの変形シーンにしても、
かなりの違和感があった。
それまでの日本のロボットアニメでは、
その変形・合体シーンに関しては、
やたら細かい所まで描き込まれた、バンクシーンの後に、
ポーズと名乗りを上げる、といったものが多かったからだ。
それが、「トランスフォーマー」では、
わずか2~3秒でガチャガチャと変形が終了し、
次の瞬間には車や飛行機が加速しているのだ。
変形に関する「こだわり」などはまるでなく、
まるでリバーシブルのジャケットを裏返す程度のお手軽さで、
あっという間に変形するのである。

日本の子供たちに、多大な混乱をもたらしながらも、
「トランスフォーマー」はそこそこ人気があったらしく、
「トランスフォーマ-2010」、
「トランスフォーマー ザ・ヘッドマスターズ」
「トランスフォーマー 超神マスタフォース」
「トランスフォーマー V」
と、次々に続編が作られていくことになる。
ちなみにアメリカで作成されたシリーズは、
「トランスフォーマー 2010」までで、
「トランスフォーマー ザ・ヘッドマスターズ」からは、
日本で製作されたシリーズである。
そのため「ヘッドマスターズ」以降は、
デザイン、シナリオ、キャラクターともに
徐々にアメリカらしさが無くなり、
その個性は薄れていくことになる。
そして「トランスフォーマー V」にて、
ついにシリーズは終了してしまうのである。

その後、数年間の休みを経て、
シリーズは新たに作られはじめるのだが、
今回はそちらの方には触れない。
アメリカで製作された第1作と第2作、
それに影響を受けた第3作以降5作目までが、
今回、取り上げる範囲である。
この後も、いくつも新シリーズが製作されるのだが、
その元となったのは、この5作品で、
その中でも、やはりアメリカの作風の影響の大きかった、
第3作目くらいまでが、
「トランスフォーマー」の真骨頂といえる。
そしてこの第3作までのシリーズを簡単に言い表すのであれば、
ストーリーは、日本のアニメのそれとは比べ物にならないほど、
「雑」であり、日本のアニメのそれとは比べ物にならないほど、
「ダイナミック」に展開していった。
これは、日本のアニメに比べ、
出来が悪いといっているのではなく、
あまりにも「異質」であった、ということである。
「トランスフォーマー」の人気は、
この「異質」な部分が、それまでのロボットアニメとは違う、
新鮮さを子供たちに与えていたからこそのものであった。
この部分が希薄になっていった第4作、第5作では、
視聴率の低下を招き、シリーズの終了を招くことになった。
この第4作、第5作が、従来のシリーズと違っていたのは、
それまでの群像劇的な描き方を止め、
主人公を明確に打ち出した、ヒーローものとしての性格を
加味していたことである。
主人公は、パワーアップを重ね、その姿を変えていく。
そうして強敵に立ち向かっていく姿には、
もはや初期の「トランスフォーマー」らしさはなく、
変形するロボットの出てくる、ヒーロー番組に他ならなかった。
後に、この路線を踏襲することによって、
「勇者」シリーズという、
人気シリーズを生み出すことになるのだが、
そういう意味で、「トランスフォーマー」が
日本のロボットアニメに与えた影響は、
決して小さなものではなかったのである。

今回は、アメリカからやってきた
異質なロボットアニメ「トランスフォーマー」を、
当時の子供たち(自分も含め)が受け入れ、
そして離れていった「流れ」について書いた。
次回は、このシリーズにおいて欠かせないキャラクター、
「コンボイ」について書いていく。

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