小学生の頃、土曜の午後８時といえば、
「ドリフ派」と「ひょうきん族派」の争いの場であった。
……。
わかりやすくいえば、大方の子供はその時間、
「ドリフの８時だよ！全員集合」か、「俺たちひょうきん族」かの、
どちらかを見ていて、そのどちらを見ているか？ということだ。
両方とも、現代でも語られるほどの人気番組であり、
当時、これを見ていない子供というのは、異端視されるというか、
仲間に入れないというか、とにかく肩身が狭かった。
自分もその肩身の狭い１人だった。
では、その時間、何を見ていたのか？
もちろん「暴れん坊将軍」だ。
家族に年寄りがいる場合、有無をいわさずチャンネルは「暴れん坊」であった。
と、いうより、物心がつく前から「暴れん坊将軍」を
年寄りと一緒に見ていたので、それがごく当たり前のことになっていた。
今回は、この「暴れん坊将軍」と、その後について書いていく。
「暴れん坊将軍」といえば、
知らない人間がいない、と言ってもいいほどの、超有名時代劇だ。
徳川８代将軍、徳川吉宗が徳田新之助と名乗り、江戸の町にはびこる悪を
退治していく勧善懲悪ものの時代劇だ。
１９７８年から２００２年まで、合計１２シリーズ、
８００話以上が放映された。
主演は松平健。
このシリーズでは、主人公役の交代は全くなく、
「暴れん坊将軍」といえば松平健、というのはもはや常識だ。
長期のシリーズなので、レギュラー陣も何回か役者交代を余儀なくされたが、
主人公である徳川吉宗だけは、全くの不変であった。
これを物心がついたときから、TVシリーズが終わるまで見続けてきたのだ。
思えばいろいろなことがあった。
オカルトな怪談話もあった。
江戸城が乗っ取られたこともあった。
極めつけには、江戸に巨大隕石が落ちたことまであった。
は？なにいってんの？
巨大隕石？馬鹿なんじゃないの？
という声が聞こえてきそうだ。
いや、本当にそういう話があったのだ。
番組が始まるや否や、いきなり宇宙空間を隕石が飛んでいたのだ。
時代劇なのに、宇宙空間から見た地球が出てきたのだ。
「ウルトラマン」ではなく、「暴れん坊将軍」なのにだ。
そんな地球レベルの危機が迫っていそうな時でさえ、
やはり上様は悪人を叩き伏せた後、「成敗っ！」と叫んでいたのだ。
……本当に、いろいろなことがあった。
そんな波瀾万丈のTVシリーズは、２００２年に終了する。
この後は、単発のTVスペシャルが２００３年、２００４年、２００８年に
放映されるのみだった。
だが、この期間中、日本中を沸かせたあのブームがやってくる。
そう、「マツケンサンバ?」ブームだ。
上様は金のラメ入りの着流しに身を包み、腰を振っていた。
満面の笑顔で、ノリノリで、上様は実に楽しそうであった。
２００４年、この「マツケンサンバ?」で上様は紅白初出場を勝ち取った。
まさにこの２００４年の紅白は、上様がおいしいところを全てかっさらった。
このブームによって、真面目な上様は、
実は愉快な上様だったことが明らかになった。
そして２０１１年、上様はついに劇場デビューを果たす。
「仮面ライダーオーズ」とともに。
は？なにいってんの？
仮面ライダー？馬鹿なんじゃないの？
という声が聞こえてきそうだ。
いや、本当にそういう映画があったのだ。
「劇場版仮面ライダーオーズWONDERFUL 将軍と２１のコアメダル」
という映画がそれだ。
この映画の中で、上様は仮面ライダーオーズと競演。
江戸の町に現れた怪人どもを、ばったばったと倒していくのである。
もちろん、いつもの殺陣のテーマがながれる。
あのテーマが流れているだけで、もう全くやられる姿が思い浮かばない。
なんという無敵感のある曲か。
無事に江戸の町を守った上様は、エンディングにて
「マツケン×仮面ライダーサンバ」を踊るのであった。
だが、どうせ仮面ライダーと共演するのなら、オーズではなく、
V３、ストロンガーと共演してほしかった。
２０１４年、上様はゲームデビューを果たす。
「仮面ライダーバトライドウォー２」において、仮面ライダー達と共演する。
ゲームの中で、上様を操作して、怪人どもをばったばったと倒していく、のか？
６月発売予定なので、内容はまだ不明だ。
２００２年にTVシリーズが終わってから、
もう上様の勇姿は見れないと思っていた。
だが、上様は帰ってきた。
TVスペシャル、紅白、映画、ゲーム。
その活躍は、とどまることを知らない。
……上様は、いったいどこへ行くのだろうか？
