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飛行ポーズ

投稿日:

人は空を飛べない。
当たり前のことである。

もちろんこれは、「生身で」という条件がつく。
この条件を取っ払ってしまえば、
わりと人間は気軽に空を飛ぶことが出来る。
飛行機やペリコプターなどに乗ってもいいし、
気球や飛行船に乗るのもアリだ。
ハンググライダーや、モーターパラグライダーを使っても、
空を飛ぶことは可能である。

この場合、必要になってくるのはお金とライセンスだ。
ほとんどの航空機は、搭乗券を買わなければ、
乗ることが出来ない。
仮に飛行機やペリコプターを所持していても、
ライセンスを持っていなければ、
これを操縦することは出来ない。
ハンググライダーやモーターパラグライダーにしても、
現在の日本では「スクール」で講習を受けていなければ、
気軽に飛ぶことは出来ない。

しかし、マンガやアニメ、TVや映画の中では、
時に人は、何も持たない「生身」で空を飛ぶことがある。
さらにいえば、飛行機など大仰な装置を使うのではなく、
マントやタケコプターのような、
極めて小型の装置を使って空を飛ぶこともある。
この辺りは、しっかりと飛ぶための道具を
使っているのだが、
それらがあまり目立たないために、
全く生身で空を飛んでいるようにも見える。

具体的な例を挙げるとすれば、
「ドラゴンポール」では、気の力を使って空を飛ぶし、
「ドラえもん」では、タケコプターで空を飛ぶ。
「パーマン」では、マントの力で空を飛ぶし、
「エスパー魔美」では、超能力で空を飛ぶ。

人間でなくても良いのであれば、さらに数は増え、
「鉄腕アトム」では、ジェット噴射で空を飛ぶし、
「マジンガーZ」は、スクランダーで空を飛ぶ。
その他様々なロボットは、わりと説明もなく飛ぶし、
「スーパーマン」はマントを翻して飛んで行く。
(別にマントの力で飛んでいるわけではない)
「ウルトラマン」はシュワッチと叫んで飛んでいくし、
「仮面ライダー」だって……、
いやいや、仮面ライダーは飛ばないだろう?
そう突っ込んでくる人もいるかもしれない。
ところが仮面ライダーも飛ぶのである。
「仮面ライダー(新)」では、
主人公・スカイライダーが、腰についている
重力低減装置のスイッチを入れ、
「セイリングジャンプ!」と叫んで跳び上がると、
そのままウルトラマンのように
飛ぶことが出来るのである。
……。
じゃあ、わざわざバイクに乗る必要ないじゃない、
なんていう風には突っ込まないでほしい。

これらの、空飛ぶ連中を見ていると、
その飛行時のポーズには、
一定のパターンがあることに気がつく。
これは大きく2つに分けられ、
ひとつはぴったりと横一文字の体勢に
身体を伸ばす体勢だ。
ウルトラマンや、パーマン、アトム
マジンガーZをはじめとする各ロボットも、
この飛行体勢である。
もうひとつは横一文字ではなく、
頭より足の方が下がっている、斜め一文字体勢だ。
ドラえもんのタケコプター飛行や、
エスパー魔美など、こちらの体勢で空を飛ぶ。
この両方の飛行体勢を使うものもあり、
その場合は、高速飛行の場合は横一文字、
低速飛行の場合は斜め一文字、と
使い分けられていることが多い。

全体的な体勢の他に注目したいのが、
腕のポージングである。

もっとも多いのが、両腕を前に伸ばしたものだ。
両腕の間は開いていることもあるし、
ぴったりと閉じられていることもある。
全体の半数以上は、このポージングをし、
我々も、ごく普通にこれを受け入れている。

さらに腕を自然にたらしたままの場合もある。
普通に立っている、そのままの姿で
身体を寝かせ、横一文字なり、斜め一文字の体勢をとる。

さらにごく少数ではあるが、片腕のみをまっすぐに伸ばし、
もう片方の腕を直角に曲げ、
顔の横辺りに持ってくるポーズ、
つまりは力瘤を作る時の格好をさせるものもある。
また、片腕のみならず、両腕を同じように曲げる
ポーズをとるものもある。

