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往年のジャンプマンガで、
「ジョジョの奇妙な冒険」というタイトルがある。

あまりに濃い劇画調のタッチながら、
独特の擬音、構図、ストーリーの面白さで、
一時代を築いた、大人気マンガである。
自分が中学生のころに、週刊少年ジャンプで連載が始まり、
連載初期からその独特の世界観は、
当時の連載陣の中でも、ひときわ異彩を放っていた。
何より読者を惹き付けたのは、作者・荒木飛呂彦の
センス溢れる台詞の数々で、
「ジョジョの奇妙な冒険」は
たちまち大人気タイトルとなり、
その続編シリーズは、現在でも連載されている。
(週刊少年ジャンプではないが……)

このマンガのストーリーの中では、
「ジョジョ」というニックネームを持つ主人公たちが、
それぞれの時代ごとに「奇妙な冒険」を繰り広げる。
物語は「第○部」などという風に区分けされていて、
ファンの中ではそれぞれに評価が違っている。
だが、シリーズを通じて、もっとも人気があったのは、
空条丞太郎を主人公とした第3部だ。
「幽波紋(スタンド)」という、
新機軸を物語の中に導入し、
まさに「ジョジョ」の転換点となったシリーズである。

この「ジョジョ」第3部の中に、J・P・ポルナレフという、
キャラクターが登場する。
主人公の仲間であり、
お調子者でどことなく憎めない性格の3枚目である。
物語の終盤、宿敵ディオと相対したポルナレフは、
ディオの幽波紋の能力によって翻弄され、
ある有名な台詞を口にするのである。
それをちょっと書き出してみよう。

「あ……ありのまま、今、起こったことを話すぜ!
 おれは奴の前で階段を登っていたと思ったら、
 いつのまにか降りていた。
 な……何を言っているのかわからねーと思うが、
 俺も何をされたかわからなかった…
 頭がどうにかなりそうだった…
 (以下略)」

彼の混乱が如実に表れた、名言のひとつである。

何故、今、こんな話を持ち出すのかといえば、
最近、自分がこれと似たような気持ちに陥ったからだ。

ちょっと前に、「兵庫県会議員選挙」について書いた。
前回の兵庫県議会では、
例の号泣会見から始まった一連の騒動と、
それによって露見した、多くの県会議員の
「政務活動費」の不正流用問題によって、
散々なる醜態を全国に晒した。
彼らを選んだ兵庫県民としては、今回の選挙こそ襟を正し、
鬼か姑のような厳しい目で立候補者を厳選した上で、
投票せねばならない、というようなことを書いたのである。

町中には、立候補者たちが
ポスターを貼る掲示板も用意され、 
まさに来るべき選挙に向けて、盛り上がっていたのである。
いざポスターが貼られれば、
重箱の隅を突くように候補者たちを調べ上げ、
その上で投票を行なうつもりであった。

それが無くなってしまった。

あろうことか、我がたつの市と揖保郡では、
立候補者の届け出が定数以下に留まってしまい、
何と選挙を待たずして、当選が決まってしまったのである。
先のポルナレフのように言えば、こうなる。

「あ……ありのまま、今、起こったことを話すぜ!
 おれが候補者たちを厳しく選別しようと思ったら、
 いつのまにか選挙が終わっていた。
 な……何を言っているのかわからねーと思うが、
 俺も何をされたかわからなかった…
 頭がどうにかなりそうだった…
 (以下略)」

……。
「無投票で立候補者たちの当選が決まった」
というニュースを見た際、
自分の頭の中は、ポルナレフの混乱そのものであった。
しかし、そんな自分に追い討ちをかけるように
さらにニュースはこう続けた。
「兵庫県では、全40選挙区のうち17選挙区で
 これと同じようなことが起こり、
 無投票で当選が決まった」
県内全選挙区の40%、定員87名のうち18名が、
選挙という県民の「審査」無しに
当選してしまったというのだ。
……。

仮にこれが、議会に何も問題が起きておらず、
ごくごく平和裏のうちに任期が終わり、
改めて選挙が行なわれるようになった、というのであれば、
まあ、「無投票でも良いかな?」
という気になるかもしれない。
だが、今回は
「そういう平和裏のうちに終わった任期」ではない。
あの議員の号泣会見から始まった、
県会議員たちの
「政務活動費の不正利用」問題で荒れに荒れ、
県内のみならず、日本全国からバッシングされまくった
「議会」だったのである。
そういう最悪な「議会」後の選挙で、
全体の20%ほどの議員が県民の審査の目を逃れ、
議員の職を得たのである。
これを一体、誰が納得するというのか?

すでにたつの市内では、選挙用の掲示板は撤去され、
ひとつもなくなってしまった。
なるほど、確かに今回用意された
選挙用の掲示板は小さかった。
ポスターを貼るスペースにしても、わずか4人分しかなく、
そんな掲示板を見ては
「たった4枚しかポスターの貼れない掲示板では、
 候補者が4人以上立候補してきたとき、
 どのようなことになるのだろう?」
なんてことを思ったりしたものだが、
そういう心配をするまでもなく、
定数以下の立候補者しかいなかったために、
掲示板にはポスターすら貼られることなく、
撤去されてしまったのである。

さて、ここから先はかなり穿った見方になる。
今回、17の選挙区で
定数以下の立候補者しかいなかったために、
「無投票」にて当選者が決まってしまった。
定数以下、といっても定数を割ることなく、
17の選挙区で
定数そのままの立候補者が現れたのである。
……。
少し都合がよすぎないだろうか?
たしかに立候補者たちは、自分の立候補する区域で
他に誰が立候補するのか、情報を探っているだろうが、
17も選挙区があれば、
ひとつくらい定数を割る所があるのではないか?
今回、無投票で当選者が決まった17選挙区のうち、
たつの市・揖保郡区域以外は、
すべて1区域に1候補者である。
(たつの市・揖保郡地域は2人が当選した)
恐らく、この17選挙区の立候補者は、
前回の兵庫県議会で議員だった者が、
任期の終了で議員の資格を失い、
再び立候補したものが多いだろう。
そういう彼らにとって、あまりに都合のいい「無投票」。
そこにズブズブとか、癒着とか、出来レースなんて言葉が、
頭の中に浮かんでくる。
前回の兵庫県議会が、日本中から叩かれるほど
ひどい状態であったことを考えると、
あながち「勝手な妄想」と言い切れない怪しさがある。

ともあれ、前「兵庫県議会」の不祥事から起こった
厳しい態度で選挙に向かう、という決意は
それを発揮する機会も与えられないまま、
霧散してしまった。
しかし、残る23選挙区の立候補者については、
厳しい県民の目にさらされることになる。

残りの23選挙区に住む人たちは、
我々17「無投票選挙区」の住民の分まで厳しい目で、
立候補者達を選別してもらいたいものである。

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