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とんど焼き

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去年、地区の草刈りに行った際、
今年は自分の住んでいる隣保が、
「とんど」を作る番だということを伝えられた。

確か2~3年前にも「とんど」作りに
駆り出された記憶があるので、
うちの地区では、それくらいの周期で
「とんど」製作当番が回って来るものらしい。
田舎に住んでいる人は「とんど」と聞いて、
あー、あれか、と理解してくれるだろうが、
都会に住んでいる人だと、
「とんど」?なに、それ?
などと思われてしまうかもしれない。

「とんど」というのは、1月15日に燃やす、
竹などを組んで造った巨大な「櫓」である。
「櫓」などと書くと、いかにも大仰に聞こえるが、
実際は、山から切り出してきた竹や、雑木などの固まりだ。
大きい竹を3~4本、先端部分で結んだ後、
竹の根元部分を広げて起こす。
すると、ちょうどカメラの3脚のような形で、
竹の柱が立ち上がる。
後はこれに、切った竹などで柱同士を結び、固定する。
他の地区のものは知らないが、
自分の住んでいる地区では、この柱の中に何段も棚を作り、
その棚の上に、雑木や藁、正月飾りなどを詰めていく。
棚一杯に雑木などが詰まると、
今度はそのまわりに、切っていない竹を立てかけていく。
ある程度、竹を立てかけたら、
そのまわりに藁縄を何重にもかけて、
竹が倒れてこないように固定する。
これで「とんど」の完成である。
うちの地区の「とんど」は、
まわりにやたらに竹を立てかけるので、
見た感じ、かなりメタボな「とんど」が出来上がる。
その巨大さゆえ、強い風などを受けると倒れることもある。
そうならないように、完成後、
ワイヤーなどでしっかりと地面に固定される。

うちの地区の場合、まわりに竹を大量に立てかけるので、
巨大な竹の固まりにしか見えない
「とんど」が出来上がるが、
地域によっては、外面に藁などをかける場合もある。
1月に行なわれる、たつの市の消防署出初め式でも、
揖保川の河原に「とんど」が作られ、
式の中で点火されるのだが、
この「とんど」も外面を藁で覆ってある。
竹を大量に立てかけた「とんど」よりも、
藁で作られた「とんど」の方が、燃え尽きるのは早い。
出初め式という、イベントの中で行われる行事のため、
手早く燃え尽きる、
藁製の「とんど」を作っているのだろう。

こうして作られた「とんど」は、
1月15日の夜に点火され、その一生を終える。
中が空洞になっている竹は、特に燃えやすく、
点火後、一気に燃え上がり、巨大な炎の固まりと化す。
1月15日の夜、たつの市揖西町では各地区の「とんど」に
一斉に火がかけられ、町内のあちこちに巨大な火柱が立つ。
昔から続く、1月の伝統行事である。

この「とんど」、
地方によって様々な呼ばれ方をしている。
「とんど」、「とんど焼き」、「どんど」、「どんど焼き」
「歳徳(どんど)焼き」、「どんと焼き」、
「さいと焼」などである。
「とんど焼き」というキーワードで検索をかけると、
「左義長(さぎちょう)」という
ウィキペディアのページにとぶ。
この「左義長」というのも、
「とんど」のひとつの呼び方のようだ。
ただ、各種の呼び方を見た場合、
そのほとんどが「とんど」の変形である。
「どんど」、「どんと」などに至っては、
「とんど」が訛っただけのようにも聞こえる。
それらの中にあって「左義長」は、あまりに異質である。
だが、この「左義長」こそ、
「とんど」の起源に関わっている名前なのである。

一説によると、「左義長」の元になったのは、
平安時代に行なわれていた宮中行事だという。
正月、宮中で行なわれていた貴族の遊びで、
「毬杖(ぎっちょう)」と呼ばれる杖で、
毬を打ち合うものがあった。
1月15日、宮中では青竹を束ねて立て、
それに3本の「毬杖」を結び、その上に扇子や短冊を添え、
陰陽師が歌いながら、これを焼くという行事があった。
これにより陰陽師は、その年の吉凶を占ったという。
「毬杖(ぎっちょう)」を3本結ぶことから、
「三毬杖(さぎちょう)」と呼ばれ、
これが変化して、「左義長」になったといわれている。

なるほど、確かにこの「三毬杖」には、
「とんど」に似通っている点がある。
1月15日という日付、青竹を束ねて焼くという点、
扇子や短冊を焼くという点も、
「とんど」で正月飾りや、書き初めを焼く行為に似ている。
これが民間へと流れ、「とんど」へと変化したのであろう。
そして「とんど」へと変化した際、
民間ならではの思想が付け加えられた。

「門松」の回で、門松は歳神様を迎える
「宿り木」であると書いた。
また正月の注連飾りなども、
同じように歳神様の依り代とされており、
「とんど」では、これらを焼くことによって、
歳神様が、火と一緒に天に帰っていくと考えられた。
さらに俗説として、
書き初めを燃やし、その火が高く上がれば、
書道が上達するというものや、
「とんど」の火で餅を焼き、それを食べれば、
1年間は病気にならないなどというものもある。
どちらの俗説にしても、
一般大衆のささやかな願いが表れている。

さて、このように
古くから続けられてきた「とんど」であるが、
最近では消防上の理由などにより、
取りやめになるケースも出てきている。
さらに、1月15日が祝日で無くなったため、
1月の第2月曜日に「とんど」を燃やしたり、
「とんど」と作った後、間髪入れず
そのまま燃やしたりするケースも見られるようになった。
また、農村などの過疎化や高齢化によって、
「とんど」の作製自体が難しくなるケースもある。

現在の所、
まだまだ保護などを考えるような状況ではないが、
20年先、30年先には、
いよいよそういうことも、
考えなければならなくなるかもしれない。

そう考えると、現在の子供達にも、
「とんど」の作り方などは、
しっかりと見せておかなければならない。

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