また中には、飛行機の翼のように
腕をまっすぐ左右に伸ばしたポーズをとるものもある。

このうち、腕をたらしたままのポーズと、
翼のように左右に伸ばしたポーズについては、
説明を付けやすい。
腕をたらしたままのポーズは、
人間のごく当たり前の立ち姿だ。
もっとも自然体であると言ってもいい。
いわば人間にとっては、もっとも自然な体勢であるわけで、
手を使って飛ぶわけではない限り、
この体勢で飛ぶのは、極めて理屈に適っている。
また、両腕を左右にまっすぐに伸ばすのも、
鳥や飛行機などを模したポーズであると考えれば、
納得もいく。
例えば、「泳ぎ」で考えた場合、
「平泳ぎ」の動きがカエルのそれによく似ていたり、
「バタフライ」の際の身体の動きが、
イルカのそれに似ていることなどから見ても、
人間は、水中生物の動きやポーズを自然に取り入れている。
だとすればこれが、
空中を飛行するということになった場合、
鳥や飛行機の形態をマネすることは、
ある意味で必然である。

問題は、この2つ以外の飛行ポーズである。
片腕を伸ばし、片腕を直角に曲げたり、
両腕を直角に曲げるポーズは、
主に「鉄腕アトム」と「スーパーマン」が行なっている。
ただ、この2人の場合、
飛行する際のポーズはしっかりと決まっておらず、
毎回違うポーズで飛行しているといっていい。
つまりこの2人は、両腕をまっすぐ伸ばすポーズも、
両腕をたらしたままのポーズも行なっているということだ。
いわば、自由自在な飛行ポーズをとっているといっていい。
だからこの2人の飛行ポーズについては、
分析するのが難しい。

そして、もっともその数が多い、
両腕をまっすぐ、真上に伸ばしたポーズである。
このポーズで、飛行する人間(?)は多く、
いわば人間の飛行ポーズの
「基本型」であるといってもいい。
……。
思えばおかしな話である。
人間が生身で空を飛ぶ、ということ自体、
人間の歴史上、一度もなかった話だ。
だというのに、人間が空を飛ぶポーズだけは、
「基本型」とでもいうべきものが存在しているのだ。
どうして、人間が空を飛ぶ、と考えた時、
両腕を頭上に伸ばすあのポーズ、
いわば「バンザイポーズ」をとることになってしまったのか?

単純に考えれば、「空気抵抗」というものが考えられる。
たとえば、船で考えてみた場合、
同じ面積を持つ船であっても、
全長が短く横幅のある船よりも、
全長が長く横幅の狭い船の方が、
燃費もいいしスピードも出る。
(安定感は無くなるが……)
で、あれば、人間にしても、両腕を頭上に伸ばし、
これをぴったりとくっつけた体勢をとれば、
船と同じく、燃費もスピードも良くなるのではないか?
ウルトラマンなどは、その飛行の際、
上記したように腕を頭上でぴったりと合わせ、
全体的に細長いスタイルに変わっている。
なるほど、これは理屈にあった飛行ポーズである。

だがしかし。
両腕を頭上でぴったりと合わせているのは、
初代ウルトラマンのみで、
セブン以降は腕をくっつけていないどころか、
むしろ大きく広げるポーズをとっている。
アルファベットの「Y」字型である。
当然、このポーズでは空気抵抗が減るどころか、
返って増大してしまう。

ここで、空飛ぶヒーローについて、歴史を遡ってみる。
日本でもっとも古い国産アニメは「鉄腕アトム」で、
これは1963年に作られた。
だが、特撮ヒーロー番組はこれ以前より作られており、
国産の特撮ヒーロー番組の中で、主人公が飛行し、
なおかつもっとも古いものは、
「スーパージャイアンツ」である。
なにそれ?聞いたことないよ、という人も多いだろう。
俳優・宇津井健が全身スーツに身を包んだ特撮ヒーローで、
これは例の「Y」字スタイルで飛行していた。
ただ、これはアメリカの「スーパーマン」に
影響されて作られており、
「スーパーマン」は、1938年に描かれた、
アメリカンコミック初のスーパーヒーローである。
空飛ぶヒーローの人類初は彼である、としてもいいだろう。
(伝説とか、昔話の類を外し、
 明確な飛行ポーズがある、という意味での話だが…)

「スーパーマン」に影響され、
作り出された「スーパージャイアンツ」。
その際に、「スーパーマン」との差別化を図るべく、
独自の飛行スタイルが考え出された。
「スーパーマン」を見ている人にも違和感がなく、
それでいて、真似ではない飛行ポーズ。
それが「Y」字スタイルの、
飛行ポーズだったのではないか?
これをひとつの出発点として、
様々な飛行ポーズが作られる。
やがて、両手を伸ばした
「バンザイ横一文字スタイル」が、
日本の定番飛行スタイルになったのだと思われる。

飛べない筈の人間が作り出した「飛行ポーズ」。
いつか人間が、
あのスタイルで飛ぶ日はやって来るのだろうか?

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