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動物 雑感、考察

赤鼻トナカイの感動物語。

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By: temaki

前々回は「クリスマス」、
前回は「サンタクロース」について書いた。
今回は、「サンタクロース」のパートナー、
トナカイについて書いていく。

トナカイといえば、ひとつ有名な歌がある。
「赤鼻のトナカイ」である。
「真っ赤なお鼻の、トナカイさんは~」で始まる童謡で、
クリスマスソングの定番中の定番だ。
この歌をよく耳にするあまり、
トナカイの鼻は「赤い」と思っている人が結構いる。
それは誤解である。
トナカイの鼻は赤くない。
え?でもあの歌ではそうなってるじゃない?
という人もいるだろうが、
そういう人は、動物図鑑でもインターネット検索でもして、
トナカイの画像を調べてほしい。
鼻の赤いトナカイは、1匹もいないだろう。

騙された……、などと思ってはいけない。
例の「赤鼻のトナカイ」をそのまま聞いていれば、
普通に理解してもらえる。
「真っ赤なお鼻の、トナカイさんは」ときて、
「いつもみんなの、笑い者」と続くからだ。
これは、明らかに赤鼻のトナカイが異端である証拠だ。
普通のトナカイの鼻は赤くないので、
鼻の赤いトナカイが笑われることになったのだ。
トナカイの鼻は赤い、と思っている人がいれば、
今の内にこっそりと認識を直しておこう。

トナカイはシカ科トナカイ属に属する、ほ乳類だ。
トナカイ属などと分類されているが、
このトナカイ属にはトナカイしかいない。
つまりトナカイ属は、
この一種のみで成り立っているわけだ。
英語ではレインディアー(reindeer)と呼ばれ、
北米に棲息しているものは、とくにカリブーとも呼ばれる。
この「rein」は「手綱」という意味があり、
直訳すれば「手綱をつけたシカ」ということになる。
サンタクロースのソリを引く、
トナカイらしいネーミングだ。
日本語の「トナカイ」というのは、
アイヌの言葉がそのまま使われている。
アイヌへも、さらに北に住む北方民族から
伝わったとされている。
漢語では「馴鹿(じゅんろく)」と呼ぶが、
これは人に馴れた鹿、家畜化できる鹿という意味である。
先の手綱をつけたシカといい、
人との深い関わりを感じさせる。

トナカイは、北極圏近くの限られた範囲に棲息しており、
家畜化されているものも多い。
他のシカ類にない特徴として、
オス・メスともに角が生えている、というものがある。
ただ、角の生えている時期は、オスとメスで違っており、
オスは春から夏にかけて、
メスは秋から冬にかけて角が生えている。
寒冷な環境に棲息しているため、
分厚い体毛をもっており、
毛の内部には空洞があるため、保温性が高い。

家畜としての役割は多く、乳用、肉用、
毛皮用などの利用法に加え、
ソリを引かせたり、荷物を運ばせたりもする。
さらには雪の上でも走ることが出来るため、
背中に人間が直接乗ることもある。
ウシ、ウマ、ヒツジなどの、ほとんどの性質を持った、
使い勝手のよい家畜である。
日本でも北海道の幌延町(ほろのべちょう)で、
トナカイの飼育が行なわれている。
もちろん、幌延町ではトナカイ肉を食べることも出来る。
調べてみた所、味の感想については
美味しい、美味しくない、どちらの意見もあった。
どうも脂身が少なく、あっさりとしていて、
やや臭みがあるらしい。
シカ科の動物だけあって、鹿肉に近い味わいのようだ。

さて、冒頭で触れた「赤鼻のトナカイ」だが、
これにはちょっとした誕生秘話がある。

この「赤鼻のトナカイ」は、1938年、
シカゴ在住のロバート・メイによって作られた。

彼には、妻と娘がいたが、妻は癌を患い、
余命幾ばくもない状態であった。
その年、クリスマスが近づいてきていたが、
妻はほぼ寝たきりの状態で、
クリスマスの準備も、全く出来なかった。
そんな中、娘はロバートに尋ねた。
「どうしてママは、みんなと違うの?」
友達の母親たちは、
みんな元気にクリスマスの準備をしているのに、
どうして自分のママは、動くことが出来ないのだろう?
悪意のない、純粋な疑問だった。

ロバートは娘を抱きしめ、人と違っていることは
決していけないことではない、ということを伝えるため、
即興でトナカイの話を作り出した。
それがルドルフという名前の
「赤鼻のトナカイ」の物語だった。

鼻が赤いため、仲間から笑い者にされていたルドルフは、
ある年のクリスマスに、サンタクロースに呼ばれた。
その年のクリスマスは濃い霧が発生したため、
ソリが出せなかったのだ。
サンタクロースはルドルフに
「君のその光る赤い鼻で、道案内をしてくれないか?」
と頼み込んだ。
ルドルフは喜んでその役目を引き受け、
ソリを引くトナカイ達の先頭に立ち、
深い霧を、赤い鼻の光で照らしながら進んで行った。

娘はこの話を気に入り、何度もロバートにせがんだ。
そこで彼はこの自作の物語を、
自らの手で絵本にして、娘に与えた。
ロバートが、この年の会社のクリスマス会の余興として、
この自作の絵本を発表した所、大変な評判となり、
やがて、正式に出版され、大ヒットとなった。

このロバートの作った物語を元にして作られたのが、
童謡「赤鼻のトナカイ」なのである。
つまり「赤鼻のトナカイ・ルドルフ」は、
オンリーワン、ただ1匹だけのトナカイなのである。

さて前回、自分が幼稚園でクリスマスを体験したものの、
それを実家でやることはなかった、と書いた。
この方針が変わり、
我が家でクリスマスを行うようになったのは、
それから数年後のことになる。
自分と同じように、幼稚園でクリスマスに触れた妹が、
各家庭でもクリスマスをやっていることを聞きつけ、
これを両親に要求した。
この要求がすんなりと通ったのは、
さすがにいつまでもクリスマスを隠し通すのは無理だと、
両親が気がついたためらしい。
自分がちょうど小学3年生のころ、
我が家でクリスマスをやるようになり、
サンタクロースもやってくるようになった。
だが、こんな中途半端な時期に、
サンタクロースがやって来るようになって、
一体、誰がサンタクロースの存在を信じるだろうか?

つまり、自分は最初からサンタクロースの存在など
欠片も信じていなかった、ということになるのだが、
それが不幸だったのかどうかは、
今、この歳にになっても、よくわからない。

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