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やっちゃった「日産」

更新日:

ちょうど今から1年と数ヶ月前、
自動車業界は、あるメーカーの燃費偽装問題で盛り上がっていた。

そう。
「三菱自動車」が引き起こした、燃費偽装問題である。
「三菱自動車」は、いい加減な(自らに都合のいい)状態で
燃費を計測して、これを国に報告し、カタログに載せていたのである。
まあ、もともと車の燃費(カタログスペック)というのは、
実際に車に乗ってみた場合のそれと比べても、
大きな差があるのが普通である。
これは、新車の燃費を計測するときの状況が、
実際の走行時の状況と大きくかけ離れているためで、
「三菱自動車」は、ここの数字の差を利用して、
実際の数字よりも「いい」データを偽装し、国に報告していたのである。
車の燃費というのは、税金の金額などにも関わってくる
重要な数字である。
これがいい加減で、偽装された数字であったとしたら、
下手をすれば、ユーザーは税金等をさらに支払うようなことにも
なりかねない。
「三菱自動車」は、この事件の15年ほど前にも
大規模なリコール隠しをやらかし、その結果、
車の事故により、死人まで出す結果を生んでいる。
そういう前科があったため、世間もマスコミも、
徹底的に「三菱自動車」をバッシングした。
15年という時間を経ても、全く変わっていない
いい加減な企業体質に、世間の怒りが爆発したのである。

この「三菱自動車」の燃費偽装問題が
明るみに出るきっかけとなったのが、「日産自動車」である。
当時、「日産自動車」は「三菱自動車」から車を供給してもらい、
これを販売するという体制をとっていたのだが、
そこから、「三菱」の車の燃費が、
カタログと食い違っていることが指摘された。
先にも書いたように、カタログスペックの燃費と、実際の燃費では、
もともと大きな開きがあるのが通例である。
にも関わらず、そういう声が上がったということは、
カタログスペックと実際の燃費との間に、
相当な差があったということだろう。
結果として、「三菱自動車」の信頼は地に堕ち、
会社は「日産自動車」の傘下に取り込まれてしまうような形になった。
これには、「三菱自動車」を取り込むことによって企業規模を拡大し、
業界1位の「トヨタ自動車」に迫りたい、
「日産自動車」の思惑もあった。

その「三菱自動車」の燃費偽装事件から1年と数ヶ月、
今度は、その「日産自動車」において、杜撰な検査体制が露見した。

同社の工場全てにおいて、本来、その資格の無い者が
検査行程を担当していたというのである。
最初は、6万台ほどとされていた無資格者による検査は、
後の調査によって、全ての工場で行なわれていたことが分かり、
さらにその過程において、有資格者の印鑑を複数用意しておき、
これを無資格者が使って、書類を偽装していたことも明らかになった。
結果として、120万台にも及ぶ、
大規模なリコールが行なわれることになった。
「日産自動車」は、
「車検に合格していれば、国の規定に基づく検査を経たことになり、
 安全性は担保されている」
というコメントを発表したが、これも確かにその通りではあるものの
ユーザーの神経を逆撫でするような、いい加減な物言いである。
「日産自動車」の販売店は、
「我々にとって一番大切な顧客の信頼が傷つかないか心配」
というコメントを出しているが、傷つかないわけが無いだろう。
書類偽装用の印鑑を複数用意しておき、
これを帳簿で管理していたというから、
これはもう、組織的な偽装工作だったと見るしかない。
どうせ、そこまでこまめにやるのであれば、
遵法精神の方向でそれを発揮してもらいたい所だが、
「日産自動車」では、それが悪い方向へ、悪い方向へと向けられた。
もはや、言い逃れの出来る状態ではなくなり、
初期に無資格者による検査は6万台といっていたのも、
少しでも傷を浅くしようとするため、
真実を糊塗しようとしていたのではないかと疑ってしまう。
そしてその疑惑が、さらに「日産自動車」への不審感を産むという
まさに「負」のスパイラル状態である。
こうなってくると、もう
「信頼が傷つかないか心配」といっていることすら、
どこか白々しく聞こえてしまう。

「日産自動車」の車を扱っている販売店には、
すでにユーザーからの厳しい声が寄せられているという話もあり、
事態は、1年数ヶ月前の「三菱自動車」の件の
焼き直しの様相を呈して来ている。
もし、「日産自動車」が「三菱自動車」と同じ運命をたどるとすれば、
「日産自動車」もどこか他の自動車会社の傘下に入り
生き延びるということになるのだろうが、
すでに「三菱自動車」を傘下に入れて
肥大化してしまった「日産自動車」を傘下に収めることが出来る
自動車会社などありはしないだろう。
しかも「日産自動車」も、その中にある「三菱自動車」も、
すでに盛大にケチのついている会社だけに、
これを取り込むことによって、イメージが低下する恐れもある。
「日産自動車」の場合、「三菱自動車」の燃費偽装と違って
まだ1回目のファウルということになるので、
レッドカードは切られず、イエローカードに留まる可能性は高い。
ただ、「三菱自動車」の不正を明らかにしながら、
自らもまた、不正を行っていたという見方をすれば、
企業としての信頼度は、最低レベルにまで落ちることになるだろう。

今回の問題は、国交省の抜き打ち検査によって
発覚したということである。
この手の抜き打ち検査が定期的に行なわれているのであれば、
もっと早くにこの問題は表面化していたと思われるので、
恐らく、この抜き打ち検査は、「日産自動車」内からのリークによって
行なわれたものだと考えられる。
だとすれば、「日産自動車」製造現場の一部には、
この不正を快く思っていない社員もいるということである。
全ての工場で不正が常態化していたことを考えれば、
社内のモラルは相当に低下していると考えられるが、
これを快く思わない一部が中心となり、
なんとか企業体質を改善していくしか無いだろう。

ただ、今回の無資格者の検査の横行を考えるに、
製造現場には資格者が全く足りていないのは明らかだ。
資格者をすぐに揃えられないからこそ、
このような事態になったのだから、この先もしばらくは、
生産量に見合う資格者は揃わないだろう。
そうなると、ここでしっかりと法を守るのであれば、
必然的に「日産自動車」には、
生産ラインの大幅な停滞が起きることが予想される。
客が車を求めても、(客自体が減る可能性もあるが……)
それに見合っただけの量の車が出来上がらない。
当然、客は余計な期間、お預けを食らう形になり、
次第に他所のメーカーへと流れていく。
そう考えれば、これからの「日産自動車」には
とてつもない苦難が待ち構えているといっていい。

はたして「日産自動車」は、無事、立ち直ることが出来るのだろうか?

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